コーヒーチャンピオンズトーク in 福岡【1部】

世界トップクラスのコーヒースペシャリストたちが繋ぐ
~極上の一杯ができるまで~

福岡に春の訪れを感じさせる暖かな春分の日。福岡に所縁のある世界レベルのコーヒースペシャリストたちが集結してトークセッション&実演を行い、150人を超える参加者みんなで「極上の一杯」を分かち合うというイベントを開催いたしました。
その名も「コーヒーチャンピオンズトークin 福岡」From Seed to Cup~極上の一杯ができるまで~。生産者の元で大切に育てられた生豆が、コーヒーという飲み物になって私たちの味覚に届くまでには、たくさんの人の歴史と想いとドラマがありました。

最高品質のコーヒー豆が繋いでくれた生産者とのご縁

リレーセッションのトップバッターはREC COFFEE代表の岩瀬由和さん。2014年から2年連続バリスタ日本チャンピオンに輝き、2016年にはバリスタ世界第二位に選ばれた「抽出」のスペシャリストです。 From Seed to Cupをリレーに例えるならば、バリスタはアンカーのようなもの。お客さまに一番近いところでの仕事です。今でこそコーヒー通の間では名高い岩瀬さんですが、その歴史は2008年、小さなワゴン車一台の「移動販売」から始まりました。
「エスプレッソマシンとグラインダーを積んで、今の店舗がある薬院駅界隈を定位置にして、コーヒーを売り始めました。お客さまの《おいしい!》という声が聞けるのが嬉しくて、当時はおいしいエスプレッソを抽出することだけ考えていましたね」と、岩瀬さん。
そのうち「自分の技術を高めたい」という意欲が湧いてきて、国内外のさまざまな競技会に出場。そして2014年から2年連続でジャパンバリスタチャンピオンシップの頂点に輝くことになるのですが、実はそのチャンピオンシップで使った豆こそが、今回会場の皆さんに試飲していただく世界最高級のパナマ産Ninety Plus ゲイシャエステートです。
「パナマのNinety Plusの生産者から『君はうちの豆を使って日本一になったらしいじゃないか』と声をかけていただいて。それがきっかけで、私のほうから世界大会に向けて何かやってみませんか、と提案をしました」
農園を何度も訪れ、コーヒーの品質には完熟したコーヒー豆を摘み取ることの重要さを現地のピッカーと話し合いながら最高級の豆をつくる努力をしました。そうして、世界最高レベルのコーヒーを淹れる人と、世界最高レベルの生豆を育てる人が繋がったのです。
そして、リレーセッションのバトンはその中間に位置する、生豆のポテンシャルを見極めて最高の味をデザインするロースター(焙煎士)へ。

焙煎士は、ご家庭で「おいしいコーヒー」に出会うための裏方

次のプレゼンターは、「The Roast」の焙煎プロファイルを制作している2013年焙煎世界チャンピオンの豆香洞コーヒー:後藤直紀さん。
後藤さんがコーヒー業界に入ろうと思った理由は、コーヒーに関わる人たち、働いている人はもちろんお客様も含めてとても魅力的に感じたから、なのだそうです。
そして、そんな《コーヒーに関わる人》の中でも「焙煎士」を選んだのは、本当に自然な流れでした。
「私は若い頃から無類のコーヒー好きで、毎日けっこうな量のコーヒー豆を消費していました。その頃たまたま通っていたコーヒー屋さんが、自分で焼いたほうが安いよ、豆は売ってあげるから、と言ってくれて。それから、独学で豆を焼くようになりました」それから約2年後、そろそろお店を開けるレベルかな?なんて思っていたときに、東京台東区にある、日本のスペリャルティコーヒー界の第一人者である田口護さんが店主の「カフェバッハ」の自家焙煎セミナーを知り、軽い気持ちで受講。その後東京の有名なカフェをまわってみて、自分の焙煎はプロのレベルに達していないことを痛感させられ、挫折を味わったのだそうです。
ここで一念発起、福岡で会社員として開業資金を貯めながら、3年間「カフェバッハ」に通いで修行。技術と資金面で目途がたったころ、ついに「豆香洞コーヒー」を開業します。
でもなぜ、天神や博多などの中心部ではなく白木原に?理由を伺うと、こんな答えが。
「近隣に1件もコーヒーショップが無いエリアを探したんです。その地で何十年も営業しているプロのお店に太刀打ちできるわけがないので。消極的でしょう(笑)。私が一番大切にしていることは、お客様にご家庭で美味しいコーヒーを飲んでもらうこと。できる限り焙煎してから時間の経っていない新しいコーヒーを選んでもらう、ただそれだけで『おいしいコーヒー』に出会える確率はグッと上がると思います。だから、結果的には、理想のお店になりましたよ。半径1.2Kmの家庭のコーヒーはすべて任された!という気持ちで頑張れますから」
From Seed to Cupの中での焙煎士の役割については、こんな風に語ってくれました。
「バリスタが最前線で働く人だとすれば、ロースター(焙煎士)は裏方。外国産のコーヒー豆は、生豆の状態で日本に入ってきます。その豆に熱を加え化学変化を起こさせ、飲めるようにする大切な役割です。でも、私たち焙煎士で完結はしないんです」

