自分自身のニオイには気づきにくい! 50代男性は「自分では気になったことがない」が「最も口臭を気にされている」!? - におい専門家が警鐘を鳴らす”ザリガニ臭”とは? ー
パナソニック株式会社は、内科医師でありながら“におい専門家”としても活動している桐村里紗先生監修のもと、20代~50才の男女計400名を対象に「オーラルケアに関する意識調査」を行いました。調査の結果、7割の人が歯ブラシおよび歯磨き粉以外のオーラルケア用品を使用しているものの、自身の口臭は自分では気づきにくいという結果がわかりました。
<TOPICS>
■特にビジネスシーンの口臭に要注意! およそ9割の人が他人の口臭が気になったことがあると回答。
その相手は「同僚」「上司」、シーンは「仕事で指示する/される時」が上位に。
■意識格差!?「自分の口臭が気になったことがない」率1位の50代男性、最も「口臭が気になった相手」にも選出。
■7割の人が、歯ブラシおよび歯磨き粉以外のオーラルケア用品を使用!
歯ブラシだけでは、歯垢除去率は6割という調査結果も。
■口の中の悩みは「歯間にものが挟まる」が1位。
■歯周病菌が歯周ポケットの奥深くに入り込むと”ザリガニ臭”や”ドブ臭”の原因に?
自分の口臭に気づきにくい理由は嗅覚の慣れ!口臭の予防には日頃からの歯周ポケットケアが大切。
【およそ9割の人が他人の口臭が気になったことがあると回答。特にビジネスシーンの口臭に要注意!しかも身近な相手でないと指摘しづらい!?】
「他人の口臭が気になったことがある」全体の86%の人が選んだ「口臭が気になった相手」1位は「同僚」(36%)、2位は「上司」(35%)、3位は「配偶者」(23%)という結果に【図1,2】。
図1
図2
また、同様の対象者に「口臭が気になった場面」について聞いたところ、 1位「人の近くに座ったとき」(64%)、2位は「仕事で指示をする/されるとき」(30%)、3位は「電車に乗ったとき」(26%)に。口臭が気になるのは主にビジネスシーンが多いという結果が明らかになりました【図3】。会社という閉鎖的な空間で忙しい毎日を送っていると、“ニオイ”に敏感になるのかもしれません。
図3
しかし、他人に口臭について指摘されたことがある20%の人たちは、その相手として、ほぼ半数が「配偶者」(47%)と回答。続いて「子ども」(19%)「友人」(14%)というランキングに【図4,5】。前述の「口臭が気になった相手」1位と2位のビジネスシーンに相対する人々はTOP3に入りませんでした。気にはなっているものの、伝えることができず、より身近な人でないと口臭の指摘は難しいようです。
図4
図5
【50代男性は自分の口臭に鈍感!? 「特に口臭が気になった相手」第1位は50代男性にもかかわらず、本人たちは自分の口臭を「気になったことがない」と答えた率が最も高いという結果に。】
「自分の口臭が気になったことがない」と答えた率が最も高いのは50代男性(36%)という結果に。この率は、最も口臭を気にしている40代、50代女性(18%)の2倍の数値となりました 【図6】。
しかし「特に口臭が気になった相手」として最も票数を集めたのも、50代男性(20%)でした【図7】。自分の口臭には気づきにくいのでしょうか。桐村先生によると「嗅覚は『順化』という慣れの現象によって、常に嗅いでいるニオイについて感じにくくなってしまいます。ケアが行き届いておらず、24時間慢性的に口臭が発生している人ほど、自分の口臭に気づきづらいのはそのためです。また、嗅覚の敏感さには個人差がありますが、年齢と共に他の感覚と同じく鈍感になっていく傾向もあります。
更に、男性よりも女性の方が嗅覚を司る神経細胞の数が多かったとの研究報告も※。一概には言えませんが、年齢を経た男性ほどニオイに鈍感になりやすいと考えられます。」とのこと。
※出典元:Sexual Dimorphism in the Human Olfactory Bulb: Females Have More Neurons and Glial Cells than Males - PLOS ONE)
図 6
図 7
また、調査対象が「歯ブラシ及び歯磨き粉以外に使っているオーラルケア用品」は、「マウスウォッシュ」(40%)「デンタルフロス」(39%)「歯間ブラシ」(34%)という結果となりました【図8】。ただ、桐村先生によると、通常の歯磨きだけでは歯垢(プラーク)除去率は61%という調査結果もあるとのこと。なお、「歯ブラシおよび歯磨き粉以外に使っているオーラルケア用品」を伺ったところ、その不使用率が最も高いのも50代男性で平均より10%高い、40%となりました【図9】。この結果からも、50代男性が自らのオーラルケアに比較的関心が薄いことが伺えます。
図8
図9
【オーラルケアができている人は、モテるかつ社交的? 20代男性の意識の高さが浮き彫りに。そんな20代男性でも、同年代からは「口臭が気になる」と思われているかも・・・?】
自身のオーラルケアについて、「自信がある」と答えた人達の方が、「異性からモテる」かつ「社交的」と答えた率が高いという結果も見られました。その差は、「異性からモテると思う」については、自身のオーラルケアに自信がある人は58%、ない人は20%でおよそ2.9倍の差に。「社交的だと思う」に関しては、自身のオーラルケアに自信がある人は67%、ない人は28%でおよそ2.3倍の差となりました【図10】。
