Beautiful JAPAN towards 2020

静岡県:中田島砂丘

Beautiful JAPAN towards 2020

静岡県:中田島砂丘

Beautiful JAPAN towards 2020

家族のため、仲間のため
夢に向かって走りつづける

沈む夕陽の波うちぎわで、遠州浜の中田島砂丘で、四ツ池公園陸上競技場のトラックで、少年は自分のフォームを確認するように、しっかりとていねいに走る。川島陸さんは今、走ることが楽しくてたまらない。

「静岡県の西部陸上大会ではじめて大会新の12秒80を出して、それから走ることが楽しくなって、もっと走りたい、記録を出して絶対に勝つという気持ちが高まって……」

川島さんの変化は、所属する浜松河輪アスリートクラブのコーチ・古山尚知さんも認めている。
「本人の言葉から出てくることはありませんが、大会前になると、『負けてたまるか』という芯の強さを感じます」

そしてクラブの仲間たち、藤原和樹さん、山崎淳也さん、大井吏月さんの証言には、いっしょにトラックで走ってきた実感がこもっている。

山崎「走るときの迫力が強い。目立つよね」
藤原「うん、スタートがよくなった。一緒に走っても全然追いつけない」
大井「ふだんはよくしゃべるよね。ムードメーカー」

「結局、楽しく走ることが、いちばん大切なんだと思う」

どんなに練習がキツくても、クラブの仲間たちと騒いだり、リレー競争で達成感をわかちあったり、そうした時間の楽しさが、川島さんの走るベースとなっている。そしてもっとも大きな支えとなっているのが、母・良子さんの存在だ。

「ガンバレ! とかじゃなくて、祈る気持ち。すごく緊張します。レースが終わると、は〜って力が抜ける感じなんです」

オリンピック競技でも花形とされる男子陸上100m走。金メダリストはその瞬間から「世界最速の男」と称される。2020年の東京オリンピックが決まったとき、川島さんの夢も決まった。家族のため、仲間のため、オリンピックに出て活躍したい。

「あいつだったら9秒台出せる。ぜったいにオリンピックに出られる」
仲間たちも太鼓判を押す。夢を信じるのはひとりじゃない。この場所に「孤独なランナー」はいない。

撮影年月:2014年6月