THE MASTERS GALLERY

ハービー・山口

The Best Scene by Irihi Akane

シンガーソングライターの入日茜(いりひあかね)さんの
デビュー15周年記念アルバムのCDジャケットの撮影をしました。
このTHE MASTERS GALLERYに載せたカットは全てG9 PROにノクチクロン 42.5mm F1.2のレンズを付けての撮影でした。
入日さんの優しく切ない歌声を写真で表現するには、この開放値の明るいレンズの描写力とモノクロの階調がとても有効でした。
シャープさと、滲みこむようなボケ味が見ていて飽きません。魅力溢れる魔力を持ったレンズだと再認識しました。

GH5を持って、3年ぶりのロンドン

3年振りでロンドンに滞在した。
ロンドンは私が20代から30代にかけての10年近く、一度も日本に帰ることなく滞在し続けた、
言わば私の写真家としての礎を築いてくれた街である。
この旅の主なる目的はバレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンの撮影であったが、
その間隙をぬい、GH5でロンドンの街をスナップすることも一つの目的だった。
場所は小さな町、エンジェル。GH5は小型で使い勝手も良く、ライカブランドの優れたレンズを有する魅力あるカメラ。
今回も、その使い勝手が限られた時間に多いに発揮された。

写真家憧れの街

門司港という言葉の響きも私は好きだし、この地に馳せる人々の憧れはとても強いものがある。
写真コンテストの審査をしていると門司港の駅舎を撮影した作品が昔から多く応募されてくることからもわかるように、
この街を歩けば長い歴史を感じさせる素敵な建物や光景が沢山あり、その一つ一つが写真家の心をくすぐるのだ。
私がここを訪れたのは冬であったが、その日のやや強い海風が木々や人々の佇まいに適度に緊張を持たせていた。
そして時折降り注ぐ日差しに、人々はほっと一息をつくのであるが、
そうした陽が差したり翳ったりというリズムに合わせて、それぞれのシャッターチャンスが巡って来るのだ。
風景を撮っても、人々にお願いしてポートレイトを撮影させて頂いても、この街にある独特の空気感が写り込んでくれた。

ハービー・山口HERBIE YAMAGUCHI

1950年東京都出身。1973年に渡英し10年間在住し、劇団員を経て写真家になる。アーティストから市井の人々のポートレイトが高く評価され、帰国後も福山雅治を始め多くのアーティストにカメラを向ける一方、国内外で日常の人々を撮り続けている。常に「生きる希望を撮る」というテーマで撮影されたポートレイトには、生命力と繊細さ、安心感、洗練さが絡み合った独特の雰囲気を作り出している。写真の他、エッセイ執筆、ラジオDJ、さらには布袋寅泰のアルバムには作詞家として参加している。2011年度日本写真協会賞作家賞受賞。写真集、写真展多数。