• 寒冷地の暖房器具として、認められるエアコンを目指して

  • 「陸別で使えたら、認めるね」日本一寒い町との出会い

  • -25℃の寒さを乗り越え、寒冷地エアコン完成

  • “本当に必要なものを”その追求は終わらない

これは、みんなの「想い」がつまった エアコン15UXシリーズの開発物語。

寒冷地エアコン開発物語 〜極寒の冬でもしっかり暖める、寒冷地エアコンの挑戦〜

start

“寒冷地で認められ、信頼されるエアコン”になるために―
開発室を飛び出した技術者と、寒冷地の人々との、5年以上に及ぶ開発物語。

Episode01

寒冷地の暖房器具として、
認められるエアコンを目指して

見えない“暖かさ”を伝える難しさ
寒冷地でのエアコン暖房の認知

エアコン暖房のはじまり

2011年、以前から展開していたエアコン暖房は室外機の熱を蓄熱して暖かさをキープするパナソニック独自の技術、「エネチャージシステム」が開発されると、寒冷地に向けての提案を本格化させた。極寒の地域でも存分に使ってもらえるエアコンをつくらなくてはー。それは、目には見えない“暖かさ”とエアコンがどう向き合うかという戦いのはじまりでもあった。

“エアコン=寒冷地では暖まらない”からのスタート

エアコンはとても繊細で、気候だけでなく、その土地やそこに暮らす人々の暮らしぶりによってエアコンの性能が左右されてしまう。
10年以上にわたりエアコン暖房の提案をしているものの、寒冷地でのイメージは「暖まらない」「電気代が高い」「寒冷地では使えない」といったものばかり。まだまだ信頼されていなかった。
さらに、寒冷地と全く同じ環境を工場の開発室に再現するのが困難であることや、目に見えないその“暖かさ”をお客様に伝えることが、寒冷地エアコンの大きな壁になっていた。

工場を飛び出したエアコン開発
お客様の声によって、さらに進化していく

この暖かさを、まずは体感してほしい

2011年、プロジェクトは工場の開発室を飛び出して、日本最大の雪まつりイベント「さっぽろ雪まつり」へブースを出展することに決めた。これは、エアコン暖房の“暖かさ”を多くの人に伝えられる絶好の場所だったからだ。
体感してもらうことで伝わるなら、お客様の住む寒冷地にエアコン暖房の“暖かさ”を直接届けに行くんだ。
それは、プロジェクトチームにとって初めての試みだった。

さっぽろ雪まつりに、ハワイをつくる

認知されていないエアコン暖房の“暖かさ”をどうやったら伝えられるだろう。
「目に見えないのであれば、それを見えるようにすれば伝わるのではないか」と考えたプロジェクトチームは、まず真っ白な雪まつり会場の中に、壁一面真っ赤なブースを設置して、“暖かさ”を強調した。
そして、“暖かさ”のイメージを想起させやすくするために、ブースのテーマをハワイに設定。常夏を思わせる内装にして、フラダンスを見せる演出を試みた。これが「ぽかぽかステーション」の誕生だった。

多くの方に“暖かさ”を届けることができた

一歩ブースに入ると、フラダンサーですら汗をかきながら踊る“まるで常夏のハワイの世界”が、エアコンだけで実現されている。
来場者たちは口々に「あったかい!」と声をもらし、中にはエアコンのことを熱心に聞いてくる方もおられ、その反応にプロジェクトチームも手ごたえを感じることができた。

このさっぽろ雪まつりでの試みは4年間続いたが、プロジェクトチームはより多くの方に“暖かさ”を伝えられるよう工夫を凝らし続けた。
例えば、“暖かさ”を体感してくれたお客様により納得してもらうため、相談できるブースを設置したり、さらには壁外にエアコンを取り付け、ブースの外からでも手をかざせばその“暖かさ”が体感できるようにするなど、毎回見せ方を改良した。
来場者たちにもその“暖かさ”が素直に喜ばれ、実際に購入を検討してくださったり、ぽかぽかステーションの出展を毎年楽しみにしてくれたりと、大きな成果を残すことができた。

何より、プロジェクトチームのメンバーたちにとっても、会場で寒冷地にお住まいのお客様と直接向き合い、生の声に触れることで、ものづくりの会社として喜びを感じると同時に、さらなる“暖かさ”への追求につながっていくことになった。