オーラルケアをしっかり行っている人の方が、他人とのコミュニケーションもうまくいくのかもしれません。
また、性年代別で「オーラルケアに自信がある」の答えた率が高いのは20代男性で26%となり、その割合は全世代平均の1.4倍という結果でした【図11】 。
しかし「特に口臭が気になった相手」として、同年代の20代男性と20代女性からは、「20代男性」を選択する率が最も高いという結果も。ここでも前述の桐村先生のいう「自分のニオイには自分では気づきにくいうえに、オーラルケアができているつもりで磨き残しがある」と言えるかもしれません。
図 10
図 11
【歯周ポケットの奥に、歯周病菌が入り込むことで「ザリガニ臭」や「ドブ臭」の原因に? 予防には日頃からの歯周ポケットケアが大切。】
自覚している口の中の悩み1位は「歯間にものが挟まる」で53%。次いで「歯の着色」「口臭」【図12】。「歯の間に磨き残した歯垢(プラーク)の中の細菌数は、『糞便』と同じ程度(1g中1~2.5×10の11乗)、更に細菌密度は『糞便』以上です」と桐村先生は話します。さらに、食後8時間程度で形成された歯垢(プラーク)は、2週間ほどで歯石へと変わってしまいます※3。歯石は歯科医で除去するほかないそう。歯と歯の間にものが挟まっても、取りづらいからと言ってそのままにしておくと、大変なことになる可能性も。
※3 出典元:厚生労働省https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-034.html
図 12
そして磨き残しと口臭の関係についても、桐村先生によると「磨き残しによって口の中に蓄積した歯垢は、いわば、細菌の塊です。特に、歯垢を放置する事で歯と歯ぐきの間の歯周ポケットに深い谷間ができ、その奥深くに歯周病菌が入り込むと、『ザリガニ臭』や『ドブ臭』とも称される悪臭の原因に。ザリガニの水槽やドブが臭うのは、水の中の栄養成分を酸素が嫌いな嫌気性菌と言われる菌が腐敗されるからです。歯周病菌も嫌気性菌の一種で、酸素の少ない歯周ポケットの奥深くで、食べ物などのタンパク質を腐敗させることで悪臭を発生させます」とのことです。
口臭の予防には、必要に応じたオーラルケア用品を使用し、歯周ポケットのケアまですることが大切と言えます。
【■内科医師/におい専門家 桐村里紗先生からのコメント■】
<桐村 里紗>
内科医。新しいライフスタイル創造のためのヘルスケア情報を発信している。ニオイ評論家として多数メディアに出演。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)など。
■自分の口臭には、気づきにくいというのは本当ですか?それはなぜですか?
自分の家のニオイは分からないのに、他人の家のニオイには気づく、という経験をしたことがあると思います。これは「順化」と言われる嗅覚の慣れの現象です。元々、嗅覚は野生動物において、敵の存在を知らせる危機察知の能力と直結しています。その結果、日常的に嗅いでいるニオイについては「安全」なニオイとしてあまり感じないようにするとともに、日常ではないニオイを感じやすくしています。
その為、ケア不足で慢性的な口臭の持ち主ほど、24時間嗅いでいるうちに「順化」してしまい自分のニオイに気付きにくくなってしまうと考えられます。
■歯垢除去率について教えてください。
「歯磨きだけしていればOK」と思いがちですが、実は、歯磨きだけでは歯垢の除去率は61%で、約39%の歯垢を放置していることになります。更に、デンタルフロスを併用しても除去率は79%、歯間ブラシを併用しても85%と15~20%くらいの歯垢が残ってしまうという調査結果があります。特に、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットは、歯垢が残りがちです。歯周ポケットまでケアするためには、歯ぐきを傷つけずに汚れを水流で洗い流すことができる「口腔洗浄機」が有効です。
■歯周ポケットケアの重要性について教えてください。
目に見えない歯周ポケットの奥深くにまで進展した歯垢(歯縁下プラーク)の中には、口臭の原因になる歯周病菌が増えています。食べ物や剥がれた口の細胞、また赤血球などの血液成分をエサに歯周病菌が増えると、「ザリガニ臭」や「ドブ臭」とも巷で称される悪臭を発生させてしまいます。
さらに、歯ぐきが腫れて炎症を起こし、出血が起こると、血液成分をエサに、歯周病菌が繁殖します。それらは、簡単に血管の中に入り込み、全身を巡り「歯周病性菌血症」を引き起こし、動脈硬化などの全身疾患の原因にもなります。
口臭対策は、他人に不快感を与えないように配慮するというエチケット的な観点だけでなく、自分の健康状態を維持するヘルスケア的観点としても重要です。日常のケアで、目に見えない磨き残しもしっかりと洗い流しましょう。最終仕上げとしては、定期的に歯科でのクリーニングを受けることが必要です。トラブルが起きてからでは遅い為、定期的に歯科検診やクリーニングへ行く習慣を持つことも必要です。
<調査概要>調査期間:2019/4/26-2019/4/29
調査対象:全国20代、30代、40代、50代、各年代の男性50人/女性50人 総計400人
調査方法:インターネット調査
※調査結果の数値は小数点以下を適宜四捨五入して表示しているため、積み上げ計算すると誤差が出る場合があります。