The Roast バイヤーストーリー「プロファイルラボ」

The Roast バイヤーストーリー「プロファイルラボ」

「The Roast」の高品質な生豆を求める旅。

赤道を中心に、地球を一周するように広がるコーヒー産地。
「The Roast」専用の生豆は専門商社・石光商事のコーヒーに精通したバイヤーたちが
アフリカ、アジア・オセアニア、中南米の3エリアに分かれて探し求め、厳選したものばかり。
世界中を飛び回るプロたちの、知られざるエピソードをお楽しみください。

Surprising stories 世界のコーヒー産地は、驚きの宝庫。

Africa アフリカ

得がたいエピソード満載の地。

アフリカは、野性味あふれる個性的な風味の生豆の宝庫。
中でもコーヒーの原産地とされるエチオピアでは、
他では得られない経験が待っていました。

▪ 父娘二代の挑戦が生んだ「ワイニードリップ」。

アフリカエリア担当バイヤーの橋本智紀さんは、エチオピアで新たなコーヒーと出合いました。「アフリカを担当して約10年になりますが、当初エチオピア産コーヒー豆の精製は水洗式がほとんどで、高品質なナチュラル式精製の豆はありませんでした。そんななか、現地のバイヤーであるヤニ・ジョーガリス氏がイルガチャフィ地区でナチュラル式の精製に乗り出そうとしましたが、志なかばで亡くなってしまいます。ところがその数年後に娘のエレアナ・ジョーガリスさんが会社を継いで、2011年からナチュラル式の豆を他に先駈けて出荷し始めました。彼女はコーヒーに関してまったくの素人でしたが、父の遺志を継ぎ努力を重ねた結果、豆の評価は非常に高く、日本に輸入した1年分が半月で売り切れるほどでした」。その精選所から出荷される生豆が、「The Roast」のスターターキット生豆・追加豆として提供されている「ワイニードリップ」なのです。ぜひこのエピソードを思い浮かべながら味わってみてください。

エレアナ・ジョーガリスさん

父ヤニ・ジョーガリス氏の遺志を継いでナチュラル式の精製方法をエチオピアでスタートしたエレアナ・ジョーガリスさん。

▪ 焙煎から楽しむ、本場のコーヒーセレモニー

バイヤーの鈴木年秀さんがアフリカエリア担当になってすぐのエピソードから。「エチオピアのウォッシングステーション(精製所)でコーヒーを振る舞われました。目の前で生豆を焙煎してくれるので、その香りを楽しみながら、歴史ある本場のコーヒーセレモニーへの期待に胸が高鳴りました。砂糖をたっぷり入れたこともあり飲みやすく、とてもおいしく感じたのですが、次の瞬間すかさず2杯目が注がれました。なぜそんなことも知らなかったのかと悔やみましたが、コーヒーセレモニーでは3杯飲む決まり。おいしくいただくことに専念しました。

エチオピアのコーヒーセレモニー

おかげでエチオピアのコーヒー文化と、現地の人びとのホスピタリティにも感動し、アフリカエリア担当バイヤーになったことを喜びました。いつか誰かを案内する時は、3杯目まであることを決して教えずに楽しもう、と心に誓いながら(笑)」

(写真)エチオピアのコーヒーセレモニーは直火で生豆を焙煎するところから始まり、つぶした豆を煮出して抽出液をカップに注ぎます。

ASIA-OCEANIA アジア・オセアニア

ミステリアスな出来事が待つインドネシア。

熱帯雨林の湿潤な環境下で、独特なコクが生まれるアジア・オセアニアのコーヒー。
特にインドネシアは東西に幅広い島国のため、
島ごとに異なる文化や、生豆の個性が際立ちます。

▪ 土壌のよさが実に詰まった「ベルベットモス」。

アジア担当バイヤーの三木和彦さんが、「ベルベットモス」の生育環境を紹介してくれました。「インドネシアのスマトラ島で産出されるコーヒーは『マンデリン』の名前でよく知られています。品種はスマトラ島で伝統的に栽培されているティピカ系。アチェ地方とリントン地方の2箇所ある産地のうち、『ベルベットモス』はより希少なリントン地方で産出。この地方ではコーヒーの木が樹齢数十年もあり、大きなドーム型に生育。ジャングルのようになり、足元の土はふかふかの腐葉土です。この土壌のよさが、『ベルベットモス』の生豆に詰まっているのです。

