47都道府県のアスリートたち

岡山県

カヌーで障がい者と健常者との壁を超えていきたい。山田隼平選手の描く夢

2018年11月22日

写真:カヌーを漕ぐ山田さん

山田隼平(やまだ・しゅんぺい)さん。パナソニック吉備で働きながら、カヌーで東京2020パラリンピックを目指している会社員アスリートだ。職場を訪ね、会社のこと、競技のこと、今後の夢、東京2020パラリンピックのことなどを聞いた。

写真:インタビューに答える山田さん

山田さんには先天的な両下肢機能障がいがある。「2000人に1人くらいの確率で起こる、二分脊椎症という病気です。だいたい腰のあたり、脊椎の神経が骨に圧迫されて、一応脚は動くのですが、完全には動きません。歩くのはちょっと難しいので、車椅子で生活しています。」

写真:カヌーのトレーニングをする山田さん

それでも幼い頃から健常者と一緒にスポーツに親しんできた。「元々カヌーっていうもの自体が、学校の遠足代わりでした。とても身近なものであったので、おもしろいんじゃないかなと興味を持ってカヌー部に入りました」

写真:室内でウエイトトレーニングをする山田さん

中学の部活で選んだカヌーで、健常者のメンバーと一緒に全国大会に出場した。「いろんなスポーツに興味を持って、最初は僕自身も障がい者の方とのスポーツっていうのに、ちょっと偏見があったとは思う」と話す山田さん。
健常者と同じルールで切磋琢磨してきた経験から、自身でも障がい者スポーツに複雑な思いがあったそう。しかし、障がい者であってもレベルの高さやスポーツを楽しむという点では、健常者と変わらないと考えるようになり、パラスポーツを続けている。

写真:パナソニック吉備の社内の様子

山田さんが働くパナソニック吉備は、岡山県と吉備中央町、パナソニックの共同出資による重度障がい者多数雇用事業所でもある。「障がい者雇用に力を入れているっていう会社で、工場全体がバリアフリーになっていて、車いすの人たちでも行動に問題なく仕事ができる会社になっていると思います。障がい者と健常者の割合は4:6で、障がい者が半分弱くらいですね。

写真:山本さん、のせさんのインタビューの様子

山田さんの同僚の山本佳幸(やまもと・よしゆき)さん、能勢大貴(のせ・だいき)さんにも話を聞いてみた。「そこまで大きい会社じゃなく、たぶん100人くらいなので、基本みんな知り合い。年齢層の幅はあるんですけど、みんな家族みたいな感じで仕事をしています」(山本さん)

「障がいを持った方っていうのは、どこでも働けるわけじゃないので。この会社だったらバリアフリーもしっかりしてるし、そういう雇用形態もしっかりしてるので、いろいろな障がいを持った方でも気兼ねなく、のびのびと自分の力を活かせるような仕事ができています」(能勢さん)

写真:社内の食堂での山田さん

障がいを持っている人が多くいることで、良い意味で「障がい者」という特別扱いがない。この会社の特徴だ。「特別扱いされないことが自分の中で逆に新鮮だったので、当然のように普通に接してもらえたのが一番嬉しかったと思います」(山田さん)。

写真:川沿いの景色のよい場所でインタビューに答える山田さん

そんな山田さんに、自分をどんなアスリートだと思うか聞いてみた。「元々健常者の方とスポーツをやっていたので、感覚として自分が障がい者であるという感覚が薄いのは確か。健常者と比べて自分が劣っているっていうのは思われたくはなかったので、負けず嫌いな部分はあると思います。健常者の競技とパラカヌーでは、ルール自体はほとんど変わらない。漕いでいる姿も。健常者の競技と比べても、遜色ないパフォーマンスができるんじゃないかと思います」(山田さん)

写真:カヌーのトレーニングをする山田さん

健常者に混じってスポーツをしてきた山田さんには、大きな夢がある。「すごく極端だとは思うんですけど、オリンピックとパラリンピックを同時開催というか、テレビの放送でパラスポーツがふつうに放映されるっていうのが理想。パラリンピックのはじまりってヨーロッパの軍人の方のリハビリの成果の発表会じゃないですけど、アーチェリー大会が起源だっていうふうに言われてるんです。その当時は、リハビリの成果の場だったかもしれませんが、今はもうアスリートっていう言葉で僕たちも呼ばれますし、スポーツの祭典っていうことで、オリンピックとパラリンピックが同じ土俵に立っていいんじゃないかと。そこに向けて自分が少しでも関わっていければなと思います」(山田さん)

写真:山田さんのことを話す山本さんと、のせさん

同僚たちはアスリートとしての山田さんにどんな思いを持っているのだろう。「山田くんには一生懸命カヌーだけを頑張って欲しいです」(山本さん)

「できることは全面的に応援するんで、がんばって東京2020パラリンピックに出てもらいたいです」(能勢さん)

写真:インタビューに答える山田さん

「一番の目標は国内で一位をとって、海外派遣にまず選考されることを目指したい」と山田さんは力強く語る。ひと漕ぎひと漕ぎ進んだ先に、目標を一つひとつ達成した先に、東京2020パラリンピック出場がある。そのことを、山田さんは知っている。

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インタビュー映像

東京2020パラリンピックを目指して働きながらカヌーの練習に励む。

YouTube動画:夢はパラリンピックがオリンピックと「同じ土俵に立つ」こと 岡山・カヌー篇 再生する

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