ストラーダF1Xで聴くハイレゾサウンドの魅力ストラーダF1Xで聴くハイレゾサウンドの魅力

ライブの音響空間に包まれる、F1Xハイレゾサウンドライブの音響空間に包まれる、F1Xハイレゾサウンド

「スゴイなぁ……この広大な音場空間!」
クルマの中にPCM192kHz/24bitのハイレゾサウンドが鳴り響いた瞬間、思わずため息が洩れると同時に、無意識に呟いていたようだ。
助手席の仲野清裕主任技師(ストラーダ・ナビの音質設計責任者)に「そんなにいいですか?」と聞かれてわれにかえった。
ストラーダ F1Xのハイレゾ再生能力に心底驚き、認識を新たにした瞬間だった。

脅威のハイレゾサウンドを堪能!脅威のハイレゾサウンドを堪能!

 聴いていたのは、ステレオサウンド社から発売されている『ハイレゾ・リファレンス・チェックディスク』。苫米地義久(サックス)、石塚まみ(ピアノ)、石川智(パーカッション)の3人による縦横無尽、融通無碍な演奏を、ミキサーズラボの高田英男エンジニアが超ハイクォリティで捉えた渾身の作品だ。3人のミュージシャンによる演奏がいっさいの編集作業を経ることなく、ミキシングコンソールからの出力をダイレクトにDAW(デジタル録音システム)に接続して録音された、いわゆる『一発録り』の鮮度の高い音がこのチェックディスクの特徴。DAWは5台用意され、同じ演奏をそれぞれ異なるフォーマットとレゾリューション(PCMが44.1kHz/16bit、192kHz/24bit、384kHz/32bitの3通り、DSDは5.6MHz/1bitと11.2MHz/1bitの2通り)で録音しているので、その相違を再生装置側がどこまで正確に再現できるか、オーディオ機器の能力をあからさまにする、恐ろしい内容のチェックディスクなのである。

Stereo Sound Hi-Res Reference Check Disc (BD-ROM+CD)Stereo Sound Hi-Res Reference Check Disc (BD-ROM+CD)

Stereo Sound Hi-Res Reference Check Disc (BD-ROM+CD)

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ハイレゾ音源の可能性とはハイレゾ音源の可能性とは

 ハイレゾ(ハイレゾリューション=高解像度)音源とは、CDスペック(44.1kHzまたは48kHz/16bit)以上の情報量を持つ高音質な音源データと定義される。では、なぜハイレゾ音源は音がよいのか? 簡単に言うと、デジタル信号を収める『音の器』が、CDに比べ圧倒的に大きいため、そこに膨大な情報量を盛り込めるからだ。CDのフォーマットであるサンプリング周波数44.1kHz/量子化ビット数16bitと、ストラーダ F1Xが対応しているハイレゾの192kHz/24bitを比較すると、音のデータ量としてはじつに6.54倍。高域の再生限界はCDが22.05kHz、192kHzのハイレゾ音源は96kHzとなる。ダイナミックレンジはCDの96dBに対して、24bitのハイレゾ音源は144dB。人間の聴覚は、高域は20kHzまで聴こえ、ダイナミックレンジは、聴力の下限である0dBから飛行機の爆音に相当する120dBまでと言われるから、PCM192kHz/24bitのハイレゾ音源なら、人間の聴覚の限界をはるかに超える能力(器の大きさ)をもっていることになる。このハイスペックゆえ、楽音のみならず、演奏会場のアンビエンスや演奏者の気配までが伝わってきて、CDでは経験できなかった、めくるめく音の世界を堪能できるのだ。

CDの約6.5倍のデータ量をもつハイレゾ音源CDの約6.5倍のデータ量をもつハイレゾ音源

CDの約6.5倍のデータ量をもつハイレゾ音源

ストラーダの取り組みストラーダの取り組み

 さらにストラーダ F1Xでは、独自の高音質技術や高音質パーツが投入された『ストラーダ・サウンドエンジン』も新世代へと進化している。PCM192kHz/24bit音源を(ファイル形式はFLACとWAVに対応)ダウンコンバートすることなく、そのまま高速演算DSPに送り込み、192kHz/24bitで演算処理し(音の匠の音質チューニング処理はこのDSPが受け持っている)、バーブラウンの384kHz/32bit高音質DACチップでアナログ信号に変換後、高音質電子ボリュームで音量調整するという、ハイスペックかつ高音質を可能にする回路構成がストラーダ F1Xの特徴だ。
 『音の匠』機能も注目のポイント。音楽制作のプロ集団『ミキサーズラボ』の内沼映二氏や三浦瑞生氏が、音楽の躍動感、空気感をクルマの中でも満喫できるようサウンドチューニングした『音の匠』の再生モードには、3つのパターンが用意され──TAKUMI=2ウェイ・スピーカー向けのスタジオマスターサウンドを再現、KIWAMI=フルレンジスピーカー向きに高域補正したメリハリのある音、NAGOMI=音楽を聴きながら車内で会話が楽しめる音──ドライブシーンやスピーカーに適したサウンドで楽しませてくれる。