カルデラ湖

「ベルベットモス」の産地は、世界最大のカルデラ湖であるトバ湖に面したリントン地方。海沿いの地域とは異なる風土だ。

▪ 高さ10m以上のコーヒーの木“ジュリア”。

同じくアジア担当の高橋健郎さんには、貴重な出会いの経験があります。「インドネシアは島国のため移動が大変です。スマトラ島、ジャワ島、バリ島と飛び回って視察を終え、最後にバリ島の東にあるフローレス島へたどり着きました。ある生産者組合で特別なコーヒーを生産しているという話を聞いていたのですが、インドネシアのパートナーも知らず、島に着いてから探し回りました。1軒目、2軒目の業者は知らず、3軒目でようやくその組合を知っている人が見つかりました。車で1時間ほど山道を走り、さらに険しいジャングルの中を15分ほど歩くと、そこには見たことも聞いたこともないコーヒーの木が!

ジュリアの木

彼らが“ジュリア”と呼ぶ栽培品種のコーヒーでした。起源は解明されていませんが、先祖がセレベス島から持ち帰った言い伝えがあるそうです。一般的にコーヒーの木は、収穫しやすいよう人の背より少し高い程度に剪定されますが、ジュリアの木は高さ10m以上に伸び、その堂々とした姿は神秘的ですらあります。これを家族のように大切に育て、『枝を切るなんてもってのほか』と、腰に籠を結びつけ木によじ登り、収穫していました。自分たちの確たる信念をもってコーヒーを生産している人びととの出会いは、夢のように楽しい経験でした」

(写真)ジュリアの木。鬱蒼とそびえる日影樹の下でなお、10mを超える高さに育っている木の高さが見て取れる。

CENTRAL & SOUTH AMERICA 中南米

個性的な国々がひしめく一大エリア。

南北に延びる中南米のコーヒー生産地。
変化に富んだ自然環境やお国柄のもとで、さまざまな風味の生豆を産出。
広い大地を飛び回るバイヤーに、とっておきの話を聞きました。

▪ 日本向けの高品質な「カカオパレード」をつくる農園。

中南米担当バイヤーの杉本幸広さんが全幅の信頼を寄せているのが、グアテマラのアンティグア近郊に位置するアゾテア農園です。「伝統的な栽培品種のブルボンにこだわり、栽培から出荷までの全行程の職人たちがプロ意識をもっており、観光農園としてもコーヒー博物館を併設するなどしてグアテマラのコーヒー産業に関する情報の提供にも積極的。ほぼ全袋を日本向けに輸出していることもあり『コーヒーの品質にこだわるのが日本人』と認識されています。働く人びとも数世代に亘る場合が多く、小さな子どもの頃から農園内で遊んでコーヒーに触れるのが当たり前の文化を育んでいます」。そんなアゾテア農園が生んだ「カカオパレード」。ローストしたアーモンドやカカオのような香ばしさと微かに感じるスパイシーさ、口あたりのよいチョコレートを思わせるプレミアムな味を、ぜひお楽しみください。

杉本幸広さん

アゾテア農園で2017年クロップの作柄について調査中の杉本さん

▪ 乾いた大地に雨を呼ぶ男。

その杉本さんと、天気の関係とは?「髪を切りに行く日はたいてい雨が降る……うすうす『自分は雨男かもしれない』と感じていましたが、それが確信に変わったのは2017年3月のグアテマラ出張時です。現地では通常、乾季にも雨が降り土壌に水分をもたらすのですが、このときはカラカラに乾燥、車が通るたびすさまじい砂ぼこりが巻き起こります。現地の輸出業者から『3か月ほど雨が降らず異常な状態だ』という話を先輩バイヤーと聞いていた矢先、ポツポツと降り出す雨!そういえば同じ先輩と前回グアテマラに来たときも雨が降り、『先輩が雨男じゃないですか?』と冗談を飛ばしていました。

グアテマラのコーヒー農園の人びと

が、結果はその後2日間で判明しました。別行動をした先で先輩は雨に降られなかった一方、私は別のエリアでまたもや3か月ぶりの雨を降らしました。よくよく思い出せばグアテマラ以外でもブラジル、コロンビア、インドネシア、ホンジュラス、ニカラグアとかなりの確率で、しかも強めの雨に遭っている私。いっそ干ばつに困っている地域で、雨乞いをビジネスにしようかな(笑)」

(写真)「雨男」がもたらした3か月ぶりの恵みの雨のもと、作業に励むグアテマラのコーヒー農園の人びと。