味に違いが現われるカギはグラインダー 一生使えるモノを

トークセッションの最後は、世界最高のグラインダーを開発したダグラス・ウェバーさん。カリフォルニア州出身、福岡県糸島在住、日本の大学への留学経験もあり日本語も堪能です。
ダグラスさんはカリフォルニア州スタンフォード大学卒業後、2002年にあのApple社に入社。デザインエンジニアとしてiPod nanoなどの開発に携わります。その後間もなく第1号のiPhoneが誕生し、今なお続くスマホ需要が一気に高まり1日50万台を超える大量生産の波に。そんな好景気の中、2014年、ダグラスさんは独立を決意します。

「そろそろ自分の好きな事がやりたい、何か『人が一生使えるモノ』を作りたいな、と思うようになったんです」
当時、おいしいコーヒーを淹れるためにいろんな機械を買い集めたというダグラスさん。コーヒーを飲んでいて「上質な豆なのに、コーヒーという液体になると味も香りもいまひとつ良くない」と感じることが多く、それがバリスタの腕ではなく豆を挽く機械にある、ということに気づいたのだそう。
そして開発したのが、エレクトリックグラインダーです。このグラインダーの特長は、大きく次の4つ。

  • 刃がカンタンに取り外せて、お掃除がラク
  • 挽き残りがないので、貴重な豆も無駄にならない
  • 均等に、正確に挽けるシングルショット
  • エスプレッソに最適の極細挽きから粗目まで、粒子の可変性が高い

これまでのグラインダーの欠点をすべて克服したと言えるスペックの高さはプロの間でも評判で、バリスタの岩瀬さんが世界大会で使ったのも、このグラインダーでした!
焙煎士の後藤さんもこう語ります。
「どんなグラインダーを使うかで、味に大きな違いが現れます。粒度を細かくするだけなら、安い機械でもできます。大切なのはバラつきがないこと。プロになりたい人は、グラインダーに一番投資してください」

3人のコーヒースペシャリストが繋ぐ極上の一杯 そのお味は?

3人のスペシャリストによるトークが終わると、いよいよスペシャルティコーヒー「ナインティ・プラス社パナマ産ゲイシャエステートLotus」の実演・試飲です。
まずは、生産者と深い繋がりのある岩瀬さんが、生豆の特長について解説。パナマのボルカン地方、標高1,650mの農園で栽培される品種で、精選方式は「特殊な」ナチュラルプロセス(乾燥式)なのだとか。詳細についてはさすがに企業秘密ですが、この特殊な方法のおかげで一般的なナチュラル方式よりもディープな味を実現。その味を言葉に表すと「ピーチ・マンゴーなどのストーンフルーツ系の風味に上質なカカオのフレーバーが合わさったような味」だそうです!会場の皆さんも、期待に胸を高鳴らせている様子でした。今回の試飲に向けて、この最高級の生豆「Lotus」を事前に岩瀬さんから後藤さんに手渡し、生豆のポテンシャルにマッチした焙煎プロファイルを「The Roast」を用いて制作しました。後藤さんがお忙しい時間の合間をぬって、8パターンものサンプル作成し、イベント5日前に、岩瀬さんと後藤さんのお二人でカッピング。白熱した議論を交わしながら、微調整を行いようやく最高の味を創り上げました。

壇上では家庭用焙煎機「The Roast」による生豆の焙煎から、ダグラスさんのグラインダーを使ってグラインド、岩瀬さんのハンドドリップによる抽出までが実演され、抽選で選ばれた8名のお客さまに振舞われました。
会場の皆さんにも、1人1杯ずつ配布。「Lotus」は、抽出したては爽やかで、酸味のあるフルーティな味わいですが、少し冷めてくると甘さを感じる味に変化します。「少し残しておいて、冷めた後にもう一度飲んでみてください。キャンディのような甘い香りが楽しめますよ」

という岩瀬さんのアドバイスどおり、皆さんの紙コップには少量の「飲み残し」が。1杯でふたつの味が楽しめるなんて、さすが世界最高峰のコーヒーです。
コーヒー豆は挽きたてが美味しいのは間違いありません。でも、焙煎したての豆で淹れたコーヒーのほうが絶対おいしいかというと、必ずしもそうとは言えません。たとえばダグラスさんは
「焙煎してから3日経ったコーヒー豆が一番好きです」
とのこと。これは個人の好みにもよるし、豆によっても違うかもしれません。自分の好きなタイミングが見つかると、コーヒータイムがいっそう楽しくなりますね。
試飲の後、会場のお客さまから次のような感想をいただきました。
「同じ豆なのに、焙煎したてと挽きたての香りがぜんぜん違うことに驚きました」
「抽出したては爽やかだけれど、少し冷め気味だと甘さを感じます」
「今まで飲んだことのない不思議な味です」
「1杯で違う風味と口当たりを楽しめるのはお得だと思いました」

レポートは2部へ続きます。

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