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「20年間貫いてきたレッツノートの志」
開発者スペシャルインタビュー

20th Anniversary これからも、日本品質 Let's note
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第1回「1996年、レッツノート誕生」

レッツノートの前身は、1995年発売の「Pronote Jet mini」 というB5サイズのノートPCだ。
このPCは当時、世界最小・最軽量のモデルであり、この頃からモバイルユーザーを意識した開発をしていた。
しかし、ネットワークのインフラ環境が整っていないことや高額な商品だったため、お客様の反応はイマイチ。そこから具体的にどう改善するべきなのか、模索しながら新たな商品の開発を続けた。
そうして、1996年6月。初めて「Let’s note」の名を記した「AL-N1」が誕生することとなる。

初代レッツノート「AL-N1」。この1台から20年の歴史は始まった

当初からお客様の声を開発に反映

お客様にモバイルの価値を届けきれなかった「Pronote Jet mini」。
その原因は「価格」にあると開発陣は考えた。
次の機種では液晶を小さくし、CPUのランクも低くした価格を抑えた商品を企画する。

しかし、お客様の反応は違った。
当時から「miniの部屋」という専用のWEB掲示板でお客様の声を直接聴いていた開発陣は、次商品のことを投げかけると「最新のプラットフォーム、最新のデバイスを使うことに意義がある」という声が返ってきた。

ITプロダクツ事業部 開発センター
所長 谷口 尚史

この声を基に、当時としては最高の性能を搭載した初代レッツノート「AL-N1」が1996年に誕生。
世界ブランドのPCが多くある中で、レッツノートは完成度の高さを評価され注目を浴びるPCとなった。
レッツノートの立ち上げ時に関わっていたITプロダクツ事業部 開発センター所長の谷口は、こう当時を振り返る。

「お客様はとても素直です。ブランドというのも非常に大事ですが、いいものをキチンと提供すれば売れるんだと思いました。お客様とのコミュニケーションで『PCに求めるもの』を教えていただき、そこに私たちの技術力を合わせて開発すれば、事業は成功すると感じた時でした」

一本筋が通ったものを作る大切さ

その後、ファッショナブルなノートPCが流行し、レッツノートもデザイン性を重視する路線に変更した時期があった。しかし、お客様が求めているものとは違い、一時迷走してしまう。
「お客様の生産性の向上、業務革新を目指して商品開発していた軸がぶれていた」と谷口。

「市場の流行に流されず、一本筋が通ったものにする。お客様の望まれるもの、お困りごとを解決するものを作ることに注力しないとダメなのだと気づかされました」

「Pronote Jet mini」の開発からお客様の声があって誕生したレッツノート。開発者自ら「迷走した時代もあった」と話す初期でも、その声の存在は大きかった。
いろいろな声に支えられながら、20年に至るまでの第一歩を踏み出していく。

第2回「軽量・長時間への挑戦」

2000年ごろまでは、お客様のご要望を聴いて、フルスペックのシリーズを作っていたレッツノート。
CPUやメモリーなどのPCカタログスペックを重視したいわゆる「優等生」といえるパソコンだったものの、個性が埋没してしまい、他社との争いから徐々に遅れをとっていた。
このままではPC事業が立ち行かなくなる危機的な状況で、社内で議論を繰り返した結果、たどり着いたのがモバイルノートの本質といえる「軽量」と「長時間駆動」だった。

「とにかく軽さと駆動時間。この二つは絶対に諦めるな。軽さは1kgを切る。やりきれなかったら、明日からの仕事はない」

当時の責任者が覚悟をもった言葉をスタッフにかけ、R1の開発がスタートした。

1.5kgを超えるモバイルパソコンが多い中で、約960gの軽量コンパクトボディを誇ったR1シリーズ

ボンネット天板の出発点となったシリーズ

責任者が掲げた目標値は「約1.5kgある重さを1kg未満にする」こと。約3分の2の軽さにする大幅な軽量化だ。
R1の商品企画を担当した井上は、「何をどうしたらいいのか本当に分からない状況で、技術は全て一から探るところからスタートでした」と振り返る。

その後、お客様へのヒアリングで「軽さと駆動時間が大事」という裏付けが取れると、機能の優先順位が明確となり、開発が前進し始める。
軽くできるのであればと、10.4型のディスプレイを選択。
ボディや基板などさまざまな部分を見直し、軽量化を目指した。
しかし、それでも目標値には届かない。

