デジタル補聴器の様々な機能
DSP(デジタルシグナル プロセッサ)を使うことでできる、さまざまな機能
おまかせシーンセレクト
「おまかせシーンセレクト」機能は、使っている周囲の環境に応じて、補聴器が音質設定を自動的に切換える機能です。
例えば、図書館のような静かな環境では小さな音でも聞き取れるような設定に、駅など騒音のある環境では騒音を抑える設定に、居酒屋のようなガヤガヤした場所で話をしている場合には騒音を抑えつつ話し手の声を集中的に拾う設定に自動で切換えます。
補聴器が音量や音質を自動調節するので、より自然にお使いいただくことができます。
環境騒音抑制

「環境騒音抑制」機能は、騒音を小さくすることにより音声を聞き取りやすくする機能です。音声と騒音の時間的な変化のしかたの違いに着目し、音声など時間的な変動が大きい音には影響を与えずに、換気扇やエアコンの送風音など時間的な変動の少ない騒音を抑えることにより、音声を際立たせて聞き取りやすくします。
指向性

「指向性」機能は、横や後ろ方向のマイク感度を正面方向の感度よりも下げることで、正面方向からの音声を聞き取りやすくする機能です。
会話の妨げになる騒音の方向に対する感度を自動的に下げることで、正面方向の音声を際立たせて聞き取りやすくします。
小さな音の強調
少し離れたところからの会話音や、小声の会話音をより聞き取りやすくする調整ができます。
騒音で聞き取りにくくなりがちな小さな音、離れたところからの会話音を強調することで、言葉の聞き取りをサポートします。
大きな音の制御
補聴器は、音を大きくして聞こえやすくする機械ですが、大きな音は耳障りにならないよう、出力を制限する機能があります。
加齢に伴う難聴に代表される感音難聴では、ある程度大きな音でないと音として知覚できなくなり、結果として健聴者に比べて音を聞き取れる範囲(かすかに聞こえる音~うるさくて我慢できない音の範囲)が狭くなります。
従来のアナログ式の補聴器は、小さな音を大きくするのと同時に、同じ倍率で大きな音も増幅していました。そのため、扉を閉める音などの大きな音が入ったときには、耳障りにならないよう、こまめに音量を調節する必要がありました。
デジタル式補聴器は、聞き取りにくい小さな音は大きくして、うるさく感じてしまう大きな音は圧縮によって自動的に小さくするので、耳障りな大きさの音が入りにくく、音量調節の回数も減らすことができるようになりました。
衝撃音抑制
ドアを閉める音、コップをテーブルに置く音など、突発的に入る大きな音(衝撃音)を自動的に抑制します。聞き疲れを軽減します。
風雑音抑制

風が強い屋外などで補聴器を使用した場合には「ボボボッ」という風の雑音が入り、会話が聞き取りにくくなったり、耳障りだったりすることがあります。
風雑音の特徴である低音域に強いエネルギーが入力された場合は風雑音と認識して、その帯域の増幅を抑える処理を行い、風雑音を抑えます。
ハウリング抑制
補聴器がピーピー鳴る現象を「ハウリング」と呼びます。ハウリングは、補聴器と耳との間の隙間などから音が漏れ、補聴器から出た音がふたたびマイクで拾われて循環的に増幅されることによって発生します。カラオケなどでマイクをスピーカに近づけると発生するキンキン音と同じです。
ハウリング抑制は、スピーカから漏れる音をデジタル信号処理で打ち消すことにより、ピーピー音の発生を抑える機能です。
チャンネル数
補聴器は周波数・音程に応じて幾つかに区切って音の処理を行います。チャンネル数が多いほど音を細かく調整できるので、聴力に合わせやすく,また会話の聞き取りを妨げる不快な雑音を抑えやすい特長があります。
オープンフィッティング

相手の話し声を大きくし聞き取りやすくする補聴器ですが、補聴器を着けることで耳を塞いでしまうので、不快に感じたり耳に水が入った時のように自分の声が大きく響いてしまい、話しにくいと感じることがあります。
オープンフィッティングは、イヤチップなどに音抜きのための大きな穴を開け、こうした不快感を軽減するとともに、装着感の改善を行います。
これにより、従来よりもさらに快適に補聴器をお使いいただけるようになりました。
メモリ切換えと両耳連携
様々な環境で使用される補聴器を、場面場面に合わせてより適した設定に手動で切換える機能がメモリ切換え機能です。例えば、静かな部屋の中で話をする場合と、レストランなど騒がしい環境で話をするのとでは適した音質設定が異なります。
それぞれのシーンにより適した状態をメモリとしてあらかじめ設定しておくことで、任意に設定を切換えることができます。また、補聴器本体に音量調節機能が無い機種の場合にも、音量を変えた状態をプログラムしておくことで、音量を手動で切換えることができます。
両耳でメモリ切換え機能を使用する場合には、基本的には左右個別にボタンを押して切換える必要がありますが、メモリ切換え両耳連携機能を使用する場合には、片耳のメモリを切換えるともう片方の補聴器の設定も連動して切換わります。
両耳に補聴器を使用している場合には、この機能により、より手軽にメモリ切換え機能を使用することができます。
リモコン

