Panasonic ヘルスケア

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冷えは万病のもと Part.1 Part.2
冷えは万病のもと

冷えを感じている人は少なくないようですが、冷えが起こる原因や、
冷えが身体に与える影響などについては知らない人が多いようです。
冷えとはどんなものか、また冷えを防ぐ方法などについて教えてください。

今月の先生 渡邉賀子先生

久留米大学医学部卒業。熊本大学第三内科、国立熊本病院、近畿大学東洋医学研究所を経て、1997年、北里大学研究所東洋医学総合研究所に日本初となる「冷え症外来」を開設。2003年には慶応義塾大学病院漢方クリニックにて、女性専門外来「漢方女性抗加齢外来」を開設。2004年より現職。日本東洋医学会・指導医。和漢医薬学会・評議員。

先生の著書
「冷え症で悩む人に」NHK出版・今日の健康シリーズ
「きれい&元気になる冷え症解消法」池田書店
「女性ホルモンですっきりキレイ」(総監修)ナツメ社
先生の著書(新しいウィンドウで表示)
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編集・ライター。美容や健康、LOHASなど、心地いい暮らしに役立つ記事を執筆。心理学や睡眠にも興味が強く、現在勉強中。
女性の半数以上が冷え症
インタビュアー
冷え症というと、女性に多いというイメージがありますが、実際はどうなのでしょう?
  先生
冷えを訴えるのは圧倒的に女性が多いですね。冷えは自覚的なものなので、実は客観的な診断が難しいといわれます。しかし、冷えを訴える人は、圧倒的に女性に多く、2人に1人は冷え症だといわれています。また、自覚のない“隠れ冷え症”や“冷え症予備軍”まで含めると、女性の7割が冷え症だという報告もあります。ただ、男性に冷えがないわけではなく、自覚している人は10%程度おり、実際はそれよりも多いといわれています。
  インタビュアー
それでも、男女比が1:5とは驚きました。冷えは圧倒的に女性に多いんですね。その理由はどんなことが挙げられるでしょうか?
  先生
第一に、男性より筋肉量が少ないこと。筋肉は身体の約6割の熱をつくり出す大きな生産工場なんです。そのため、筋肉が少ないと、つくり出される熱量が少なく、冷えやすくなります。その他の理由としては、薄着、無理なダイエットなども挙げられます。若い女性の間でおへそを出したファッションや素足が流行っていますが、これでは熱がどんどん逃げてしまうので冷えて当然ですし、無理なダイエットをすると、やはりエネルギーが十分につくれず、冷えやすくなります。
また、女性の場合、下腹部には子宮や卵巣など、男性にはない臓器があり、構造も複雑です。そのため、血流が滞りやすく、冷えを起こしやすくなります。ご存知のように、生理前後で体温が変化しますが、この際、ホルモンの影響で血流をつかさどる自律神経に影響が及び、血流が悪くなることもあります。
女性に冷えが多い理由
  インタビュアー
そんなにいくつも理由があったんですね。
  先生
実はそれだけではなくて、胃腸障害(食べたものをエネルギーに変換できない)、貧血、低血圧、ドロドロ血、心疾患、動脈硬化、甲状腺機能障害、自己免疫性疾患、自律神経失調症といった病気が原因で冷えが起こることもあるので注意しましょう。
  インタビュアー
動脈硬化といった病気が隠されている冷えもあるということですね。
  先生
そうです。ですから、たかが冷えと放っておくのはよくありません。関節リウマチは冷えによって痛みが増強しますし、気管支喘息やアレルギー性鼻炎なども冷えによって悪化するので、注意が必要です。最近では、PMS(月経前症候群)や不妊症、アトピー性皮膚炎、更年期障害なども冷えと関係しているといわれています。
今は、冬になっても家の中は暖かいし、夏でもクーラーで涼しく過ごせます。それなのに冷え症が多いって不思議だと思いませんか?
  インタビュアー
そういわれると確かにそうですね。
  先生
実は、こうした現代の環境が冷えをつくり出しているともいわれています。
  インタビュアー
それはどういうことですか?
  先生
過剰な冷暖房によって外気との温度差が激しくなって、急にひんやりしたり、急に暖かくなることは、実は、自律神経にとても負担になります。そのほかにも、食生活の乱れ、生活リズムの乱れ、ストレスなど、現代社会ならではの生活が自律神経の体温調節機能を乱れさせ、冷えを起こしていると考えられるのです。
冷えは身体の末端に現れやすい
  インタビュアー
冷えると手足などが初めに冷たくなることが多いようですが、これはどうしてでしょうか?
  先生
臓器や脳は、生命を維持するのに欠かせない部分ですが、私たちの身体にはもともと、この大切な部分を守る働きがあり、臓器や脳の体温(深部体温)は、酵素などが働くのに最適な約37℃に保たれています。そのため、暑くなって深部体温が上がりそうになると、自律神経が働いて、毛穴や血管が開いて血行が促され、さらに汗をかいて熱を下げようと働きます。逆に寒いと感じると、とり肌や震えが起きますが、これは深部体温の熱が逃げないよう、末端の毛穴や血管が収縮するためです。雪山などで、耳や指先が凍傷になることがありますが、まさにこれは、深部体温を維持するため、末端の血行が遮断されてしまった結果なのです。
深部体温(腸や脳)を維持するため、末端の血管が収縮する
  インタビュアー
身体のしくみってすごいですね。
  先生
雪山のケースは危機的状況なので例外だとしても、こうした気温による一時的な冷えは、実は正常なものです。むしろ、暑いのに汗をかかなかったり、寒いのに手足が温かいままだったりするのは、自律神経が正しく働いていない証拠で危険です。こうした状態は高齢者によく見られるのですが、実は冷え症も、これによく似ています。通常、一時的に手足が冷えたとしても、身体はすぐに熱をつくり出し、しばらくするとポカポカしてきます。しかし、冷え症の人は、体温調整機能が低下しているため、なかなか温まらず、いつまでも冷えた状態になります。
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