音も機能も徹底したこだわり満載 テクニクス/パナソニックの完全ワイヤレスはなぜ優秀?女性企画担当者に直撃インタビュー(Phile-web)

音も機能も徹底したこだわり満載 テクニクス/パナソニックの 完全ワイヤレスはなぜ優秀?  女性企画担当者に直撃インタビュー 掲載元: Phile-web(2020年07月21日)音も機能も徹底したこだわり満載 テクニクス/パナソニックの 完全ワイヤレスはなぜ優秀?  女性企画担当者に直撃インタビュー 掲載元: Phile-web(2020年07月21日)音も機能も徹底したこだわり満載 テクニクス/パナソニックの 完全ワイヤレスはなぜ優秀?  女性企画担当者に直撃インタビュー 掲載元: Phile-web(2020年07月21日)

2020年4月、パナソニックから同社初となる完全ワイヤレスイヤホンが登場した。様々なブランドが完全ワイヤレス市場に参入し、数多くの製品が展開されている中、HiFiオーディオブランドの “Technics(テクニクス)” から「EAH-AZ70W」、Panasonicブランドからは「RZ-S50W」「RZ-S30W」と合計3機種を一斉投入。注目を集めている。

左から「EAH-AZ70W」「RZ-S50W」「RZ-S30W」

“Music/Communication/Noise Cancelling” をコンセプトに、同社がこれまで培ってきた音響や無線に関する高い技術力を結集。音質にこだわるハイエンドモデルから手軽に使えるエントリーモデルまで、幅広く展開することで多くのユーザーから人気を博している。

中でも、エントリーモデルにあたる「RZ-S30W」はとても小型な筐体ながら、基本性能は高い水準を確保しており、初めて完全ワイヤレスイヤホンを購入するユーザーをはじめ、耳の小さな方や若いユーザー層にもぴったりの一台だ。流行のアースカラーを取り入れたグリーンの製品カラーも特徴的で、製品開発には女性社員も多く関わっているという。

そこで今回、商品企画担当の岩崎結衣さん、マーケティング担当の丁子ふくみさんに話を聞いた。音元出版からは、「analog」編集長の野間美紀子、そして当サイト「PHILE WEB」編集部の川田菜月が参加。女子会のような雰囲気のなか、3機種それぞれの魅力や込められた想いを伺った。

メンバー

パナソニック(株)アプライアンス社
スマートライフネットワーク事業部
スマートコミュニケーションビジネスユニット
商品企画部ヘッドホン課 
岩崎結衣さん

パナソニック(株)アプライアンス社
コンシューマーマーケティング ジャパン本部
商品センター スマートコミュニケーション・
メディア 商品担当
丁子ふくみさん

「analog」編集長
野間美紀子さん

「PHILE WEB」編集部
川田菜月さん

パナソニックの完全ワイヤレス、3機種はどのようにして生まれたのか

完全ワイヤレスイヤホンの開発は、いつ頃から始めたのでしょうか?

実は、市場が拡大し始めた頃から話はスタートしていました。完全ワイヤレスイヤホンはコードが全くないという使い勝手の良さから多くの方に受け入れられていますが、パナソニックとして提案するには、音質や無線技術、通話性能、ノイズキャンセリング機能と全てにおいて、しっかりとした性能の良いものをお届けしたいと、突き詰めて開発してきたという経緯があります。

かなり前から開発が始まっていたんですね。そういった開発期間を経て、今回3機種が一斉に登場しました。それぞれコンセプトやターゲット層が異なると思います。具体的に教えてください。

まずテクニクスの「EAH-AZ70W」、これは完全ワイヤレスの快適な使い心地はもちろん、音楽愛好家にも納得いただける高音質の両立を目指して、“音を極めたモデル” として提案しています。

パナソニックブランドの2製品は、完全ワイヤレスイヤホンの実際の使われ方に、よりフォーカスしています。いま完全ワイヤレスイヤホンを購入される方って、スマートフォンと組み合わせて使う事が多くなって、「音響機器以外の要素も求めている」んですよね。音楽だけでなく、動画も見るしゲームや通話もする。完全ワイヤレスイヤホンにおいて、こういった「スマホのサウンドインターフェース」としての役割が重視されているな、と。

そこで「RZ-S50W」では、業界最高クラスのノイズキャンセリング機能を備えつつ、使い勝手も音質も良いモデルとして、「RZ-S30W」ではノイズキャンセリング機能は非搭載ながらも手軽に楽しめるエントリーモデルとして、利便性や装着感にこだわっています。

RZ-S30Wは本当に小さくて、着け心地が良いですよね。耳の小さな方や女性、若年層のユーザーにも使いやすいと思います。このサイズ感やデザインも、市場の声を汲み取った結果なのでしょうか?

