Creative! Story | ナノイーX × 西島秀俊さん

ナノレベルの研究が、世界レベルの研究所を生んだ。

写真:中田 隆行

開発 中田 隆行

はじまりは、水でニオイを取るという発想。

「ナノイー」とは、空気中の水に電圧をかけることで生成される、ナノサイズの微粒子イオン。菌※1やウイルス※2などの抑制から脱臭※3、美肌・美髪効果※4、食品の鮮度保持※5まで、さまざまな効果が認められています。
今では多くの商品に搭載されている「ナノイー」ですが、初搭載したのは2003年に発売した空気清浄機でした。当時の空気清浄機は空気を吸い込んでフィルターでニオイを取っていましたが、まだニオイが残るという声もあったんですね。そこで私たちが注目したのが、水でした。昔から、濡れたタオルを室内で振り回すと空気中のニオイが取れるという生活の知恵みたいなことは知られていて、脱臭作用があることは分かっていたんです。でも、水をそのまままくと、床が濡れてしまいます。そこで水をナノサイズに微細化する静電霧化という技術を開発して生み出したのが、「ナノイー」でした。
「ナノイー」を搭載することで、空気を吸ってニオイを取るだけではなく、イオンを放出して取るという、次世代の空気清浄機を世に送り出したのです。

写真:2003年発売の空気清浄機

家電メーカーがバイオ部門をつくった。

「ナノイー」の脱臭※3効果はすぐに実証できたのですが、メカニズムは解明されていなかったんですね。「ナノイー」は目に見えないため、メカニズムを見える化することはとても重要でした。そこで、さまざまな部署の人たちを集めて、手探りの研究をはじめたのです。私は、もともと商品設計の担当で図面を描いていたのですが、「ナノイー」のおかげでどんどんバイオ系の分野に足を踏み入れるように(笑)。さまざまな計器を導入してイオンの構造を調べていくうちに、「ナノイー」には大量のOHラジカルが含まれていることが分かりました。OHラジカルには、ニオイや菌を抑制する力があると言われていたのですが、空気中では一瞬でなくなってしまうというのが常識だったんです。ところが、「ナノイー」のOHラジカルは水に包まれているので、非常に長寿命だということが分かったのです。
そうやって自社でどんどん解析を進めていくうちに、気がつくと「プロダクト解析センター」という研究所の中に、バイオ部門ができていました。菌やウイルスを扱う専門的な機関が家電メーカーの社内にあるのは、世界的にも珍しいかもしれないですね。今では、海外からも検証依頼が来るほどになりました。

写真:中田
写真:プロダクト解析センター

家から街へ、「ナノイー」空間をひろげていった。

空気清浄機の次に「ナノイー」を搭載したのはドライヤーでした。すでにマイナスイオンドライヤーというものがあったので、そのイオンの力にさらに水が加わっているんだから髪の毛に悪いはずがない、という確信がありました。検証してみると、マイナスイオンよりさらに髪がしっとりまとまるという効果が得られたのです。このドライヤーがヒットして、「ナノイー」の認知度がグンと上がりました。
2008年には、冷蔵庫、エアコン、洗濯機といったメジャーな商品にも次々と搭載しました。ただ、髪の毛とは違い、肌や野菜への効果というのは、私たちにも未知数でした。検証を繰り返す中で、美肌効果※4や鮮度保持効果※5というのを一つひとつ実証していきました。今では、家電商品はもちろん、鉄道や自動車といった移動空間から、ホテルや病院といった公共空間でも、「ナノイー」が活躍するようになりました。

