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新潟県

自転車の格闘技「BMXレース」の見どころをチェック!

2018年11月22日

写真:BMXの練習中の中井選手

北京2008オリンピックから正式競技となったBMXレース。東京2020オリンピックからはフリースタイルパークも正式種目となり、自転車競技におけるBMXはこれまで以上に注目を集めそうだ。今回は、新潟県BMX協会の中井浩之会長に、BMXの歴史と魅力、そしてレースの見どころを聞いた。

子どもから大人まで楽しめるBMX

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新潟県BMX協会の中井浩之会長

自転車競技の中で、世界的に若者の人気を集めているのがBMXです。もともとはストリートで発祥したもの。1970年代のアメリカで、オートバイのモトクロスレースを子どもがまねしたのがBMXのはじまり。1971年の『On Any Sunday(邦題:栄光のライダー)』※1という有名なドキュメンタリー映画の影響もあると思います。

写真:ラフな格好で BMXにのる中井選手

息子の中井飛馬選手も5歳からBMXに親しんだ

BMXレースの魅力のひとつが、子どもから大人まで楽しめること。おじいちゃん、お父さん、息子のように三世代で競技に参加していることも珍しくありません。おばあちゃんだってBMXに乗ってます(笑)。アメリカでは、それぐらいポピュラーな競技です。世界選手権も、下は5歳から出場できるんです。ちなみに、2018年の世界選手権では、埼玉県の澤田茉奈さんが女子8歳クラスで優勝しています。

日本でBMXに触れた最初の世代は、現在50代ぐらいの方だと思います。1982年の映画『E.T.』※2で、主人公たちが乗っているのを見てBMXを知った方もいるかもしれません。時代としては、その少し前にフリスビーやスケートボードと一緒にアメリカの文化としてBMXは日本に紹介されました。当時、BMXに飛びついたのが都会の新しいもの好き。現在、BMXの世界で「レジェンド」と言われているような人たちです。その頃からレースもありました。全日本選手権は1985年にはじまり、2018年で35回目を迎えました。いまでも「レジェンド」のおじさんたちは、レースを楽しんでいます(笑)。

※1:全米各地のオートバイレースや選手たちの日常を描いたドキュメンタリー映画。俳優スティーブ・マックイーンがモトクロスに乗るシーンも見ることができる。
※2:異星人と子どもたちの交流を描いたSF映画。劇中で使われたBMXは大阪市のメーカーによるもので、当時の世界的ヒット商品となった。

8名で競う自転車の格闘技

写真:BMXの競技の様子

転倒や接触が多く、自転車の格闘技と言われる

BMXレースは、大小コブがある1周350mから400mのトラックを合計8名で走ります。1着でゴールラインを通った選手が勝ちという極めてシンプルな競技です。東京2020オリンピックでは、男子24名、女子24名が出場する予定です。24名の予選からスタートして、最終的に8名に絞られて決勝を競います。

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アスファルトでつくられた「バーム」

8名が一気にトラックを走るので、転倒があったり、接触があったりは当たり前。空中でジャンプしながらぶつかることも珍しくありません。角度のついたカーブは「バーム」と呼ばれ、アスファルトでつくられています。そこでぶつかって転倒することもある。競技としてケガはつきものですね。ロードレースや競輪など、他の自転車競技でもぶつかることはありますが、BMXほどではありません。BMXが「自転車の格闘技」と言われるのは、こうしたアグレッシブな展開があるからです。

レースの注目ポイントは、スタート時の緊張感

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スタートヒルには、1から8まで数字が並ぶ

スタート地点は、小高くなっていて「スタートヒル」といいます。スタートヒルには、1から8までのスターティング・ポジションが表示されています。予選でのスターティング・ポジションは、これまでの成績に応じたランキング順に選手が選びます。予選以外のレースは、予選での成績順でスターティング・ポジションを選びます。一般的にインコース、つまり1コースが有利です。ただ、コースによっては「バーム」の進入角度がきついこともあるので、1コースが絶対有利とは言い切れません。また、アウトコースになれば不利ですが、ストレートが得意な選手が勝ち進んだ場合、外側からライバルにプレッシャーをかけるため、戦略的にアウトコースを選ぶこともあります。

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ランダムゲートによるスタート

そして注目は、スタートの一瞬です。BMXレースではランダムゲートが採用されています。「OK RIDERS RANDOM START」「RIDERS READY」「WATCH THE GATE」と音声が流れ、シグナルが点灯してゲートが倒れます。そのシグナル点灯までの時間が、0.1~2.7秒とランダムなため、いつゲートが倒れるかはレースによって異なります。以前のゲートは予測をしながらスタートが切れたため、その偶然性でゲームが決まってしまうこともありました。それを防ぎ、一律スタートさせるためにランダムゲートが採用されています。

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「スタートの緊張感が好きだ」と話す中井会長

BMXレースは先行逃げ切りが有利です。そのため勝敗をわけるのは、スタートが7割と言われるほど。このスタートの緊張感は、私も好きです。いつゲートが倒れてもいいように集中する。あっと思った段階で出遅れてしまうこともある。しかも、スタートヒルの高さは地上8m。ゲートが倒れた瞬間にはじけるようにスタートを切る。8mの高さから一気に下って時速60㎞ぐらいまで加速します。

レース時間は、35秒から40秒。スピードを殺すことなく、相手との駆け引き、ライン取り、ジャンプの高さをどうするのか、瞬時に判断しながら走ります。ジャンプの着地面を「バックサイド」と言いますが、このバックサイドへわずかでも平行に着地できなければ失速してしまう。BMXレースとは、短時間に、知力、身体の使い方、バランス感覚が求められる競技なのです。

TVCM120秒

BMXという自転車競技を、もっとメジャーにしたいと日々頑張っているジュニアアスリートたちがここにいる。

YouTube 動画:新潟・BMX 篇 怖さを乗り越え、この先の夢へ 再生する

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