THE MASTERS GALLERY

水野克比古

京都・春の風景

アメリカの旅行雑誌での読者投票で、京都は5年連続ベスト10に選ばれた。
そして、年間観光入客数が、3年連続5500万人を維持する盛況を呈している。
京都経済にとっては有難いことだが、風景写真家にとっては、観光スポットを無人撮影するのは困難になった。
いきおい人影の少ない早朝か、日暮時撮影が多くなる。
人通りの隙間を狙って、G9 PROの手ブレ補正6.5段の特性を駆使し、手持ち撮影を試みる。
結果は十分満足できるものだった。

京都・夏の涼感

京都の夏の蒸し暑さは耐えがたく、南国沖縄に勝ると言われる程だ。
その暑さを表現するのは、日中の昊天(こうてん)の陽射しの下で撮影すればよいのだが、
それには多大な苦労が伴い、心身ともに疲れる。
京都人は、古来その夏を快適に過ごす術を心得え、実践してきた。
その知恵にあずかり、真逆の涼しい京都の夏を表現しようと試みる。
一つには早朝に、次には雨天に、そして水辺で撮影することだ。

京都・四季の彩り

京都の風景は一言(ひとこと)で表現すると、移ろいゆく四季が醸し出す自然の美と、
平安遷都以来1200年の間に培われた雅と寂が織り成す風情あるれる文化との融合美であると言えよう。
それは、さらに天候と時間によって千差万別の、多種多様に変化する表情を見せる。
その美は、1969年以来、46年間追い続けても尚、今だに尽きない魅力に満ち溢れている。
だから、今日も明日も新しい風景との出会いを求め小さな旅を続けている。

水野克比古KATSUHIKO MIZUNO

1941年、京都市上京区生まれ。同志社大学文学部卒業。東京綜合写真専門学校研究科を経て、1969年から京都の風景写真撮影に取り組む。京都をテーマにした写真集177冊出版する「京都写真」の第一人者であるが、日本の伝統文化を深く見つめる眼差しは、京都という枠組みを超えた自然と文化を表現し続けている。2000年、西陣の地に町家を修復した水野克比古フォトスペース「町屋写真館」を開設、一般公開(要予約)している。日本写真家協会会員。日本写真芸術学会会員。第33回(平成26年度)京都府文化賞功労賞受賞。

『花鳥風月』

すべてLUMIX GH4、GX8で撮影された、京都の四季を収めた写真集。

2250円(本体)/ 120ページ(オールカラー)/ 水野克比古、水野秀比古著 / 発行 日本写真企画