小型で軽量、かつハイパワー。お客様満足度を追求するドライヤー設計士。

佐伯祐亮 佐伯祐亮

これまでを超える仕上がりを目指して、理想と現実の間をバランス調整し、現時点でのベストな形を見定めて着地する。まるで体操競技を思わせるような、これが佐伯祐亮という人が取り組む美容機器の「設計」の仕事。

前モデルを超える高い機能と適正サイズや価格、そして最も大切な“安定した量産”。
すべてを叶えるための苦労ややり甲斐についてインタビューしました。

ビューティ商品は人をハッピーにさせるもの

美容機器の中でもドライヤーやヘアアイロン、頭皮エステなどのヘアケア商品を専門に、設計開発を担当しています。実は大学と大学院では全く異なる研究をしていたのですが、入社前後の配属面談のときに「君はビューティ商品がいいんじゃない」といわれ、当時髪を伸ばしてストレートアイロンを使っていたこともあり、興味をもって取り組むことができました。

写真:美容機器の部品を触る佐伯祐亮さん

ビューティ商品を担当する楽しさは、お客様の声がダイレクトに聞こえてくることですね。量販店に行って、自分が担当したヘアケア商品をお客様がその場で試しているのを見ると「おお〜」と思いますし、その場で効果を感じていただいている様子を見るとうれしくなります。

ビューティ商品は人をハッピーにさせるものだと思います。髪も肌も、お手入れしてきれいになったらうれしいし、美しい人、かっこいい人を見るだけでも幸せな気持ちになる。そういう仕事につけてよかったなと思っています。

試作から量産へ。そのハードルを常に意識

私が担当する設計の仕事は、デザインや技術開発などと違ってわかりづらいと思うのですが、一言で表現すると「量産への旗振り役」です。

たとえば現在はドライヤーを担当していますが、手で持ち頭の高さまで上げて使う器具であるため、適切なサイズや重さ、形というものがあります。その最終形に対して、フルモデルチェンジの場合、ヒーターやモーター、ファンをどう配置するかというところから始めます。小型で軽量、かつハイパワーというのが最終目標で、あとは企画チームのコンセプトに合わせてヒーターの種類や設置方法を選んだり、配置を変えて持ったときのバランスをよくしたり、という作業です。

写真:美容機器の部品を触る佐伯祐亮さん

企画チームの要望に叶う詳細設計、強度を満たす構造設計をしつつ、それが量産可能であるかも考慮して、まとめ上げていきます。価格を抑えるためには合理化も意識します。見た目や機能が合格ラインで安価な素材があれば置き換えるなどの検討作業ですね。

モックアップ(注:試作品が完成)してからは完全な旗振り役となります。こだわり続ける点、妥協せざるを得ない点、どこかの部署に頑張ってもらわないとならない点。すべてが繊細なバランスの上に成り立っています。

ギリギリを攻めるのが設計の腕の見せどころ

ジレンマの多い仕事ではありますね。量産の段階で不具合が発生し「設計が甘い」といわれるのは絶対に避けなければいけませんが、かといって、最初から逃げていては攻めた商品に出会えない。製造寄りで安定感のある設計が良いという考え方もありますが、ギリギリを攻めるのが腕の見せどころだと、僕は思っています。

写真:美容機器の部品を触る佐伯祐亮さん

お客様にとってより良いものを目指していくと、それはどこかで誰かが無理をしないと達成できないんです。製造チームと話をして理解を得、新しい工程を組んでもらうこともあれば、逆に製造側からの要望を受けて、企画やデザインチームに折れてもらうこともあります。理解を深めるために、それぞれの現場に出向くという作業も大切にしています。

視野を広くもって新しいアイデアを創出したい

ヘアケアの商品に7年間関わってきて、今後の夢は、これまでのスタイルや価値観を変えるような商品の創出です。たとえばドライヤーは熱と風で髪を乾かしますが、まったく別のアプローチができないかな、とか。ヘアアイロンで髪を形作ることを熱以外の方法で実現できないか、とか。まだ具体的な技術が見つかったわけではないのですが(笑)。

写真:美容機器の部品を触る佐伯祐亮さん

新しいことに取り組むには、視野を広くもつことが大切です。ビューティ商品だけにとどまらず、熱と風と水に関連する他の機器はどういう仕組みになっているんだろう?など、普段から広く考えを巡らせています。すぐには活かせなくてもアンテナを張っておけば、次の商品開発の取っ掛かりにもなるかなと。

今、性別の分け隔てなくみんなが美容機器を手に取る時代になりました。使う人が増えた分ニーズも多様に広がっているので、それに応えるような仕事をしていきたいです。

プロフィール

佐伯祐亮(さいきゆうすけ)

1991年生まれ。子供の頃の夢は家を建てること。大学と大学院では設計工学を専攻し、卒業後、パナソニックに入社。趣味はバスケットボール。

写真:佐伯祐亮さん
  • インタビュー内容は2022年8月現在のものです
  • 「Panasonic Beauty Laboratory」に掲載の情報は、当社の研究や開発の取組み内容です