プロフェッショナルトークセッションin新潟【第1部】

沖縄のスペシャルティコーヒーの苗木を新潟で育てるプロジェクト発足。

Panasonic「The Roast」では、コーヒーを取り巻くおうちカフェ文化の拡大と深化を目指し、世界レベルのコーヒープロフェッショナルと共同で日本から発信するネクスト・ウェーブ・コーヒートレンドの創造を目指す『The RoastコーヒーAIランドジャパンプロジェクト』を推進しています。この活動の一環として、7月29日に新潟県立植物園(以下、植物園)園長の倉重祐二さんをはじめ、2013年世界焙煎チャンピオンで「豆香洞コーヒー」の後藤直紀さんや、2016年日本焙煎チャンピオンで「豆ポレポレ」の仲村良行さん、音楽家の元THE BOOMの宮沢和史さん、株式会社ナレッジライフ社長中村勝治さんなどをゲストに迎え、「プロフェッショナルトークセッションin新潟」を開催しました。

さっそく第1部の様子からお伝えします。

Coffee AI Land Japanプロフェッショナルトークセッションin新潟Coffee AI Land Japanプロフェッショナルトークセッションin新潟

植物としてのコーヒーノキの楽しみ方とは?

植物園園長 倉重さん

まずは植物園園長の倉重さんにご登壇いただきました。倉重さんは植物園の観賞温室にてコーヒーノキを育成。2017年には新潟県内のバリスタと共に「にいがたコーヒープロジェクト」を発足し、プロジェクトの所長としてコーヒーを育てる・味わう・楽しむ体験を提供しています。「コーヒーノキ」とはどんな植物なのか、そして、にいがたコーヒープロジェクトの『From Seed to Cup』についてお話いただきました。

最初にコーヒーノキについてご説明いただきました。倉重さんによると、コーヒーノキの仲間はアジアやアフリカなどの熱帯地域に40種類以上もあるそうですが、実際にコーヒーとして日本で飲まれるのは「アラビアコーヒーノキ」と「ロブスタコーヒーノキ」の2種類だけとのこと。レギュラーコーヒーとして飲まれるのがアラビア種、インスタントコーヒーとして飲まれるのがロブスタで、世界のコーヒーの約7割をアラビア種が占めているそうです。 コーヒー栽培が盛んなのは、ブラジルやコロンビア、インドネシアなど赤道を挟んだ北緯25度〜南緯25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる熱帯エリアに位置する国々です。

日本はもちろんコーヒーベルトには入っていません。「コーヒー栽培適地ではない沖縄県の安田珈琲がスペシャルティコーヒー認定を受けたということは、それだけ農家の徳田さんご夫妻が大変な努力や工夫をされているということなのです」と倉重さん。

コーヒーノキについて説明する倉重さん

続いて「にいがたコーヒープロジェクト」について。このプロジェクトは植物園と新潟県内のバリスタがコラボして取り組んでいるもので、植物園の温室内でコーヒーノキの苗木を観賞しながらコーヒーが飲める贅沢なカフェを運営しています。
「発芽して数ヶ月の苗は数年経つと1メートルを超え、花が咲いてちゃんと実もとれます。観葉植物として観賞できるので、できれば実がつくまで育てていただきたいですね」

今回倉重さんがアダ・ファームのコーヒーノキを植物園で育てることに賛同したのも「植物の専門家として何かお手伝いできることがあるのではないか」と考えたからだといいます。
「これから育てていく中で情報共有ができればと思っています。皆さんも飲むだけでなく、ぜひ育てて自分だけのコーヒーを飲むことをひとつの目標として楽しんでいただけたらと思います」
自分で育てた自分だけのコーヒーは特別おいしいことでしょう!

飲む・淹れるだけではなく育てる楽しみ コーヒーノキを苗木から育てて、自分だけのコーヒーを楽しもう

謙虚に、真摯に、心を込めて。その姿勢が極上のコーヒー豆を作り出す

アダ・ファームの紹介映像

続いて映像でアダ・ファームをご紹介。アダ・ファームは豊かな自然が残るやんばるの山奥、国頭村安田(くにがみそんあだ)でコーヒーを生産する農園です。この農園で栽培される安田珈琲は、国内で唯一、JASオーガニック認定とスペシャルティコーヒー認定を受けたコーヒーなのです。 映像には徳田泰二郎さん、優子さんご夫妻が登場し、コーヒー栽培に対する思いを語られました。中でも印象的だったのは、「僕が作っているわけではなくて、育ててくれるのはこの農園でありこの環境なんです。人間はできることをしてあげればいい。人間の勉強不足とか、手抜きとか、気持ちが入ってないとかで台無しにするのはとても失礼。せっかくいいものを作ってくれているので、そういうことはやるべきではない」という言葉でした。
こうした自然に対する謙虚で真面目な姿勢がおいしいコーヒーを作り出しているのです。

