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新潟県

「毎日の積み重ねが2年後につながっていく」BMX中井飛馬選手インタビュー

2018年11月22日

写真:BMXにまたがる中井選手

2015年、ビューティフルジャパンが新潟県で出会ったBMXの中井飛馬選手(当時中学3年生)。2018年には、男子ジュニア(17および18歳)の強化指定選手として、全日本選手権連覇、アジア選手権優勝とすばらしい活躍を見せてくれました。ジュニア世界ランキング1位で挑んだ、6月の世界選手権では準決勝敗退と悔しい結果となったものの、名実ともにトップアスリートとして世界から注目されています。今回は、中井飛馬選手に、その後の変化、そして東京2020オリンピックにむけての意気込みを聞きました。

新潟を離れて気づいたこと

現在、中井飛馬選手は、親元を離れて川崎で一人暮らしをしている。東京の高校に在籍しながら、BMXの練習と海外を転戦する日々が続く。その中で、さまざまな学びがあったという。

写真:練習中の中井選手

一つひとつの練習を大切にする

「家族と離れて環境を変え、BMXに取り組む中で学んだことは多いです。中学時代に比べて、海外を転戦することも増えて、いろんな文化にも触れました。視野が広がったし、考え方も変わりましたね。たとえば、練習への意欲や熱意です。昔も熱意がなかったわけではないですが、一つひとつの練習の重みのとらえ方が変わりました。実力は練習の積み重ねの結果です。だから、限られた時間の中でどう自分をレベルアップさせるか、考えるようになりました。コーチと近くで暮らすようになった影響もあると思います」

東京にはBMXを練習する場所がないので、埼玉県の秩父か、茨城県ひたちなか市のコースに行く。BMXに乗らないときはジムでトレーニング。短時間に凝縮したトレーニングが、中井選手のスタイルだ。それもBMXのレースという競技特性を考えてのこと。

写真:インタビューに答える中井選手

勝つためにできることを選択する

「せいぜい、一日で2時間か3時間ぐらいです。BMXのレースは、35秒から40秒という短い時間で勝負が決まる競技。ダラダラ長くやっていても仕方ない。短時間で集中しないと100%出し切れないので。短いときは1時間で切りあげることもあります。『ストイック』とよく言われますが、自分ではそう認識したことはありません。ぼくがやっていることは、ただ勝てること、勝つためにできることを一つひとつ探しているだけ。すごく単純な選択ですよ」

原動力は、「BMXの楽しさ」

強化指定選手になっても「何も変わったことはない」と中井選手は話す。プレッシャーに感じることも一切ないという。
「(競技に取り組むことは)ぼく自身の問題です。だから、外からのプレッシャーは感じません。もちろん緊張することはありますが、ぼくがすべきことは自分らしい走りだったり、いままで練習でやってきたことを出し切ったりするだけなので。もちろん、サポートしてくれたり、応援してくれたりするみんなのため、結果を出したいという気持ちはあります。でも、それがプレッシャーになったことはありませんね」

写真:BMXに乗る中井選手

BMXに乗ること自体が楽しい

世界で活躍し、競技の最前線にいても、中井選手の中には、ずっと変わらないことがある。それは純粋にBMXを楽しむこと。楽しさが競技に取り組む原動力になっているのだ。
「BMXは、遊びが起源。だから、BMXが楽しいことだというのは、乗りはじめたころから13年間まったく変わっていません。大会の緊張とか練習の厳しさとか、つらいと思うことはありますが、やっぱりBMXに乗っていることが楽しいんです。これは、ぼくに限らず、BMXに乗ってるみんなが感じていることだと思います」

そんな中井選手が一番つらかったのが、2016年から1年間、ケガでBMXに乗れなかったこと。いまでは笑い話になっているが、当時は自転車に乗っている夢を見るほどだった。

写真

取材の合間に、自転車のメンテナンス

「ケガをしている間は、本当に自転車不足でした。いつも、自転車に乗ってるところを妄想していましたね(笑)。物心ついたときからずっと乗っているので、ある意味で趣味の延長線上でやっているようなものかもしれません」

「2年後」ではなく、毎日の積み重ねを大事にしたい

「BMXをメジャーにしたい」 その想いは、ビューティフルジャパンが最初に中井選手に会ったときから変わっていない。普段からどうやったらBMXが人気になるか、考えて続けている。

写真:インタビューに答える中井選手

BMXをメジャーにするためにも「結果」を出したい

「そのために必要なのは、やっぱり日本選手の結果です。具体的にはオリンピック金メダル、世界選手権優勝、ワールドカップ優勝、そういう結果が一番だと思います。ぼくができることは、BMXをメジャーにするという観点からも、『結果を出すこと』。そう自分で解釈しました。それは、モチベーションになっていますね」

BMXをメジャーにするためにも、地元開催である東京2020オリンピックは重要な大会。しかし、開催まで2年を切ったことは、それほど意識していないと中井選手は語る。

写真:BMXにまたがる中井選手

毎日の積み重ねが2020年につながる

「よくコーチから言われる言葉があります。『Don't count the days. Make the days count.』※。目標に向かって、カウントダウンするのではなくて、いまの一日を大事にして積み重ねていこうよ、という意味です。(周囲は)2年後と思っているかもしれませんが、大事なのは、今日であって、明日であって、一つひとつのトレーニングです。もちろん東京2020オリンピックは大事で、ずっと目標にしてきたことなんですが、やっぱりこの一日が2年後につながっているというのを考えています。やることは変わらず、いまに集中していくだけです」

※アメリカ合衆国の元プロボクサー、モハメド・アリの言葉。1960年ローマオリンピックのボクシングライトヘビー級で金メダル獲得。プロに転向して通算三度のヘビー級世界チャンピオンとなる。2016年6月没。

■中井飛馬選手プロフィール

2000年生まれ。5歳のとき新潟県上越市金谷山にてBMXレースと出会う。
2017年、2018年全日本選手権ジュニアエリート優勝
2018年アジア選手権ジュニアエリート優勝
2017年世界選手権ジュニアエリート4位
日本自転車競技連盟BMX強化指定選手

インタビュー映像

新潟県BMX協会・中井飛馬さん。自転車の格闘技。恐怖心よりも達成感が勝る。

YouTube 動画:新潟・BMX 篇 競技の魅力と2020の夢を語る 再生する

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