Episode02

「陸別で使えたら、認めるね」
日本一寒い町との出会い

「陸別で使えたら、認めるね」
日本一寒い町・陸別町との出会い

「あの陸別でも使えたら、認めるね」

大きな成果を生んださっぽろ雪まつりへの出展で、プロジェクトチームの「お客様の声にこたえたい」という気持ちはさらに強まっていった。「もっと寒冷地で認められ、信頼されるエアコンになるためには、どうしたらいいんだろう?」と模索していた時、さっぽろ雪まつりにご来場いただいたお客様から「札幌は寒冷地の中ではまだ暖かい。同じ北海道でも日本一寒い陸別町で使えたら、認めるね」という声をいただいた。この一言が、プロジェクトの転機となる。日本一寒い町で実証できれば、もっとパワフルな寒冷地専用のエアコンがつくれるに違いない。そう考えたプロジェクトチームは、日本一寒い町で認められるエアコン開発に挑戦することを決意した。

日本一寒い町・陸別町

北海道足寄(あしょろ)郡 陸別町。年間の最低平均気温は-20℃を越え、ピーク時には-30℃を下回ることもある、日本一寒い町。
そんな極寒の地で認めてもらうためにプロジェクトに課せられたのは、その想像を超える寒さの中で、エアコン暖房が充分に適応できるかだった。

プレハブやモデルハウスのようなつくられた環境での実証ではなく、春夏秋冬のシーズンを通して、実際にお客様に使ってもらおう。本当の暮らしの中で実証するんだ。
プロジェクトチームは話し合いを重ね、陸別町に住むご家庭にエアコンを試験的に使っていただき、そこから現地の暮らしやエアコンの性能を研究することに決めた。さっそく協力してくださるモニターを探した結果、四世帯のご家族と出会うことができた。
こうして、想像を超える日本一の寒さの中で、お客様との二人三脚での商品開発がスタートしたのだ。

想像を超える日本一の寒さに暮らす四世帯との
二人三脚の商品開発

何もかもが規格外。日本一の寒さがプロジェクトチームに試練を与える

まず、プロジェクトチームを驚かせたのが四世帯のご自宅であった。大きな吹き抜けや広いリビングなど、エアコン1台で暖める空間が非常に大きかったことだ。
また、ご協力いただく四世帯のご家庭はエアコンを使うことが初めてで、本当にエアコンで暖められるのか不安なイメージを持たれていた。事実、プロジェクト開始直後のアンケートには、「陸別のような寒い冬を本当にエアコンだけで越せるのだろうか」という声が多くあがった。
この状況には、さすがにプロジェクトチームにも不安がよぎったが、2013年秋、四世帯すべてにエアコンを取り付け、モニターを開始した。

お客様の暮らしと、とことん向き合う

陸別町に住む方たちは、どのような暮らしをしているのか。また、エアコンを暖房器具として使用した際どのような使い方をするのか。プロジェクトチームは、実際の暮らしの中で起きるエアコンの使用実態と想定できない環境や気象条件を、とことん研究した。
エアコンから使用状況などのさまざまなデータを収集し、さらに室外機の中にカメラを取りつけ24時間体制でモニタリング。モニターのご家族には毎月アンケートにご協力いただいた。こうして膨大に情報を収集することで、室外機への霜の付き方や、雪が降った時の状況、一日中エアコンを切らない現地特有の使い方など、生の使用実態を商品開発に生かすことができた。

そして、実証をはじめて2カ月目。確かな手応えが生まれた。

四世帯へのヒアリングのため陸別町に伺うと、ご家族が笑顔で答えた。
「エアコンだけでも充分に暖かいです。この調子なら陸別の冬も越せるかもしれません。」

いけるかもしれない。プロジェクトチーム全員がそう思った。工場の実験室では絶対に見られない、お客様の笑顔がそこにあったからだ。そして、この生活の中にあるお客様の生の声を、絶対に生かした寒冷地エアコンをつくろうとチーム全員が誓った。
不安は少しずつ自信に変わり、季節はいよいよ日本一の厳冬を迎えようとしていた。

Episode03

-25℃の寒さを乗り越え、
寒冷地エアコン完成

日本最寒の祭・しばれフェスティバルへの挑戦

本格的な冬到来 しばれフェスティバルに挑戦

2014年1月。日本一寒い町・陸別町は例年より厳しい冬だった。最低気温が-25℃を下回ることも稀でなく、濡れたタオルを回せば一瞬で凍り、シャボン玉や生花は凍結して割れるような世界。
しかし、四世帯に取り付けたエアコンは部屋をしっかりと暖め続けていた。
よし、大丈夫だ。確信したプロジェクトチームは、陸別町で行われる“しばれフェスティバル”へのブース出展を決める。

