Panasonic ヘルスケア

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アレルギーの根本原因を探る Part.1 Part.2
アレルギーの根本原因を探る
今月の先生 西原克成先生
1940年生まれ。医学博士。‘65年東京医科歯科大学卒業。‘71年東京大学医学部大学院博士課程終了。東京大学医学部口腔外科教室講師となり、同大学付属病院で臨床に携わり、進化学研究を進める。その成果を元に、自己免疫疾患などの免疫病のメカニズムを解明し、治療方法を確立。人工歯根、人工骨髄の開発における第一人者でもあり、現在は、西原研究所にて治療にあたる。
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美容や健康。LOHASに対する記事を中心に執筆している編集・ライター。心理学や健康については個人的にも興味が強く、現在は睡眠について研究中。
アレルギーはなぜ起こる?
インタビュアー
そろそろ花粉症の季節ですが、花粉症は、花粉に対する抗体が体内にできることが原因のアレルギー疾患だと言われています。花粉症になる人、ならない人がいるのはどうしてなのでしょう?
先生
“アレルギー”について聞いてみました。そもそも花粉症は、スギなどの植物の花粉に含まれる特定の物質(タンパク質)が原因で生じるアレルギー疾患ですが、実は、抗体ができるかできないかの問題ではありません。白血球の消化力、つまりアレルゲンやばい菌などの異物を無害化する力=免疫力が強ければ、何の問題も起こらないのです。花粉タンパクを吸い込んだ上に、大気汚染や、後でお話しする口呼吸、過労、飲酒、喫煙などによって白血球の消化力が使われてしまうと、花粉の消化にまで力が回らず、花粉症になってしまうのです。
  インタビュアー
花粉症になるかどうかは、白血球の消化力と関係があるのですか?
  先生
きこりが花粉症にならないと言われるのは、山には排ガスが少なく、白血球の消化力が高いからです。都会のように大気汚染がひどいと白血球の消化力が落ち、花粉などのアレルゲンを消化しきれなくなってしまう。アレルゲンが未消化のままだと、それが刺激となって皮膚炎や発疹、鼻炎などが起こるのです。アトピー性皮膚炎やぜんそくなども、実はすべて白血球の消化力の低下=免疫力の低下によって起こります。ですから私は、これらをすべて免疫病と呼んでいます。
  インタビュアー
ということは、花粉を吸い込まないように気をつけると同時に、大気汚染を減らすことも必要だし、根本的には白血球の消化力をアップさせる必要があるということですね。では、もし白血球の消化力を強くすることができれば、一度花粉症になっても治る可能性があるということですか?
  先生
白血球の消化力が落ちると、ミトコンドリアの働きも低下し、細胞代謝も低下します。あります。白血球の消化力=免疫力のことですが、その実態は組織の新陳代謝です。組織の新陳代謝とは、できたての元気な白血球や組織球が、古くなった組織やウィルスなどのばい菌を消化・吸収し、再利用できるものは再び使うという、一連の生体反応のことです。
ヒトの身体は、細胞の中にあるミトコンドリア(※)などの働きによって、一晩の休息中に一兆個の細胞が生まれ替わっています。しかし、中には失敗作もあり、一晩だけで100万個の不良細胞が発生すると言われていて、このうち500〜3000個がガンなどになると考えられています。しかし、それでも病気にならないのは、白血球がそういった不良細胞を消化しているからです。白血球の消化力が落ちると、ミトコンドリアの働きも低下し、細胞代謝も低下します。花粉症だけでなく、ガンや子宮内膜症など、いろいろな病気にかかってしまう可能性が高くなるのです。