【納入事例】

写真:山手線の新型通勤電車

山手線の新型通勤電車

写真:パークサイドホテル

パークサイドホテル

写真:トヨタ プリウス

トヨタ プリウス

「ナノイー」から、「ナノイーX」へ。

「ナノイー」の活躍の場をひろげると同時に、私たちはさらなるパワーアップにも取り組みました。挑んだのは、「デバイスの大きさを変えずに、効果を10倍※6にする」という難題。
放電部の設計を一から見直し、従来のドーム形状から4本針形状にすることで、電子密度の高い領域を拡大することに成功しました。結果、OHラジカルを10倍※6生成する、「ナノイーX」をつくりあげたのです。
しかし、その先に立ちはだかったのが、量産化の壁でした。もともと、「ナノイー」技術の肝である放電部の電極には高い精度が求められていましたが、「ナノイーX」の電極にはさらに高い精度が必要でした。これを量産化するにはどうしたらいいのかと最初は途方に暮れましたが、電極に使用するチタンを扱う日本のメガネ職人さんにご協力いただきながら、試行錯誤を繰り返し、生産性が高く精度も保つ加工方法を開発。2008年に開発がスタートしてから実に8年の年月をかけて、量産化の技術を高めていきました。

写真:ナノイー発生部

ナノイー発生部

写真:ナノイーXの発生部

ナノイーXの発生部

小さなイオンに、無限の可能性がつまっている。

今、日本だけでなく、世界中で空気の汚染が非常に大きな問題になっていますよね。「ナノイーX」は、空気中の菌※1やPM2.5※7を抑制・分解する効果が認められているので、即効性やパワーをさらに進化させ続けて、世界中の空気をきれいにしていきたいと思っています。
また、脱臭※3からはじまった「ナノイー」技術は、今や、さまざまな効果が認められるようになりました。この小さなイオンは、まだまだ可能性を秘めています。研究を重ねて、「ナノイーX」の新たな効果を発見するのが私の夢ですね。

写真:中田

※1. <浮遊菌>【試験機関】(一財)北里環境科学センター【試験方法】試験室(約6畳)において菌を浮遊させ空気中の菌数を測定【除菌の方法】「ナノイー」を放出【対象】浮遊した菌【試験結果】4時間で99%以上抑制(北生発24_0301_1号)。<付着菌>【試験機関】(一財)日本食品分析センター【試験方法】試験室(約6畳)において布に付着させた菌数を測定【除菌の方法】「ナノイー」を放出【対象】付着した菌【試験結果】8時間で99%以上抑制( 2013年6月14日、第13044083003-01号)。試験はそれぞれ1種類のみの菌で実施。試験室(約6畳)での試験による(浮遊菌)4時間後・(付着菌)8時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。
※2. <付着ウイルス>【試験機関】(一財)日本食品分析センター【試験方法】1試験室(約6畳)において布に付着させたウイルス感染価を測定【抑制の方法】「ナノイー」を放出【対象】付着したウイルス【試験結果】 8時間で99%以上抑制(2013年2月11日 第13001265005-01号)。<浮遊ウイルス>【試験機関】(一財)北里環境科学センター【試験方法】試験室(約6畳)においてウイルスを浮遊させ、空気中のウイルス感染価を測定【抑制の方法】「ナノイー」を放出【対象】浮遊したウイルス【試験結果】6時間で99%以上抑制(北生発24_0300_1号)。試験はそれぞれ1種類のみのウイルスで実施。試験室(約6畳)での試験による(付着ウイルス)8時間後、(浮遊ウイルス)6時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。
※3. 【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】試験室(約6畳)において6段階臭気強度表示法により検証【脱臭の方法】「ナノイー」を放出【対象】付着したタバコ臭【試験結果】12分で臭気強度2.4低減。
※4. 2週間以上継続使用時。
※5. 運転状況や食品の状態や量、保存期間によって効果が異なります。
※6. 「ナノイー」:4,800億個/秒と、「ナノイーX」:4兆8,000億個/秒との比較。ESR法による測定。(当社調べ)
※7.【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】試験室(約6畳)で付着した有機物量を測定【抑制の方法】「ナノイー」を放出【試験結果】〈芳香族カルボン酸:安息香酸〉約4時間で99%以上分解〈アルカン:ヘキサデカン〉約24時間で99%以上分解。 (Y15MK125、Y15MK134)。試験室(約6畳)での試験による(安息香酸)4時間後、(ヘキサデカン)24時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。