日本一寒い町・陸別町が一番冷え込む2月初旬に毎年行われる「しばれフェスティバル」。祭は町民がおもてなしをする形で運営され、近隣の住民や道民のみならず、関東や関西など日本全国からも来場する陸別町の一大イベントだ。さっぽろ雪まつりで伝えた暖かさを日本一寒い町で伝えることは、エアコン暖房の実力を実証するという意味でも、プロジェクトチームにとって大きな挑戦でもあった。

あったか〜い! その声が実証の証

-25℃を下回る寒さの中、しばれフェスティバルにエアコンの暖房力を実証する「ぽかぽかステーション」を設置。一晩中、ブースの室内温度と外気温をチェックしながら、エアコンの運転状況を確認し続け、エアコン1台でブース内の室温を25℃に保ち続けた。半信半疑でブースに立ち寄ったお客様たちも、室内に入った瞬間「あったか〜い!」と顔をほころばせ、その暖かさを実感。『エアコン=クーラー』という概念を払拭する暖房パワーを多くの方に体感していただけた。

リアルな環境での商品開発にこだわりつづけて
待望の寒冷地エアコンついに完成

みんなの想いを乗せて ついに完成

「しばれフェスティバル」への挑戦を成功で終えた後も、四世帯のご家庭でのモニターは継続し、その長期間にわたる実証は、確実にエアコンを鍛え上げた。

寒暖差が激しい環境でも十分に暖められるよう暖房力は格段にパワフルになり、寒さで室外機に霜がついても部屋の温度が下がらないよう「エネチャージシステム」も強化した。凍結による性能低下を防ぐ室外機の工夫もこの土地で生まれた。
さらに、部屋の温度が下がりすぎるのを抑える「キープ暖房」は、外出時やおやすみ時にも最低限暖め続けたい、というモニターのご家族からの声がそのまま反映された新機能だ。

プロジェクトの終盤に差し掛かった2015年。最後の実証として、最も冷え込む2月、陸別町の屋外に実験ブースを設置して、エアコン1台だけで約2週間暖め続けることができるかを実験。その結果、刻々と外気温が下がっても、安定して室内を暖め続けることができた。

こうして厳寒の地に暮らす方々と向き合い続けて2年以上。日本一寒い町が鍛えた、寒冷地専用のエアコンとして、ついに新製品「UXシリーズ」が完成した。

Episode03

“本当に必要なものを”
その追求は終わらない

ものづくりの原点にかえった
寒冷地エアコンの開発

みんなで鍛えた、寒冷地エアコン

リアルな生活の中で使われるエアコンから得た大量のデータ。モニターのご家族にご協力いただいた、たくさんのアンケート。長期間真摯にプロジェクトに向き合っていただけた証だ。これら一つひとつと向き合い、試行錯誤を重ねてこれたのは、実感のこもった言葉の数々に説得力があったからだ。
また、今回の寒冷地エアコンプロジェクトでは、商品開発に関わるすべての部署と向き合った。何度も議論を重ね、時にはぶつかり合うこともあったが、最終的には「お客様を笑顔にしたい・暮らしを変えたい」という一心で“ものづくりの原点”にかえれたプロジェクトだった。こうして寒冷地エアコンは、日本一寒い町で“みんなで鍛えたエアコン”へと進化できたのである。

お客様がいるかぎり、
本当に必要とするものをつくりつづける

パナソニックのものづくりへのこだわりは続く

「これで終わりじゃなくて、これからももっと寒冷地のみなさんと向き合って、次につなぐ開発をしていく」
そうプロジェクトメンバーは口を揃える。使ってくれるお客様がいる限り、商品開発は終わらない。

創業者・松下幸之助のスピリッツにこんなものがある。
「みんなが欲しがるありきたりな商品ではなく、本当にお客様のためになるものをつくれ」

寒冷地の暖房として、さらに信頼されるエアコンを目指し、日本一寒い町へ飛び出したエアコン開発。
それはまさに、お客様とその暮らしと真摯に向き合い続けるものづくり。

お客様にとって喜ばれる、価値のある真のものづくりとはなんだろう。
その答えは、現場にしかないのかもしれない。
日本一寒い町と、日本一熱いプロジェクトメンバーの結晶がこれからニッポンを暖めていく。

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