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和歌山県

スケートボードは、スポーツの前に「カルチャー」

2017年11月22日

東京2020オリンピックの新種目で、ひときわ異彩を放つ「スケートボード」。多くの方にとって、スケートボードという競技は、未知の部分が多いのでは? そこで、この競技の魅力と楽しみ方のポイントを日本スケートボード協会・事務局長の横山純さんに語っていただきました。

写真:大会でトリックを決める四十住さくらさん

横山さんは、日本ローラースポーツ連盟・スケートボード委員会として東京2020オリンピックにおけるスケートボードの広報も担当。日本のスケートボード黎明期から携わってきた、まさに「日本スケートボード史の証人」です。

日本のスケートボードをけん引するのは、「第二世代」スケーター

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日本スケートボード協会・事務局長の横山純さん

スケートボードが日本に入ってきたのは、約50年前です。雑誌『POPEYE』で取り上げられたり、原宿の歩行者天国で流行ったりしたのが、約40年前。そして、この10年ぐらいで、ようやく親子で楽しめるスポーツになってきました。子世代、つまり第二世代のスケーターが出てきたんです。現在、大会の中心となる選手は、まさに彼らです。

写真:スケートを練習する平松さん、四十住さん

ビューティフルジャパンで注目した二人も、横山さんの言う「第二世代」スケーター

第二世代スケーターの最初の「先生」は、やはり親が多いですね。子どもが誕生日やクリスマスにスケボーをねだる。すると、昔やっていた親も、「俺もやってたんだ」と言って復帰する。週末は親子でパークに行って練習する。やがて子どもが大会に出れば、家族で応援に行く。だんだんと家族の予定がスケートボード中心になってくる。これが、家庭にスケートボードが入っていく、典型的なパターンです。

場づくりにおいては、かつてスケボーをやっていた親世代が一役買っています。40代、50代となって、社会的にそれなりの立場になり、広場に子どもを呼び戻すため、地域にスケートパークを計画するんです。ナイター設備があれば、夜まで人は絶えずに集まります。そのパークには、子どもを中心として親も集まってきます。スケートボードはもちろん、BMXやローラースケートなど、ストリートスポーツ全般をやる場所として、昔の"広場"の機能がよみがえっているんです。

「カルチャー」としてのスケートボードとは?

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玄関を出て、すぐできる「遊び」を競技化したスケートボード(写真はストリートスタイル)。

スケートボードは、スポーツである前にカルチャー(文化)なんです。そもそもストリートスポーツは、玄関を出たところから「遊べる」もの。その「遊び」としてのスケートボードを競技として形にしたのが、「パーク」と「ストリート」という2つのスタイル。パークは、お椀型のボールや湾曲したコースでエアートリック(空中での技)のスピードや高さを競います。一方、ストリートは、階段や手すり、縁石など市街地を模したコースで、さまざまなトリック(技)を競うものです。

写真:インタビューに答える横山さん

スケボーは、言葉を超えるコミュニケーション・ツール(横山さん)

そういった競技とは別に、「スケートゲーム」という遊びがあるんです。これは、二人が先攻後攻を決めて、同じトリックができるか競うゲーム。5ポイント先取したほうが勝ちという、言ってみればスケートボードを使ったジャンケンみたいなものです。このスケートゲームは、知らない子どもたち同士が友だちになるための「ツール」なんです。

たとえば、日本人スケーターがアメリカのスケートパークに行ったとします。ちょっと目立つと、地元のガキ大将のようなスケーターが、スケートゲームで挑んでくる。日本人が勝てば、「お前、やるじゃん」となり、負けても、「さきのあのトリックよかったぜ」となる。スケートボードは、言葉を超えるツールになるんです。こういうカルチャーがあって、スケートボードは成り立っています。

「カルチャー」がなければ、魅力は伝わらない。

スケートボードの大会をご覧になるとわかりますが、出場した子どもたちは、試合後もスケートボードをやめません。試合は「遊び」の延長でもあるんです。だから、普通のスポーツは試合が終わったら片付けて帰りますが、スケートボードはダラダラ帰りもしないで、ずっとやっています(笑)。こんなスポーツ、ほかにないんです。

写真:試合後もスケートボードをする選手たち

試合は「遊び」の延長。だから、試合後もいつまでもスケートしている

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ミニチュアのスケボーでトリックを解説。横山さん自身もスケーターだ。

こうしたカルチャーを切り取ったら、結局魅力はなくなってしまいます。スポーツを観て楽しむ前に、スポーツを理解することが大事です。たとえば、スケートボードの試合で、難しいトリックをやったから偉いわけではありません。難しいトリックを「かっこよく」やってくれないとダメなんです。「ああいう入り方、あのスピードで、あの形で、あの技をメイクできるのは、彼だけ!」となれば、その選手への価値観とリスペクトが湧いてくるのです。

しかし、それを普通に観たら単なるアクロバットショーでしかない。(スケートボードのカルチャーに対する)理解がなければ、そうなってしまう。スポーツとして、カルチャーをふまえて観てもらえるか。ここがスケートボード広報担当として、東京2020オリンピックで重要なポイントだと、私は思っています。見て楽しむのはもちろんなんですけど、もっともっと理解してほしいカルチャーの部分を、スケートボードとしては前に出していきたいですね。

動画へ

インタビュー映像

和歌山の同級生スケーター二人がお互いのこと、そしてこのさきの夢を語る。

YouTube 動画:金メダルを取りたい。憧れのスケーターになりたい 和歌山・スケートボード篇 再生する

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