※ミトコンドリア:細胞質内に存在する球形ないし、棒状の小体。細胞質内に寄生したある種の細菌との見方もあるが、エネルギー代謝に欠かせない役割を担っている。

図:白血球が元気な時 クタクタの時
  インタビュアー
ミトコンドリアって生物の時間に習ったような気がしますが、健康な身体を保つためには重要なんですね。
  先生
そうです。細胞内のミトコンドリアが元気だと、身体のエネルギー代謝=気の流れも良くなり、元気になれるということは覚えておいてください。
  インタビュアー
今までのお話をまとめると、花粉症などのアレルギーは、白血球の消化力が落ちているひとつのサインであり、そのまま放置しておくと、他の病気を引き起こす可能性があるということですね。
  先生
そうですね。
白血球が弱くなる第一原因は口呼吸にあり
  インタビュアー
私も花粉症なのですが、疲れやすいし、白血球の消化力が弱くなっていると思うのですが、どうしてそうなってしまったのでしょうか?
  先生
いくつかの要因が挙げられますが、一番の原因は口呼吸だと思います。口呼吸とは言うまでもなく、口で息をすることですが、多くの人が口呼吸も鼻呼吸も同じだと思っているようです。でも、実はまったく違います。
  インタビュアー
そうなんですか? 自分がどちらで呼吸しているかなんて意識していませんでした。
図:「口呼吸」と「鼻呼吸」の違い
  先生
口呼吸は、白血球の働きが一気に低下し、扁桃がばい菌の温床となります。鼻呼吸は、空気を吸い込むと、鼻腔内の繊毛や粘液が空気をろ過・浄化して、副鼻腔で加湿加温します。そこを突破したばい菌などの異物は、さらにその奥の扁桃(へんとう※)で、鼻水やだ液に含まれるIgAという免疫物質によって一網打尽にされ、ほぼ100%消化されます。そのため、肺には異物が侵入しにくく、免疫機能が活性化して白血球の消化力もアップします。
一方、口呼吸は、喉に直接異物が付着してしまうため、白血球の働きが一気に低下し、扁桃がばい菌の温床となります。口呼吸によって鼻水もだ液も乾いてしまうため、IgAが分泌されない上に、副鼻腔を通らないことから外気の温度と湿度のまま空気や異物が肺へ入ってしまいます。そのため、肺や気道がダメージを受け、白血球はばい菌を消化できずに抱えたまま体内を回ってしまい、その結果、さまざまな不調がおきやすくなるのです。

※扁桃(へんとう):白血球が盛んにつくられているところ。

  インタビュアー
そんなに大きな違いがあるなんて、まったく知りませんでした。口呼吸って怖いですね。
  先生
口呼吸が習慣になると、鼻の中の空気がよどんで乾燥し、鼻水が出にくくなったり、蓄膿(ちくのう)症などの病気にもなりやすくなるため、悪循環になりがちです。自分が口呼吸をしていると思う人は、意識して鼻呼吸に変えることが必要です。
  インタビュアー
でも、口呼吸している人ってすごく多い気がします。口を開けている子どもも多いですよね。
  先生
そう。子どもにもとても多い。それは間違った育児に原因があります。そのひとつがオシャブリ。日本では、オシャブリは早く取り上げるのが良いと言われていますが、それは違います。鼻呼吸が習慣づく前にオシャブリを取り上げてしまうと、口呼吸の原因になります。
  インタビュアー
全然、知りませんでした。あごの形を整えるためには早く取り上げたほうが良いと聞いていましたが、口呼吸の原因になってしまうのですね。口呼吸の他に、白血球の消化力を低下させる要因はありますか?
  先生
子どもについて言えば、母乳や離乳食の与え方も重要です。本当は5歳、早くても2歳半くらいまでは母乳か市販のミルクで育てるのが理想です。というのも、哺乳動物は授乳期間中は、腸の細菌を吸収してしまいます。離乳食を与えた途端、ビフィズス菌の腸が大人と同じ腸内環境、つまり大腸菌ばかりになってしまうため、赤ちゃんはこの大腸菌を白血球が吸収してしまいます。
  インタビュアー
白血球を元気に保つことは、子どもの頃から大切なんですね。
  先生
大人になっても、どんな食事を摂るかということはとても重要ですし、よく噛んで食べることも大切です。よく噛むことは、脳の働きを活性させ、免疫系にも大きな影響を与えるからです。逆に、たとえ食事に気をつけていても、歯周病があると、そのばい菌が白血球の消化力を低下させ、ばい菌が体内に運ばれる原因となるので、きちんと治療することが大切です。
  インタビュアー
白血球の消化力を下げないためには、ばい菌を体内に入れないことが大切なんですね。それにしても、食べ物、空気、歯周病と、ばい菌が体内に入ってしまう可能性はいろいろありますね。これからの季節、花粉だけでなく、カビの菌やいろいろな雑菌も増えてくるので、気をつけないといけませんね。
  先生
そうですね。ばい菌を体内に入れないためには、鼻呼吸を意識するとともに、食べ物に気をつけたり、空気清浄機などで空気を少しでもきれいにしておくと良いのではないでしょうか。
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