補聴器の小型化と多機能化に伴い、補聴器の機能を十分に使いこなすには小さなボタンの操作が必要になってきました。手のひらサイズのリモコンを使うことで、音量の調節やメモリの切換えを手元でできるようになりました。
つながるリモコン
(テレビ連携、音楽鑑賞、携帯電話、ボイスメモ)

つながるリモコンを使うと補聴器が「無線ヘッドホン」に早変わりします。ストラップがAV送信機からの受信アンテナになっています。音量・音質(メモリ)の切換えのほか、テレビなどの周辺機器との連携機能があります。
「つながるリモコン」と「補聴器用AV送信機」を使えばテレビを家族と独立した音量で聞くことができます。周辺機器とのワイヤレス通信ができるBluetooth機能対応の携帯電話と、「つながるリモコン」とをペアリングさせれば周囲の音とまざらず、よりクリアに電話の音声を聞くことができます。またマイクを内蔵しているので、ハンズフリー通話が可能です。
「つながるリモコン」にはこれ以外にも大切なことばを記録する「ボイスメモ」機能が付いています。会話はもちろん、テレビや携帯電話など、接続した機器からの音声も録音・保存できます。ボイスメモの利用件数は1回で2分40秒録音でき、合計約13分20秒の録音が可能です。
※但し、録音された音声の消去と連続録音はできません。5件の録音件数を超えると、古いデータに新しいデータが上書きされます。
電池切れお知らせアラーム
電池が消耗して電圧が下がると、補聴器が警告音を出して、電池の交換時期をお知らせする機能です。
参考:補聴器用空気電池のはなし
補聴器には、空気中の酸素を取り込んで発電する「空気亜鉛電池」という種類のボタン電池を使用します。新品の状態では、空気取り入れ穴がシールで密閉されていますが、シールを剥がすと空気中の酸素と化学反応を起こして発電を開始します。
シールを剥がして30 秒ほど経つと補聴器に使用できる規定の電圧に上がるので、シールを剥がしてしばらく待ってから使用を開始してください。
一度シールを剥がしてしまうと、使っていなくても少しずつ放電するので、使わない時はパッケージについているシールでもう一度密閉してください。(セロテープなど、別のテープを使用すると粘着剤が電池の空気取り入れ穴に入り込み、剥がした後の電池性能を損なうことがありますので使用しないでください。)
また、「空気亜鉛電池」は、乾燥と二酸化炭素の影響を受けやすいという特徴があります。屋内でストーブなどを使用している場合は、二酸化炭素による悪影響が懸念されるため、こまめな換気をおすすめします。お休み前に補聴器を乾燥ケースに収納する際には、補聴器本体から電池を取り出して別個に保管する必要があります。
R1 / B1シリーズに内蔵されている「開いてポン」機能を使用すれば、いちいち電池を取り出さずに乾燥ケースが使用できるため、日々のお手入れが簡単で、補聴器を良い状態に保つのに役立ちます。
パナソニックならではの特長
聞こえやすさ:
聞き取りサポート機能
難聴が進んでくると単純に小さな音の感度が低下するだけでなく、隣り合った周波数(音程)の区別がつきにくくなります。(周波数分解能の低下)
特に高い周波数にある子音は低い周波数にある母音にかき消されてしまう傾向にありますが、この「聞き取りサポート」機能によって両耳装用時に左右の耳で母音と子音を分担して聞くことで、言葉の聞き分け(子音の聞き取り)を助ける機能です。(ダイコティック補聴処理技術)
「音は聞こえるけれども、言葉がはっきりしない」という方におすすめの機能です。
両耳装用の良さをさらに引き立たせる。「ダイコティック補聴処理技術」
「音は聞こえるが、言葉がはっきりしない」という方におすすめします。
※効果には個人差があります。
片耳装用の場合には使用できません。
使いやすさ:
開いてポン

耳に着けて使用する補聴器を長く良い状態で使用するためには、日々のお手入れが欠かせません。ブラシによる耳あか掃除の他に、おやすみ前に乾燥剤が入った「乾燥ケース」で補聴器の中に溜まった湿気を取る必要があります。故障を防ぐためにも、乾燥ケースでの保管が必要です。

ただし、補聴器で使用する空気電池は乾燥が大敵。
乾燥させてしまうと空気電池の寿命が極端に短くなってしまうので、乾燥ケースに入れる前に補聴器から取り出す必要があります。このように、従来は日々の補聴器のお手入れには電池の出し入れが必要でした。

パナソニックはスイッチを切ると自動的に空気電池を密閉する「開いてポン」機能を開発しました。
「開いてポン」なら電池を外さずに乾燥ケースで補聴器本体を乾燥させても、電池の消耗が抑えられるので、毎日のお手入れに伴う手間を軽減します。
環境配慮:電池長持ち省電力
電力消費は高度な信号処理をすればするほど増大しがち。お使いになる環境や音質設定に応じて消費電力を効率化して抑え、電池交換の手間やランニングコストを低減します。またRIC型には、容量の大きいPR48電池を使用することで、1粒で約1ヶ月の長寿命*を実現。電池の大きさをカバーするデザインを採用し、目立ちにくさと電池寿命との両立を目指しました。
* R1シリーズ スタンダードもしくは、B1シリーズ ワイヤレス非対応の場合。
※電池寿命は、電池の種類や使用条件または補聴器の設定によって変わります。