Panasonic ヘルスケア

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生活習慣病の予防Part.1 Part.2
生活習慣病の予防には、やはり食事と運動が基本!
今月の先生 佐藤祐造教授
名古屋大学医学部を卒業後、同大学大学院医学系研究科教授として長年にわたり、内科、糖尿病学、スポーツ医学を中心に研究を続ける。その間、日本糖尿病学会、日本体力医学会、日本肥満学会、日本東洋医学会など多くの学会でも役員を歴任される。糖尿病の運動療法に関する研究成果を国内はもとより海外でも発表するなど精力的に活動され、アメリカ糖尿病学会で発表された研究内容は、国内の新聞各紙でも掲載。
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三品香(みしな かおり)
ライター。取材で全国を駆け巡る生活での楽しみは、やはり食事。メニューの偏りと運動不足を反省しつつ、できる限り歩くよう心がける日々。

文明社会がもたらしたメタボリックシンドローム
インタビュアー
最近、生活習慣病やメタボリックシンドロームという言葉をよく耳にしますが。
先生
いまは文明社会ですよね。タクシーやエスカレーターなど生活環境も便利になり、人々の運動量は減っています。そして、いわゆるグルメ志向で美味しいもの、焼肉、ハンバーグ、ステーキなど動物性の高脂肪食、高タンパク食がたくさん食べられるようになっています。その結果、食事と運動のバランスが悪くなり、内臓に脂肪が蓄積されて、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病や、これらの症状が複合的に起こるメタボリックシンドロームにかかる人が増えています。
  インタビュアー
メタボリックシンドロームの要因は生活習慣の偏りですか。
  先生
メタボリックの語源であるメタボリズムというのは代謝を意味します。シンドロームは症候群ですよね。つまり、「身体の代謝が悪いぞ」ということです。日本語で言えば「代謝症候群」ということになりますね。
  インタビュアー
メタボリックシンドロームの医学的な考え方とはどのようなものですか。
  先生
メタボリックシンドロームは、心筋梗塞や脳卒中などの病気につながります。メタボリックシンドロームは、心筋梗塞や脳卒中など心臓血管系の病気につながるというところに問題があります。生活習慣病やメタボリックシンドロームの考え方は、食習慣、運動習慣をはじめ、タバコ、飲酒などの悪影響を正しく理解して、病気にかからないようにすることを大前提としています。医学用語では、このような考え方を一次予防といいます。そして、病気になってしまった人の症状の悪化を防ぐことを二次予防といいます。たとえば、糖尿病と診断された時にも、さらに合併症などが起こらないようにしようという考え方です。生活習慣病やメタボリックシンドロームの診断や治療は、一次予防と二次予防の考え方を踏まえて行われます。
  インタビュアー
メタボリックシンドロームの具体的な診断基準を教えてください。
  先生
メタボリックシンドロームは、1980年代のアメリカで研究が始まったのですが、日本でその診断基準が作られたのは2005年5月です。日本内科学会で発表されました。診断基準の例をあげると、ウェストサイズがあります。これは内臓脂肪の蓄積を見るためのもので、男性85cm以上、女性90cm以上が目安になっています。これに加えて、高脂血症、血圧、血糖の3項目のリスクがあります。そして内蔵脂肪蓄積にこの2つ以上のリスクが加わるとメタボリックシンドロームと診断されます。ちなみにリスクが0〜1つの場合は、「肥満症」。リスク3つ(内臓肥満を入れれば4つ)以上で「死の四重奏」と呼ばれています。
メタボリックシンドロームの診断基準
  インタビュアー
死の四重奏ですか?恐ろしい言葉ですね。ウェストは誰でも測れますが、内臓脂肪の蓄積を調べる方法は他にありますか。
  先生
CTスキャンがあります。おへその高さでCTを撮り、それを特殊なパソコンで測算します。そうすると内臓脂肪の面積がわかります。内臓脂肪の面積100cm2以上ですとメタボリックシンドロームの可能性があります。メタボリックシンドロームとは、高脂血症や高血圧、糖尿病などの危険因子の集積のことを指します。もちろん一つ一つの病気が重症になれば単独でも問題です。しかし単独では問題にならないような軽い症状でも、いくつも寄せ集まると大変危険な状態につながる場合があります。
  インタビュアー
部分的な症状だけでなく、全体をみることが必要なのですね。
  先生
高脂血症や高血圧、糖尿病は氷山の一角で、海面下は危険因子がいっぱい氷山を例にあげましょう。氷山も海面から見えるのは一部ですが、海面下では大きな氷の塊としてつながっていたりしますよね。これと同じです。一つ一つを見落とさないことも大切ですれども、集まるともっと大きな危険になる。このような危険因子の集まりをマルチプルリスクファクター症候群ともいいます。
  インタビュアー
メタボリックシンドロームを予防する方法はあるのでしょうか。
  先生
いままでは、高血圧に対しては高血圧の薬、コレステロールに対してはコレステロールの薬というのが一般的でした。しかし、メタボリックシンドロームの大もとの原因は内臓脂肪にあります。内臓脂肪がたまるのは、生活習慣が悪いことに起因することが多いのです。ですから、生活習慣を改善するしかありません。
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