  • 力強さと繊細さを併せ持った音を表現するバー・ブラウンブランド32bit D/Aコンバータ力強さと繊細さを併せ持った音を表現するバー・ブラウンブランド32bit D/Aコンバータ

    力強さと繊細さを併せ持った音を表現する
    バーブラウン・ブランド32bit D/Aコンバータ

  • 高速デジタル演算処理を可能にする高速演算DS高速デジタル演算処理を可能にする高速演算DS

    高速デジタル演算処理を可能にする
    高速演算DSP

  • 音の劣化を抑えた音量制御を実現するカスタム電子ボリューム音の劣化を抑えた音量制御を実現するカスタム電子ボリューム

    音の劣化を抑えた音量制御を実現する
    カスタム電子ボリューム

  • 高音質パーツを投入した緻密な回路設計高音質パーツを投入した緻密な回路設計

    高音質パーツを投入した緻密な回路設計

ストラーダF1Xの再生能力の凄さストラーダF1Xの再生能力の凄さ

 試聴に用いた『ハイレゾ・リファレンス・チェックディスク』は、同じ曲目・演奏を、5通りのフォーマットとレゾリューションで収録しているので、その違いによる音質差が明瞭に聴き分けられて面白い。たとえば『ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデンズ』をPCM44.1kHz/16bit(CDのフォーマット)で聴いた後、ハイレゾのPCM192kHz/24bitで聴くと、再生される音場空間が圧倒的に大きいことに気づく。録音スタジオのルームアコースティックの特徴や、演奏者の気配までもが感じ取れるのだ。演奏会場の空気感が、そのままクルマの中に伝わってくる、そんな印象を受けた。曲の冒頭で聴かれる、鳥のさえずりのような笛の音が空間に浮遊して夢見心地へと誘われる。エコー成分の再現性が、CDフォーマットとは比較にならないくらい豊富で、パーカッションの繊細かつ微妙な音の変化にも驚かされる。サックスの音色がより自然に感じられ、フワッと柔らかい響きやタッチの繊細さにはうっとりしてしまう。この空気感の再現、演奏の微細なニュアンス表現が克明に聴き取れるところが、ストラーダのハイレゾ再生能力の証と言ってよいだろう。ほんとうに録音のよいハイレゾ音源になるほど、ストラーダ F1Xの実力が発揮され、ハイレゾ本来の魅力が伝わってくるはずだ。

CD音源もハイレゾ相当の高音質にCD音源もハイレゾ相当の高音質に

 ところで、ストラーダ F1Xは、CDやMP3、AACなどの音源もハイレゾクォリティに改善できる『アップコンバート機能』を備えている。サンプリング周波数が44.1kHzや48kHz、96kHzなどのデジタル信号を192kHzにアップコンバートしてデジタル処理するのだ。たとえば、CDからリッピングしたデータをアップコンバートして再生すると、漠然と聴いていたのではハイレゾと聴き分けがつかないほどの高音質に驚く。ストラーダ F1Xの発表会のとき、会場に用意されたデモカーの音を聴いて(アップコンバートしたCD音源とハイレゾ音源を聴き比べするデモンストレーションだった)、参加者の多くは「CDとハイレゾの音の違いが分からなかった」と驚いていた(同業者の何人かも「違いが分からない」と告白したのは、ここだけのナイショの話)。アップコンバート機能の優秀性を物語る逸話だ。

音の情報を細かく補完してアップコンバート

オーディオ評論家 黛 健司オーディオ評論家 黛 健司

オーディオ評論家 黛 健司オーディオ評論家 黛 健司

1953年生まれ。少年時代に音楽とオーディオに目覚め、学生時代は秋葉原通いに明け暮れて、いつの間にかオーディオ専門誌「ステレオサウンド」編集部に潜り込む。89年からは日本初のカーオーディオ専門誌「オートサウンド」編集長も兼任。03年、フリーランスに転身。現在はホームオーディオ、カーオーディオ&カーナビを中心に(自動車関連も多少)執筆活動を続ける。主な執筆先は、ステレオサウンド、オートサウンドWeb、HiVi、CAR GRAPHIC、webCG など。