ITプロダクツ事業部
マーケティングセンター 商品企画部
課長 井上 剛志

ボディをさらに軽くするために、薄い素材を使いながら、頑丈さを保つことはできないのか。

そんな中、開発者の一人から「自動車のボンネットのように、一枚の板に段差をつければ、強度があがる」というアイデアがあがった。素材を薄くしながら、天板に凹凸をつけることで、軽量化と頑丈性能を両立できないかというアイデアだ。
これまでのノートパソコンにはない奇抜なデザインに、当初は賛否両論があったという。しかし、その意見も最終的には乗り越えられた。
このデザインこそが、レッツノートの象徴的な形といえる「ボンネット天板」である。

「軽さを求めるという共通認識が全員にありましたので、それが実現できるなら、ということで納得することができました。以降、形は変えていますが、ボンネット天板の出発点はR1です」と井上。

その他、いたるところの軽量化をおこない、1kg未満という目標値を大きく超える約960g軽量ボディのR1シリーズが完成。
それまでのレッツノートとは一線を画すモデルができあがった。

新しいコンセプトをお客様に伝えていく大切さ

このR1シリーズはレッツノートの「商品の打ち出し方」も大きく変えた。
これまでのカタログスペック重視の「優等生」なパソコンではなく、1kgを切り、どこでも持ち運んで仕事ができる、という今までとは違うコンセプトがあったからだ。

「商品企画としては、新機軸を打ち出すR1をお客様にどうやって伝えるか非常に苦労したところです。軽量・長時間駆動という新たな価値を、どうお客様に提案していくか、悩んで議論を重ねました」

そして発売を迎える。約960gで6時間駆動という性能は高い注目を集め、予想を超える勢いでヒット。存続の危機を迎えていたレッツノートが、好転するキッカケとなった。

R1シリーズは、現在のレッツノートの基礎となる技術が多く生まれた、いわばターニングポイントとなった機種だ。特に「軽量・長時間」という大きな2つのコンセプトを得て、レッツノートはさらなる進化を遂げていく。

第3回「実測値からはじき出した頑丈性能」

レッツノートはR1で得た軽量、長時間駆動をコンセプトに新たなスタートを切った。そして次に求めたのが「頑丈性能」だ。

モバイルPCのパーツで、破損の悩みが多かったのが液晶。
なぜ破損するのか原因を探る中で、開発チームは通勤電車に注目した。
「満員電車の圧迫により、液晶が破損しているのではないか」
この仮説からお客様のご意見を伺い、実際、乗車率の高い路線を使用している方に、液晶の破損が多いことが判明する。

電車の中でどれくらいの圧力がかかっているのか検証する為、外部圧力を検知する鞄と、圧力センサーを全身に張り巡らした服を作成。乗客数が多い路線の満員電車に、開発者自らが何回も乗り込んで、データを採取した。

耐100kgf級の頑丈設計を初めてクリアしたW4シリーズ。軽さも約1.199kgと軽量だった

100kgの圧力に耐えるための進化

検証の結果、最大で約100kgfの負荷がかかっていることがわかる。「100kgfの加圧に耐えられる頑丈さ」という新たな課題の解決に向けて、開発陣は動き出した。

これほどの頑丈性能を搭載するには、R1と同じボンネット構造では耐えられない。さらに、10.4型のR1と違い、12.1型と天板が大きくなった新モデルは、ただでさえ強度が下がる。
軽量と長時間駆動を両立させた中で、いかにして頑丈性能を向上させるか。

ボンネット構造は凹凸の高さ、幅、角の丸みや傾きの角度、金属の素材にいたるまで全てを見直し。軽さを保ったまま強度を高められるよう、試行錯誤を繰り返した。

ITプロダクツ事業部
マーケティングセンター 市場開発部
課長 長村 佳明

当時の開発について、市場開発の長村は

「新たな形を模索するときは、完成までに100台や200台ではきかないぐらいのPCを潰して、徹底的に試験しています。この時もそうでした」

そして、いくつものパターンを試し、天板の微調整を重ねた結果、「耐100kgf級」の頑丈性能に進化したレッツノート、W4シリーズが誕生。
W4はさらに、ハードディスクには緩衝材で囲い衝撃を吸収、基板もあえて完全に固定せず衝撃を逃がすなど、壊れにくくするための工夫がいたるところに施された。