開発を進める中で、岩崎から「小型化できる技術が揃った」という話がありました。私はよりユーザー視点に近いマーケティングの立場として、小型化はお客様にとって非常に重要で、市場で求められているということを、設計チームに伝えていました。なので「もっと小型に!」じゃないですけど(笑)、何度もやりとりしましたね。

あと何mm…といった感じで(笑)。いろいろ調べていくと、やはりスマホとの組み合わせで利用シーンが増えたことで、1日の装着時間もどんどん長くなっていることがわかりました。そうなるといっそう装着感が重要になるということで、とてもこだわって設計しました。特にRZ-S30Wは「驚きのある小ささ」を目指しましたね。

「小指サイズ」とか「耳栓くらい!」とかって話しましたよね(笑)。

いろいろなワードが出てきました(笑)。

その結果、3機種の中でも一番小さくなって、違和感なく長く着けておくことができるモデルに仕上がっているんですね。あとRZ-S30Wは3色あって、カラーにもこだわりを感じます。

3色にしたのは、選択肢の広がりを持たせたかったことがあります。それから、RZ-S50WとRZ-S30Wについては、ファッションになじみやすいデザインというコンセプトがあって、その世界観をカラーでも表現したかったんです。

定番で合わせやすいブラックとホワイトはすんなり決まりましたが、もう一色加えたいなとなって。丁子とデザイン担当者と3人で、トレンドを分析したり、ターゲットユーザーにアンケートを取ったり、あちこちヒアリングして、たくさん検討しました。

何度もターゲットユーザーへのアンケートをとったりして、まず候補を2色に絞ったんですね。でも、そこからなかなか決めきれなくて…。ギリギリまで悩みました。最終的には、パナソニックとして初めて完全ワイヤレスイヤホンを発売するので、「挑戦」という意味でも、今まで使ったことのないカラーという意味でグリーンを選びました。

ちなみに、どのカラーが人気なのでしょう?

どの色も好評をいただいているんですが、その中でも思っていた以上にグリーンが受けいられているなという感覚はあります。悩んで選び抜いたカラーなのでとても嬉しく思っています。

上位機のEAH-AZ70WやRZ-S50Wも、デザインが凝ってますよね。こだわりや工夫した点などを教えて頂けますか?

RZ-S50Wでは強力なノイキャン機能とマイク性能向上のため、片側に3つのマイクを内蔵しています。必然的にマイク穴も多く露出するので、フェイスプレート部のオーナメントデザインに溶け込ませる工夫をしています。このリングの形もいろんなバージョンを作って試しました。

EAH-AZ70Wは高品位で所有感のあるデザインを目指しました。イヤホンにはテクニクスヘッドホンの上質なデザインを象徴するスピン加工を施しているほか、ケースには本物のアルミを採用し、軽いながら堅牢な作りとしています。また、イヤホンをケースにしまった時、Technicsロゴが真っ直ぐになるようにしたのもこだわりです。

たしかに高級感があって、イヤホンをケースにしまう動作の一つ一つが嬉しく感じられます。それからコンパクトなだけじゃなく、ちゃんと存在感もあるのがいいなと思いました。鞄の中で見失ったりすることも少なくて、大切に使えますね。

ありがとうございます。パナソニックの2製品では、ポケットに入れて持ち歩く方が多いというのもあって、再生時間も確保しながら、できるだけポケットが膨らまないような最小限のサイズにしたくて、薄さにこだわっています。

設計側としては、電池をどう配置すべきか、工夫を凝らしました。お客様にはできるだけ長時間使ってもらいたい、だけどケースはできるだけ薄く…という両立が難しくて。ちょうどいいところを探すのに試行錯誤を重ねました。結果的に、RZ-S50Wの再生時間はノイズキャンセリング機能をONにした状態で合計19.5時間と、普段使いに十分な長さを確保しました。

パナソニックの技術を結集。密なコミュニケーションが、より良い製品を生む

今回、パナソニックの持つ電話機の技術も活用されていますよね。こうしてお話を伺っていると、社内のコミュニケーションがすごく活発に行われているなと感じます。

マーケティングとしては、頻繁にコミュニケーションをとりながら、ユーザー視点の意見を伝えていくことで、より良い製品につながったと思います。設計のメンバーはふだん大阪と福岡にいて、私たちマーケティングは主に東京にいるんですが、ビデオ会議はもちろん、出張のたびにも度々話を重ねて。ご飯を食べに行ったりしても、結局仕事の話をしちゃってました(笑)。

日々新商品が出続けていますし、イヤホンの使われ方もすごい速さで変化していっているじゃないですか。それをきちんと反映させていかないと、お客様にとって良い製品にはならないので、設計側としても、マーケティング担当とのコミュニケーションは重要だと思ってます。

それから、完全ワイヤレスイヤホンはマイクや通話の性能であったり、アンテナ設計など、音響以外の技術もすごく重要です。パナソニックはコードレス電話機でグローバルシェア1位の技術力があって、その技術とこれまで培ってきた音響技術を組み合わせるのが、とても重要だったと思います。