プロフェッショナルたちが語る国産スペシャルティコーヒーの魅力

焙煎士 後藤さん

続いて日本で唯一の焙煎世界チャンピオンであり、「The Roast」の焙煎プロファイルを制作している後藤さんに、安田珈琲の魅力について語っていただきました。後藤さんは実際にアダ・ファームを訪れ、「こんなに素晴らしい環境の農園は世界でもなかなかない」と感動したそうです。コーヒー栽培は暑くても寒くてもダメで、四季のある日本でおいしいコーヒーを作ることは不可能に近いとされてきたそうですが、それを実現したのがアダ・ファームなのです。

ここでアダ・ファームの徳田さんご夫妻にネットでご登場いただきました。豆の焙煎を担当した仲村さんに対して「僕たちは主役じゃなくてあくまでも一杯のコーヒーになるための最初のところ、生産というところを扱っているだけなので、自分たちのこだわりをあまり持たないようにしている。焙煎となると色々と好みが出てくると思うが、仲村さんにじっくり向き合ってもらえたということは本当に嬉しい」と話す徳田さん。

そして会場の皆さんには「日本のコーヒーとはどんなものなんだろうと評価するのではなく、感じていただけたら一番嬉しいです」とのメッセージを送られました。消費者である参加者の皆さんにとっては、生産者の生の声を聞ける、貴重な機会になったのではないでしょうか。

次に「The Roast」で安田珈琲の焙煎プロファイル「AKATITI(アカチチ)」を作った仲村さんが登壇。「アカチチ」という名前に込めた思いや焙煎秘話、アカチチの特徴を語っていただきました。

アカチチを作った仲村さん
AKATITI~コーヒーの夜明け~

「AKATITI」は沖縄の方言で「暁(あかつき)」の意味、つまり夜明けを意味するそうです。夜明けは、赤く燃えるような空、空気が澄んでいてエネルギーに満ちた1日のはじまり。仲村さんは沖縄では不可能とされたスペシャルティコーヒーを可能にした徳田さんの強いパッションを感じ、沖縄珈琲の夜明けとともに、一過性のものではなく文化として続いていってほしいという思いを込めて「AKATITI」と名付けたそうです。
そして、安田珈琲の持つ独特の甘みを個性と捉え、その個性を感じられるような焙煎にしたそうです。浅煎りではヘーゼルナッツのようなフレーバー、サトウキビのような甘みが感じられ、中煎りでは黒糖のような甘みが感じられます。徳田さんの丁寧な栽培を表現できる焙煎プロファイルが完成するまでは試行錯誤を重ね、後藤さんにもアドバイスを求めたという苦労話も。おいしいコーヒーには、そこに関わるいろんな人たちの努力や思いが込められているということを実感しながら会場のみなさまにAKATITIを楽しんでいただきました。

後藤さん、仲村さん、宮沢さん
元THE BOOMの宮沢さん

さらに音楽家の元THE BOOMの宮沢さんも登壇。宮沢さんはアダ・ファームを訪れた際、「徳田さん夫妻はコーヒー豆という“生き物”を育てていると感じた。あれだけ手をかけているのだから、おいしくならないはずがない」と感じられたそうです。

宮沢さんは沖縄に深く関わりながら音楽活動をされてきました。その中で、沖縄県の伝統工芸品でもある三線(さんしん)が危機的状況にあることを知ったそうです。三線は “沖縄の人の魂”とも呼ばれているものなのに、その原料となる黒檀(こくたん)は戦争でほとんどが焼失してしまったため、現在はそのほとんどを東南アジアから輸入しているのだそうです。そこで宮沢さんは、「くるちの杜100年プロジェクト」を立ち上げ、植樹活動をしています。木が三線として使えるまでに育つのに最低100年もかかるそうですが、これからの未来のためにこの活動をしているそうです。

ここで後藤さんからコーヒーも気候変動などの影響で80年後には栽培できなくなるという研究があるというお話がありました。コーヒー豆を作ってくれる生産者がいるからこそ、そしてコーヒーに関わる仕事をする人がいてくれるからこそ私たちはおいしいコーヒーを飲むことができる。消費者として何ができるのか、そんなことを考えさせられるお話でした。

沖縄のスペシャルティコーヒーを新潟へ

コーヒーの苗木が植物園に贈呈される様子

第1部の最後にはアダ・ファームのコーヒーの苗木が植物園に贈呈されました。この苗木には、日本のコーヒー文化がますます発展していくよう願いが込められています。
倉重さんからは「このコーヒーが新潟でもできるように、この木から実をとって次の世代の苗を育てていきたいと思います」と決意表明があり、会場内からは拍手が起こり、沖縄のコーヒーが全国へ広がる第1歩となりました。

レポートは【第2部】へ続きます。

【関連リンク】

・新潟県立植物園
https://botanical.greenery-niigata.or.jp/
・後藤直紀さん「豆香洞コーヒー」
http://www.tokado-coffee.com/
・仲村良行さん「豆ポレポレ」
http://mamepolepole.ti-da.net/
・農業生産法人(有)アダ・ファーム
http://farmthefuture.jp/
・宮沢和史さん
http://www.miyazawa-kazufumi.jp/

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