47都道府県のアスリートたち

福岡県

夫婦で目指す、2020年のパラバドミントン表彰台

2018年06月14日

写真:バドミントンのポーズをとる小林悦子選手と幸平選手

東京2020パラリンピックで初の正式競技となった「パラバドミントン」に夫婦で出場を目指す小林悦子選手と幸平選手(福岡県)。悦子選手はパナソニック、幸平選手はブリヂストンでそれぞれ働きながも、二人で日々練習に励んでいます。そんなお二人に、夫婦でパラリンピックを目指す上での課題やパラバドミントンの魅力について、ざっくばらんに伺いました。

会社員パラアスリートの課題は"休息"

―毎日、仕事が終わるとお二人で練習されているそうですね。具体的には、どのような練習に取り組まれているのでしょうか?

写真:インタビューに答える小林選手

小林悦子選手の課題は、「クリア」の飛び

悦子選手 「私は、自分の弱点の克服に向けて練習にしています。特にクリア(※)の飛びに課題があると感じていて、その背景にはチェアワークの弱さがあるので、コーチと一緒にその点を重点的に練習しています」

※クリア:相手に追い込まれた状態で、高く遠くにシャトルを飛ばすショットのこと

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「コンディションに気をつかう」と話す小林幸平選手

幸平選手 「僕もピンポイントのショットの精度をさらに上げていくため、チェアワークを意識して練習しています。同時に、最近はコンディションの部分にも気をつかうようになりました。終業後に練習を始めると、どうしても帰るのが遅い時間になりがち。疲労が溜まると怪我の原因にもなるので、しっかり食事をとって、睡眠も長く取るようにしています」

悦子選手 「毎日1時、2時に就寝して、翌朝仕事に出かけて...... というのがずっと続いたこともありました。土日も同じように練習するので、1週間ずっと疲れを引きずっちゃう。『若い時はこんなことなかったのに...』なんて思ったりもします(笑)。でも、やっと最近その日のうちに寝られるようになりました」

幸平選手 「睡眠不足でも体が動くのは動く。でも、集中力が落ちて来て気づいたらボーっとしていることも。睡眠は大事だよね」

悦子選手 「次の日の活力が全然違うよね」

夫婦での練習は「一長一短」

ーコンディションもそうですが、ご夫婦で練習されているとお互いに声を掛け合ったり、アドバイスしたりもできるのでは?

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夫婦ゆえに「素直にアドバイスが聞けない」と笑う悦子選手

幸平選手 「悦子さんは、僕に対してはあまり言わない。どちらかというと、僕が『どうだった?』と意見を求めたらアドバイスをしてくれる感じです」

悦子選手 「彼は結構アドバイスをくれますね。けど、私は自分で納得いかないとなかなか飲み込めない部分もあったりして。もしコーチに言われたら受け入れられるんでしょうけど、家族なだけに素直に聞き入れられないんです」

幸平選手 「悦子さんは負けず嫌いなんですよね」

悦子選手 「一回拒否してしまう。夫婦で練習するのは一長一短。お互い支え合えるのが良さだけど、素直にアドバイスを聞けないのは短所かな(笑)」

パラアスリートとして感じた東京の課題

―2020年に向けて、東京では会場の準備や工事がいろんなところで進んでいます。お二人が東京にいらっしゃって、気付いたことはありますか?

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「東京もまだ車いすで利用しにくい部分がある」と話す幸平選手

幸平選手 「交通の便がいいと言われている東京でも、車いすでは利用しにくい部分はまだまだありますね。たとえば、東京の本社に出社しようとした時のこと。時間に余裕を持って出たのですが、実際に最寄り駅に行くとエレベーターがない。駅員さんも手がいっぱいで対応できないと言われてしまった。もう一つ先の駅にエレベーターがあると聞いて、急いで向かってギリギリ間に合いました。大きい駅だと移動は大変です」

悦子選手 「私がよく苦労するのは、空港バス。いつも都内の体育館に行くときに利用するんですが、乗車口にリフトが付いているバスがないんです。遠征に行く時などは、競技用車いすを持っていったりしていて荷物も多いので、電車で行くのは大変。路線バスのように、乗り降りがしやすい空港バスがあれば楽なのになぁ、と感じます」

