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三重県

「鈴鹿を勝たせたい!」地域のつながりが生んだミニバス文化

2017年09月27日

写真:ミニバスの試合風景

ビューティフルジャパンが三重県で出会った、鈴鹿市立創徳中学校男子バスケットボール部。その中心となっていたのが、小学生時代に「ミニバス」を経験していたメンバーです。彼らが大切にしているのは、厳しい上下関係より、フラットで強固な「仲間意識」。今回は、その背景にある、鈴鹿の「ミニバス文化」にフォーカスします。

綾瀬さんが訪ねたのは、鈴鹿市立の創徳中学校男子バスケットボール部。昨年全国大会ベスト16という好成績を残した強豪チームです。しかし、強かった先輩たちは卒業。いまのメンバーは、自分たちなりの戦い方を模索しながら、全国大会を目指しています。

「ミニバス」とは?

三重県ミニバス連盟、日置真司理事長

ミニバスケットボール、通称「ミニバス」。普通のバスケットボールとは、何が違うのでしょうか。「ボールも小さく、リングも低い。ルールも少し異なります」 そう答えてくれたのは、三重県ミニバス連盟の日置真司理事長。日本では、小学生(12歳以下)が対象の競技。そのため、「体力的に負荷がかからないように、試合時間も短く設定されています」

日本で最初にミニバスの全国大会が開かれたのは、1970年の京都。その後、競技の広がりとともに、1976年には日本ミニバスケットボール連盟が設立されました。実は、国内で40年以上の歴史がある、小学生向けの競技なのです。

ミニバスとバスケットボールのおもな違い

表:ミニバスとバスケットボールの違い

三重県でもっとも盛んな「鈴鹿」

「三重県には、1970年代からミニバスのチームが存在していました。1976年には、第1回の全国県予選を開催。1979年には、三重県ミニバスケットボール連盟が発足 しました」(日置さん)。そして現在、三重県全体のミニバス普及率は約70%だそうです。チーム数は約150で、競技人口は2,500人。日置さんによれば、「県内でも、いちばん盛んなのが鈴鹿」とのこと

三重県の中でも、とくに鈴鹿はミニバスが盛ん。

現在、鈴鹿を中心とした「鈴亀地区」には、男子15チーム、女子18チームが活動中。鈴亀ミニバスケットボール協会・会長の安田優さんによれば、「地域の小学校で活動しているチームが多いですが、学校のクラブ活動ではなく、『社会体育』の一環として運営されている」そうです。

鈴亀ミニバスケットボール協会・会長の安田優さん。玉垣ミニバスケットボールクラブ監督(女子)

ビューティフルジャパンが注目した創徳中男子バスケ部のように、中学や高校でも活躍している鈴亀地区のミニバス出身者は珍しくありません。「実は、プロのBリーグにも、鈴鹿出身の選手が増えてきています。彼らは、子どもたちの憧れになっています」と安田さん。たとえば、B1リーグ「アルバルク東京」に所属している伊藤大司選手も、その一人。鈴鹿のミニバス出身で、なんと創徳中の卒業生。しかも、創徳中時代には全国大会準優勝も経験しているそうです。

鈴鹿のミニバスを支える、「横のつながり」

創徳中学ミニバス出身者の恩師・杉本和寿さん。清和ミニバスケットボールクラブ監督(男子)

創徳中バスケ部がそうだったように、ミニバスの関係者にも、フラットなつながりを感じました。「実際、タテの関係は、(各チームの指導者などの間でも)きびしくないですね」 そう語るのは、創徳中・馬場キャプテンのミニバス時代の恩師・杉本和寿さん。

盛んな地域だけあって、保護者や指導者も、ミニバス経験者が多いそうです。鈴亀ミニバス協会・副会長の荒木真人さんは、「ミニバスをやっていたお母さんが、子どもを通わせることも多い」と言う。また、指導者・監督が、先輩後輩同士であれば、チーム間のつながりも強くなるそうです。

鈴亀ミニバスケットボール協会・副会長の荒木真人さん。神戸ミニバスケットボールクラブ監督(男子・女子)

実際、今回お話をうかがった鈴亀ミニバスケットボール協会の安田さん、荒木さん、杉本さんは、チームの指導者としては当然ライバル同士。全国大会を目指せば、試合で当たることも。「それでも、合同で練習もするし、お互いにアドバイスもする」と、荒木さん。全国大会に向けた県大会では、「鈴鹿を勝たせたい」という強い思いがあるそうです。「最高なのは、鈴鹿のチーム同士で決勝ですね」(荒木さん)

2017年8月に開催された、第21回「F1カップ」。鈴鹿ミニバス文化を象徴する大会だ。

「F1カップ」という、鈴亀ミニバスケットボール協会主催の招待大会が開催されえいます。F1カップという名称ですが、有名な鈴鹿サーキットのF1にちなみながら、ミニバスの基本理念から、「友情(Friendship)が1番、フェアプレー(Fair Play)が1番」という思いも込められいるそうです。

友情(Friendship)とフェアプレー(Fair Play)が1番!

「遠征などで、鈴鹿がお世話になった地域のチームを招待して、恩返しをしたいとい気持ちで開催しています」と安田さん。地元のみならず、県外のチームとの絆も大事に考える。こうした鈴鹿のミニバス文化は、これからも横のつながりを大切に続いていきます。そして、その思いは、創徳中のバスケ部にも、しっかりと引き継がれているようです。

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インタビュー映像

創徳中学校男子バスケットボール部の選手と顧問が、チームの成長とこの先の夢を語る

YouTube 動画:心を一つにして、全員が輝けるバスケを 三重・バスケットボール篇 再生する