47都道府県のアスリートたち

京都府

強い自分になるために。諦めないで強くなりたい

2018年09月07日

写真:森埼さんのパワーリフティング練習風景

京都府城陽市にある、サン・アビリティーズ城陽。パワーリフティングのナショナルトレーニングセンターとして指定されている施設だ。東京2020パラリンピックまでまもなく2年前となる2018年7月、15歳のパワーリフティング選手、森﨑可林(もりさき・かりん)さんの姿があった。

写真:森﨑さんインタビューの様子

0歳3か月のときにわずらった脊髄動静脈瘻の影響で、森﨑さんの下半身にはまひが残っている。2017年の全日本パラ・パワーリフティング選手権大会、女子67キロ級で優勝した森﨑さんだが、パワーリフティングと出会ってから、まだ日が浅い。「2017年の9月にパワーリフティングを始めて、11月くらいに一本にしようと思ったのかな」。

それまでは、パラ水泳の選手だった。森﨑さんに競技転向をさせたパワーリフティングには、どんな魅力があるのだろう。森﨑さんに聞いた。

写真:バーベルを力強く上げる森﨑さん

「パワーリフティングの世界では、緊張・爆発・歓喜の3秒間の試合って言われてて。そこに込められた魅力っていうのがすごくある。(競技の魅力は)そこだと思います」。
試技前の顔つきから、バーベルを挙げるときの力の入った瞬間、そして成功後の笑顔。選手の表情もがらりと変わる。

写真:久保さんと中辻さんのインタビューの様子

「4年間頑張ってきて3秒で結果を出すって、なかなか辛いところがあるんですけど、そういう3秒間の中に、ドラマのある競技だと僕は思っています」。そう話すのは、森﨑さんをサポートする日本パラ・パワーリフティング連盟の久保匡平(くぼ・きょうへい)コーチだ。

写真:パワーリフティングの難しさを語る中辻さん

「ルールが厳しいので、それに準じた試技をしていくのは、非常に難しいですね」。森﨑さんと練習をともにするパワーリフティング選手、中辻克仁(なかつじ・かつひと)さんは続けた。「例えば左と右が、左右互い違いに挙がったりしたらファールになってしまうし、(バーベルを下げた時)胸の上でパチンと止められなくて、ダブったり、ぶらーっとしてしまうと、これもファールになってしまう(中辻さん)」。挙げればいい、だけではないのだ。

写真:マシントレーニングをする森﨑さん

近くにいる二人に、森﨑さんはどう映っているのだろう。「人懐っこいし、人見知りせえへんし、明るいっていうのが第一印象ですよね(久保さん)」。「やっぱり粘り強いんじゃないかなと。何べんも挑戦する、資質を持っている(中辻さん)」

写真:久保さんと相談しながらトレーニングをする森﨑さん

森﨑さんにとって、久保さんの存在とは。「いっつもお肉の話しとかばっかしてるけど(笑)。一番欲しいコメントっていうか、今のセットで何が駄目だったか、何が良かったかを的確に見てくれて、自分にとって一番のコーチだと思います」

写真:森﨑さんと共に練習する中辻さん

練習をともにする中辻選手は、森﨑さんが一番憧れている選手だそう。「普段の練習でもアドバイスとか、困ってることがあったらすぐ相談に乗ってくれて。それをしながら自分のことも完璧にこなしてはるから、ああいう選手になりたいなって思います」。

写真:バーベルを持ち上げる森﨑さん

「試合の時とか、舞台裏から『押せ!』とか(中辻さんの声が)聞こえて、「おお!」と思って挙げています。大体試合って歓声とかくれてたりするんですけど、うん、それは聞こえるんですよ。しんど!って思った時に『押せ!』って言われたらグッと力入るんで、すごいありがたいです」。

写真:練習の合間に談笑をする3人

「この環境で、このメンバーで、あったかい人たちがいる中で、自分にとって一番練習しやすい空間。ここじゃなきゃ嫌ですね」。信頼できるコーチと頼りになる先輩の存在が、競技歴の浅い森﨑さんにとって、大きな力になっている。

写真:インタビューに答える森﨑さん

続けてきたパラ水泳から、競技歴の浅いパワーリフティングへ。パラ水泳を辞めることは「諦め」なのかどうか。競技転向を決めるとき、森﨑さんは、とても悩んだ。「基本何でも諦めたくないので、何もかも。その決断が、諦めにつながることなら、それは嫌だから」。自分にとって、辞めることがマイナスなのか、プラスなのか、そこには「大きな差がある」と森﨑さんは言う。

写真:競技に向かう森﨑さん

「諦めないで強くなりたい。水泳を辞めて、スポーツを諦めたわけじゃなくて、新しい自分にあった別の道で、頑張ってるよっていう姿を見てもらいたい」。強い自分になるために選んだ、パワーリフティングの道。結果も出始めている。

写真:競技の合間に笑顔が溢れる3人

パワーリフティングを始めてから、車いすに乗ってる人との出会いが多くなり、人としての視野が広がったという森﨑さん。競技転向により、得たものは他にもある。「(パワーリフティングを)始めたことで掴んだのは仲間だったり、自分の集中力とか、そういう精神的強さとかだったり。自分が成長するっていうことは確かだと思う」

写真:インタビューで夢を語る森﨑さん

成長への確信を得た森﨑さん。夢は、パラリンピック出場だけには留まらない。「出場するだけじゃそこまで意味ないかもしれないんで、メダルを取ってくることが目標です」。噛みしめるように語った。

インタビュー映像

夢はパラリンピック。ただ出場するだけじゃない、メダルを取るのが目標だ。

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