性能全体の「バランスをとる」設計思想

ただ、技術的に耐200kgfも可能であったにもかかわらず、なぜ耐100kgfにとどめたのか。

「全体のバランスをとった設計こそレッツノートのコンセプト。我々には実測で得た100kgfという数値があるので、200kgfまで頑丈にするのは過剰だと考えています。その余力があるならば、ギリギリまで薄肉にし、軽量化することに注力すべきです」

お客様の仕事を止めないこと。
使い心地良く、「長く使っていたい」と思っていただくこと。
そこを追い求め続けた結果、軽量と長時間駆動に、高い「頑丈性能」がレッツノートに加わった。

W4シリーズを開発するときにレッツノートが設定したこの「耐100kgf」という数値は、その後のモバイルパソコンにおける頑丈性能の標準値として広がっていくことになる。
誕生から20周年を迎えたレッツノートももちろん、頑丈性能試験ではこの数値を採用している。

第4回「日本生産、
開発と生産が近くにあることの理由」

多くの進化を遂げてきたレッツノートが、ずっと貫いてきたこと。
それは日本国内での生産だ。
開発現場と生産現場が大阪・神戸にあり、自動車で約1時間と非常に近いため、密に連携をとってレッツノートを作り続けてきた。

「軽量・長時間駆動・頑丈・高性能」
この4つの性能を高い次元で実現するには、日本生産が必須だと開発陣は考えている。

また、高い品質を保つこと以上のメリットもあるというが、どういったところに利点があるのか。

2015年11月に発売したSZシリーズももちろん日本生産

日本人が考えるからこそできるPC

先述したようにレッツノートは「軽量・長時間駆動・頑丈・高性能」の全てを、高い次元で実現することを目標としたPCだ。
これを可能にしてきた背景に、「日本人が考えていること」が大きな意味をもつと、開発センター所長の谷口は考える。

「日本人らしいきめ細やかな仕事、言われた以上のモノを作ろうとする姿勢が、レッツノートを作ってきました。日本人だからこそ考える設計思想が詰め込まれたPCだと思います」

細かな部分にさまざまな工夫を凝らしているため、生産段階で設計不良が起こることもある。それにも開発現場から設計者自ら、すぐ現場へ向かい対応できる。

レッツノートのクオリティを保つためには、素早い対応ができる日本生産が必須なのだ。

仲間同士だから意見をぶつけ合える

開発と生産現場が近いことは、時間ギリギリまで機能向上を突き詰められることも大きなメリットだ。
「もう少し薄く、軽くしてもいけるんじゃないか」
「もう少しコンパクトにできるんじゃないか」
そんなやりとりも、工場スタッフと直接顔を合わし、意思疎通しながらできる。

しかし、この話し合いも、一方的に開発が指示するのではない。
レッツノートの開発ならではの関係性が重要だと、商品企画の井上は言う。

「ギリギリを狙うための話し合いも、同じパナソニックの仲間なので、命令する側とされる側という関係はありません。『みんなで作っていこう』という姿勢がレッツノートの開発なのです」

時には激しく議論しながら、「どうすればお客様に喜んでもらえるPCを作れるか」を話し合ってきた。
最終形にいたるまで、何度も足を運べる設計と生産間の近さも、レッツノートには欠かせないポイントといえるだろう。

お客様のアフターサービスにも意味がある

プロジェクトリーダーの坂田は、購入後の使用シーンを考えても、日本生産が大事だと話す。

「買っていただくときの品質はもちろん、使用中に起こるお困りごとやお問い合わせを解決するスピードも、日本生産だからこそできる早さです」

実際、レッツノートの修理は「宅配修理サービス」を利用すれば、最短3日で完了する。海外工場であれば実現できないスピードだろう。

「お客様の仕事を止めない」レッツノートのコンセプト実現にも、日本生産が大きく影響している。

ITプロダクツ事業部
開発センター モバイル開発部
プロジェクトリーダー 坂田 厚志

20年間、お客様の声をお聴きしながら進化してきたレッツノート。

「これからも、日本品質」

この言葉を基に、今後も新たな形を模索し、進化を続けていく。