Beautiful JAPAN towards 2020

奈良県:若草山

Beautiful JAPAN towards 2020

まっすぐに、ただ一点を見つめて
その先に2020年東京がある

腰をすえ、背すじを伸ばし、両肩をまっすぐ的に向ける。弓と矢を手にし、頬とくちびる、弦を引くヒジが、一直線になるよう矢筋をとおす……じゅうぶんに伸び合ったところで、静かにリリース。放たれた矢はまっすぐに的を射る。

「集中力には自信があります」

奈良盆地をのぞむ矢田丘陵。奈良学園中学校にかよう竹原伶さんは、入学前から、アーチェリー部に入ると決めていた。走るのもボール競技も苦手。しかし初心者でもできるアーチェリーを知って、「決まりやな」と思った。

「アタマをつかう競技です。1mmの世界で勝負が決まりますから」

圧倒的なフィジカルも、華麗なテクニックもない。選手はただ黙々と、一定のルーティーンで、的に向かってリリースをつづける。勝敗を分けるのは、日々の努力と落ち着き、そして集中力。顧問の上原朋之さんは語る。

「高校からはじめても、高校チャンピオンになれるのが、アーチェ―リーです。大切なのは、点数を上げるため、自分を伸ばすために、どう努力をするのか。子供たちには、『勉強と一緒や』と言っています」

とはいえ、正しいフォームで弓を射るには、かなりの筋力を必要とする。奈良学園アーチェリー部も、入部して10ヶ月間は筋トレに明け暮れる。

女性部員の中川慈(めぐみ)さんも、もともと運動が苦手だった。

「1年目はひたすら筋トレばかりで、『こんなんでいいのかな』と思ったことも何度かあります。でも筋力さえつけば、誰でもできるし、ちゃんと進歩できる。最初に射ったときは、気持よかったですね」

ひとりコツコツ、たんたんと。地道な努力が実をむすぶアーチェリーに、中川さんは魅了された。副顧問の阿部陽介さんは語る。

「最終的には、ひとりでやる競技なので。自分がうまくなりたい、勝ちたいという子が残ります」

一本、また一本。近道はない。矢田丘陵に放たれた矢の数だけ、2020年東京オリンピックの夢はふくらむ。

撮影年月:2014年10月