THE MASTERS GALLERY

河野英喜

記憶の残像を探して

ポートレート撮影はモデルの持つ空気感や写真家の想いに合わせたロケーションでの撮影が多い。
とある撮影で知り合った彼女は昔の友人によく似ていた。
今回は僕の記憶にある残像を探しながらの撮影だ。
どこか懐かしい古き町並み、放課後によく見た光の香りなど
昔の記憶やイメージを膨らませてG9 PROで絵作りを楽しんだ。
AFモードは瞳認識+AFCの組み合わせが僕には撮ってて心地いい。
無心にフレームを探しているとカメラが彼女を追っていく。
冬の強い風が作り出す髪の乱れも良いスパイスだ。高速連写でそのバリエーションを狙うのも面白い。
レンズは明るい方がよく、僕と彼女の間のカメラも時には小さい方がいい。

スナップポートレートの極意

『ポートレート撮影は全てにおいてその表情が優先される』これが僕の持論だ。
どんな季節でもモデルと過ごす空気が温かければ必ず素敵な表情に出会える。
これもポートレートの大きな魅力だといえよう。
撮影は簡単な方がよく、背景やポーズはシンプルな方がよく、人前では目立たない方がいい。
これがスナップポートレートの極意だ。
あとは人の流れに身を任せながら輝く光と表情を探すだけ。
人の流れに疲れたら、のんびりすごせる空間探しを二人で一緒に楽しもう。
全てが素敵な瞬間の連続だ。その中で素直にいいと思った瞬間にシャッターを切れば、それが何より一番いい。

河野英喜HIDEKI KONO

島根県浜田市出身 中学から人物写真に興味を持ち写真は独学で習得。その後1992年広告制作会社アドフォーカスに入社1994同社を退社しフリーとなる。以後広告・ファッション誌を中心に撮影する傍ら、近年では女優や俳優、各界のアーティストなどを主軸に撮影する。またタレント・声優を被写体として各誌表紙・口絵、その他写真集書籍なども多数手掛ける。写真専門誌やメーカー主催の写真教室などで撮影指導、写真審査、執筆など幅広い活動もしている。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。