マイク性能、すごく良いですよね。あと長く使っていても全然途切れない、こんなにスムーズに使い続けられるんだってびっくりしました。最近はテレワークも増えてきて、接続の安定性や、品質良いマイク性能は嬉しいですよね。偶然ですけど、「今欲しい」機能や性能がしっかり備わっているなと思います。

そうなんです。「MCN(Music/Communication/Noise Cancelling)」というコンセプトがあって、その一つ一つが、今のライフスタイルの中で活躍できるポイントだと思います。たとえば音を再生せず、ノイズキャンセリングだけを使って集中したりするシーンでも活躍します。

RZ-S50WとRZ-S30Wはノイズキャンセリングのあり・なしの違いがあるわけですけど、私は今回使ってみて、音楽を聴くときのS/Nが全然違ってくるので、ノイズキャンセリングが欠かせないなと感じました。あと、不自然さも全くないのもすごいです。

音質もこだわりがいっぱい。日常を楽しくするサウンド作り

続いて、音質について伺いたいと思います。それぞれのモデルで音が結構違いますが、これは意図的なものでしょうか?

RZ-S50WとRZ-S30Wは、まず「聴いていて楽しいサウンド」を前提に、スマホで動画視聴などをする際に人の声が聞き取りやすいよう、全体的に自然で明瞭な音作りにしています。

「聴いていて楽しいサウンド」って、すごくよく分かります。中域は生き生きとして、スピード感もある明るい音が感じられました。RZ-S50Wの方は、より低域が伸びる一方、高域は煌びやかに、キレイに再生してくれるのがよかったです。テクニクスのEAH-AZ70Wは本格的なサウンドで、少し落ち着いた大人な感じがしましたね。定位も自然でさすがでした。

今回、完全ワイヤレスは歩きながら使うことも多いだろうから、気持ちがアクティブになれるような音楽を聴いたんですけど、ブラスバンドが派手な楽曲では、たくさんある楽器の音色の表現や描き分けもしっかりできていて、どれも楽しかったです。

私もパナソニックの2製品は、どちらも気分が上がって、普段使いにぴったりだなと思いました。テクニクスに切り替えると、音楽の厚みだったり、ライブ感というか生っぽさが感じられて、全く違って聴こえましたね。

全然違いますよね。先日新入社員のメンバーに聴いてもらったら、普段イヤホンに特別こだわりのないメンバーも、テクニクスを聴いてすごく驚いて感動していました。そういう感動をもっと、多くの方に伝えていきたいです。

確かに、一度聴けば、値段だけじゃないイヤホンの大きな違いが分かります。RZ-S30Wは音に加えて、フィット感の高さもすごく安心できました。筐体が大きかったり、形状がしっくりこないと、すぐ落ちちゃったりするじゃないですか。RZ-S30Wはきちんと耳に収まって、すごく着けやすかったです。

小型でフィット感が高いと、歩きながらでも落とす心配も少ないので、気にせず楽しめますよね。操作もタッチセンサーなので、ボタンを押す動作で痛みを感じたり、本体の位置がずれることもないと思います。

あとタッチセンサーの反応もいいですよね。先日のファームウェアアップデートでさらにスムーズに使えるようになって、操作したい事がちゃんと操作できる、当たり前のことなんですけど嬉しいポイントです。

タッチセンサーの感度は効きすぎても困るし、抑えすぎるとストレスになるので、何度も細かな調整を繰り返しました。バランスを取るのが難しかったです。

おかげでスムーズに操作できて快適でした。私はこれまで、完全ワイヤレスイヤホンをあまり使っていなかったんですが、今回使ってみて進化を実感しました。ペアリングも簡単でしたし、次の製品に切り替える時も「接続しました」というガイダンスの後すぐ聴き始められて、便利でした。

パナソニックさんの音声ガイダンス、いいですよね、すごく好きです。心地よい声ですし、はっきり喋ってくれるので、なんだかすごく安心感を感じるんですよね。

日本で販売する製品では日本語で、伝えるべきことをはっきり分かりやすく、シームレスに伝えられるような音声ガイダンスにしたくて、そこもこだわったところです。

ここまで伺ってきて、3機種ともこだわりがたくさん詰まっていますよね。実際に買われた方からは、どんなポイントが人気ですか?

テクニクスのEAH-AZ70Wは、やはり本格的な音質が好評です。RZ-S50Wではノイズキャンセリング機能と使い勝手が人気ですね。RZ-S30Wについてはノイズキャンセリング機能が非搭載ながらも、利便性や筐体の小ささ、もちろんこだわったカラーも好評です。

今回「良い商品を作りたい」という思いが、チーム全体としてあったので、密にコミュニケーションをとりながら、できるだけ目線を合わせることを徹底してきたんですね。そうして生まれた製品が、今いろんな側面から評価いただいていて、すごく嬉しいです。

同じ方向を向いていくっていうのは重要ですよね。お話を伺ってきて、どのモデルも細かいところまで考え抜かれて、丁寧に作り込んでいることが伝わってきて、人気の理由が分かった気がします。ありがとうございました。