―なるほど。電車や路線バスのバリアフリー対策はよく目にしますが、空港バスは盲点でした。

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パラアスリートの視点で「東京」を語る小林夫妻

幸平選手 「でも、東京の人は優しいですね。できないことがあった時、こちらから言ったらすぐに手助けしてくれて、それを見た他の人たちも一緒に協力してくれる。東京は人が冷たいと聞いていたけど、全然いい人やん!って思いました」

表彰台に上り、世界との差を縮めたい

―東京2020パラリンピックの開催まで、まもなく2年と迫ってきましたが、それぞれ目標を教えてください。

写真:東京2020パラリンピックへの想いを語る悦子選手

悦子選手の目標はパラリンピックの表彰台

悦子選手 「パラリンピックの表彰台に上がることを目標にしています。そのためにも、まずは試合に勝ち続けて、世界ランキングをあげて行きたい。ただ海外で試合をすると、自分では負ける気がしないと思っていても、負けてしまうことが多いので、技術とともにメンタルも強化していかないといけないと感じています」

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「世界との差を縮めたい」と話す幸平選手

幸平選手 「僕もパラリンピックの出場とメダル獲得が目標ですが、今車いすバドミントンは韓国がダントツで1番の状態なんです。まずは国内で1番を目指すとともに、世界との差も縮めていきたいです」

「音」に注目して楽しんで

―都内では2017年、パラバドミントン専用のコートができたり、世界大会が日本で初開催されたりと、パラバドミントンへの注目が高まってきています。パラバドミントンを観戦する際に注目すべきポイントは?

写真:シャトルを打ち返す悦子選手

長いラリーからどう展開されるかも見どころのひとつ

悦子選手 「他の人の試合を見ていて、すごく長くラリーが続くと『どこで仕掛けてくるだろう』『どちらが取るんだろう』とハラハラします。仕掛けるタイミングはいつ来るかわからないので、そのドキドキを楽しんでもらえると思います」

写真:車椅子を操る幸平選手

ショットや車いすの音にも注目

幸平選手 「実際に会場で観戦する際は、『音』にも注目してみてください。後ろに追い込まれて打ち返す時のショットの音だったり、ギリギリで取った後の『キュッ』という車いすの音だったり。試合が進んで行くと、自分を鼓舞するような声を出す選手もいる。声出して頑張っている選手を見ると、一緒に熱くなれる部分もあるんじゃないかな」

悦子選手 「ダブルスでは、車いすでローテーションしたりもする。上手い人の打つシャトルの速さも見応えがありますよ」

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夫婦で東京2020パラリンピックを目指す小林悦子選手、幸平選手

幸平選手 「選手はみんな同じ車いすに乗っているように見えるかもしれないけれど、見続けていると、ショットや車いすを漕ぐ動作で、それぞれの選手の障がいの程度が分かるようになります。障がいが重くても、技術や駆け引きが上手で、障がいが軽い人に勝つ選手もいる。難しいと思いますが、その辺が分かるようになると、パラバトミントンをより楽しんでもらえると思います」

■小林悦子選手プロフィール

1968年生まれ。2歳の時に患ったはしかの後遺症で右手足に麻痺が残る。1988年に同級生だった車いすバスケットボールの有名選手に誘われたのがきっかけで、車いすバスケットボールを始める。1992年パナソニックへ入社。その後結婚を機にしばらく競技から離れたが、2008年車いすバドミントンを始める。バドミントンが東京2020パラリンピックの正式種目になったことで、本気で表彰台に立ちたいと思っている。

小林悦子選手インタビュー記事

■小林幸平選手プロフィール

1979年福岡県朝倉市生まれ。2007年(株)ブリヂストン入社。17歳のとき、交通事故で脊髄を損傷し車いすの生活となる。パラバドミントン選手である妻・小林悦子さん(パナソニック所属)の影響で、2015年3月よりパラバドミントンを始める。その後、急成長を遂げ、国内外の大会で好成績を残している。2020年の東京パラリンピックでのメダル獲得を目指す。

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