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大阪府

「言い合える関係」で目指す東京2020パラリンピック

2018年03月29日

写真:陸上トラックで練習をする西島さんと伴走者として走る溝渕さん

障がいがある人のスポーツというイメージがある「パラスポーツ」だが、実は多くの健常者もともに競技に参加している。神戸市在住で、パナソニック・エコソリューションズ社員の溝渕学さんもその1人。ブラインドマラソン の「伴走者」として、日本ブラインドマラソン協会(JBMA)強化指定の西島美保子選手(福井県在住)とともに、東京2020パラリンピックへの出場を目指す。

力量がランナーのタイムを左右する「伴走者」

学生時代はバレーボール一筋。陸上とは縁がなかったという溝渕さんが、マラソンに目覚めたのは社会人になってから。走れば走るほどタイムを縮められる楽しさに魅了され、いつの間にか小さな大会で優勝できるまでに成長した。そんななか、阪神・淡路大震災のボランティア企画で知り合った人の紹介を受け、ブラインドマラソンの「伴走」を始めた。

ブラインドマラソンでは、全盲や弱視など、視覚に障がいがある人が42.195kmのタイムを競う。ランナーの障がいの程度によって3つにクラス分けされており、「T11」、「T12」(※)の一部では伴走者が必要になる。※「T11」「T12」:国際パラリンピック委員会で採用されているクラス分け。「T11」は、視力が光覚までで、どの距離や方向でも認知はできない走者。「T12」は、手の形を認識できるものから視力0.03、または視野が5度以下の選手。

「きづな」と呼ばれる伴走用ロープを選手とともに握り、「10m先45度右カーブ!」「5cmの下り段差があります!」などと具体的な状況をタイミングよく伝えながら、ランナーをゴールまでアシストする伴走者。その力量が選手の記録を左右するといい、これまで多くのランナーの伴走をしてきた溝渕さんは「選手が3時間余り安心して走れる環境づくりに努めなければならない。大切なのは、相性・信頼関係です」と語る。

合言葉は「東京2020パラリンピックに絶対出場しよう」

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10年以上の信頼関係がある西島選手と溝渕さん

そんな溝渕さんが専任伴走者を務めているのが、ブラインド女子マラソンの先駆者ともいわれる西島選手。リオデジャネイロ2016パラリンピックでは、陸上日本代表選手として最年長の61歳で初出場したベテランランナーだ。2006年の大阪国際マラソンで初めて伴走してから、10年以上の付き合いになる。

福井県在住の西島選手と練習できるのは1ヶ月に2回程度と限られているが、「練習→試合→振り返り」というコミュニケーションを大切にしているという。「走る際は、周辺状況の伝達を工夫したり、前向きでいられるような声がけを常に心がけたりしています。時には叱ったりもしますが、何でも言い合える関係をこれからも続けていきたいと思っています」

リオデジャネイロ2016パラリンピックでは、途中棄権という無念の結果に終わってしまった西島選手。その悔しさを晴らすためにも、2人は今、「東京2020パラリンピックには絶対出場をしよう」を合言葉に、練習に励んでいる。

視覚障がい者マラソンのみどころは選手と伴走者のやりとり

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「東京はパラリンピアンが快適に過ごせる街であってほしい」

ブラインドマラソンには、「健常者マラソンとは異なるみどころがある」と溝渕さん。「選手と伴走者とのやりとりに着目すると、健常者マラソンとは違う面白さを発見できます。選手と伴走者の関係は千差万別。伴走用ロープの長さ、歩幅や腕の振り方など、どういうことに工夫しているかが見て取れます」

東京2020パラリンピック出場を目指し、伴走者としてランナーとともに走り続ける溝渕さんは、オリンピック・パラリンピック開催の準備が着々と進む東京の街についてこう語る。

「日常生活においても、視覚障がい者の方々は苦労しています。初めて行く場所などでは、駅に着いてどの出口から出ればいいのか分からなくなることがありますし、バリアフリーと謳う場所にも、意外な落とし穴があります。私たちの目標は東京2020パラリンピックに出場すること。だからこそ、東京は訪れたパラリンピアンの方が快適に過ごせる街であってほしいと願っています」

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インタビュー映像

女子視覚障害者マラソン伴走者として、パラリンピックを目指すパナソニック社員が、競技の魅力と想いを語る。

動画:視覚障がい者マラソン伴走者 ~パラリンピックを目指すパナソニック社員~ 再生する

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