冬の暖房、エアコンは「つけっぱなし」と「こまめにオンオフ」のどちらがお得?

暖房を上手に使って冬の快適空間をつくる方法についての監修:田中 真紀子(たなか まきこ)
ライター:UP LIFE編集部
2024年3月26日 空気

冬になると、気がかりなのがエアコン暖房の電気料金。中でもよく聞こえてくるのは、「つけっぱなしと、こまめにオンオフするのとでは、どっちがいい?」という話題ですが、結局のところ、お得なのはどちらなんでしょうか? 家電エキスパートの田中 真紀子さんに、エアコン暖房の上手な使い方とあわせて教えてもらいました。

エアコンの消費電力量が多くなるのは、冷房時より暖房時

一般的に、エアコン暖房を使っていると、夏よりも冬の方が電気代は高くなります。田中さんによると、「その理由は、外気温とエアコンの設定温度の差が大きいから」なのだとか。

冬の外気温と設定温度の差は、夏の約2倍!

「冷暖房時のエアコンは、外気温と設定温度の差を埋めるために稼働しています。つまり、外気温と設定温度の差が大きいほど、消費電力量も多くなるということ。たとえば夏、外気温35℃、設定温度28℃だとその差は7℃ですが、冬に外気温7℃、設定温度が20℃なら13℃もの差が出ることになります。これだけの温度差を埋めることを考えれば、電気代は暖房時の方が高くなるのも納得ですね」

外気温と設定温度の差の一例

イラスト:温度差が大きいと消費電力が多い

つけっぱなしとこまめにオンオフ。結局、お得なのはどっち?

続いて本題。冷房よりも電気代がかかるエアコン暖房時、つけっぱなしとこまめにオンオフでは、どちらを選べば良いのでしょうか?

基本的にはつけっぱなしにして、室温をキープする方がお得

「エアコンは設定温度に達するまでフルパワーで運転し、部屋が暖まったら温度をキープする運転に変わります。つまり、最も消費電力がかかるのは、立ち上がりの段階ということ。そのため、エアコンを消して室温が下がってしまうと、再びつけたときに消費電力量の多いフルパワーで稼働することになります。暖まったらオフ、寒くなってきたらオンにすることを繰り返すと、余計な電力がかかるため、部屋にいるなら基本的にはつけっぱなしがお得と言えるでしょう。

とはいえ、室温が設定温度に達した後の運転も電気代はゼロではないため、常につけっぱなしにしておけばいいというわけではありません。たとえば、人が不在になった部屋や、日中、日差しが入ってきて暖かく過ごせる時間が長く続く場合は、切った方が消費電力は抑えられます」

写真:日差しが入っている部屋

「ちょっとそこまで」の外出時なら、エアコンは切る? 切らない?

「パナソニックが行ったシミュレーション結果※1では、外気温が3℃より低い場合、エアコンを切ってから30分経てば、室温が大きく下がることが示されています。近所のコンビニに行ったり、犬の散歩や子どもの送迎などで出かけたりといった30分程度の外出はよくあるので、そんなときは外気温3℃を境に、エアコンのオンオフを判断しましょう」

30分の外出を1日2回、1ヶ月間行った際のエアコン稼働における電気代の差異

グラフ:外気温と月の電気代

1〜2時間の外出をするときも、外気温を目安に

「外出時間が1時間〜2時間になるときも、外気温が3℃以下なら、つけっぱなし運転を行った方が電気代は抑えられます。ちなみに東京都の場合、ここ10年の1月の平均気温は概ね5℃〜7℃前後なので、基本的にはエアコンはこまめに切る方が、電気料金は抑えられるでしょう」

仕事など数時間の外出や、7時間程度の睡眠

「さすがに半日以上となれば、エアコン暖房は切った方が電気代を確実に節約できます。なお、睡眠時はエアコンをオフにしている方も多いかもしれませんが、温度は20℃、湿度は50%前後くらいが睡眠にはちょうどよいとされており、暖房運転をした方が理想的な睡眠環境になると言えそうです。エアコンの睡眠モードやタイマーを利用すると良いでしょう」

 

※1 パナソニック調べ。室内温度24℃、暖房温度設定24℃、電気代31円/kWhでのシミュレーション結果。実際の電気代は、住宅の断熱性能やエアコンの設置環境等の使用条件によって異なります。

エアコンは消費電力が少ない暖房器具?

「エアコンは季節家電で、使い始めの時期は電気料金が大幅に上がるため、電気代が高いと感じてしまいがち。また、広い部屋にあるエアコンは高い暖房能力が必要になるため、消費電力量も多くかかります。これらの数字だけを見ると、エアコンの電気代は高く感じますが、それは誤り。

エアコンには、空気中の熱を利用して室内を暖めるヒートポンプ式が採用されています。ヒーターで暖める電気ストーブなどに比べ、最大で5倍も効率が良いと言われることもある暖房器具。単純に見て電気ヒーターの消費電力の1/5で暖められますし、部屋全体を暖めてくれることを考慮すれば、省エネ性は格段に高いと言えるでしょう」

イラスト:空気中の熱を利用して室内を暖めるヒートポンプ式

電気代を抑えるエアコンの使い方

エアコンがいくら暖房効率が良いと言っても、電気代が安くなるに越したことはありません。ここでは改めて、エアコンの電気代を節約できる使い方を、田中さんに聞いてみました。基本的には6つのTipsがあるそうですよ。

画像:電気代を抑えるエアコンの使い方6つのTips

フィルター掃除をこまめに行う

「フィルターにホコリなどが詰まると空気が行き来しづらくなり、暖房効率が落ちてしまいます。また、十分な風量を得ようとしてムダな電力を使ってしまうことも。フィルター掃除は2週間に1回行うことで、年間約1万円以上の節約になるとも言われているので、ぜひこまめな掃除を心掛けてください」

室温は20℃になるよう設定し、上げすぎない

「暖房時に設定温度を1℃下げると、約10%の電気代節約につながると言われています。ただし、設定温度を下げすぎて室温が低くなると健康面でリスクがあるため、20℃程度に留めておきましょう」

風量は「自動」に設定

「室内機の吹き出し口から出てくる風の音が大きいと、かなりの電気代がかかってしまいそうと感じます。つい弱運転などに切り替えたくなりますが、そうすると部屋がなかなか暖まらず、快適性を損なうことに。エアコンの風は消費電力がかなり低いため、節電と快適さを両立させるならエアコンに任せるのが一番ですよ」

室外機の周辺はキレイにしておく

「室内機同様、室外機も空気をやり取りしているので、空気が遮らないことが大切。周囲に落ち葉が積もっていたりすると暖房効率が落ちるので、室外機の周辺はいつもキレイにしておきましょう」

窓の断熱対策を施す

「屋内外の熱が出入りしやすい窓。冬の場合、家の熱の約58%が逃げていくとのことなので、カーテンを厚手のものに変えて断熱性を高めましょう。さらに、掃き出し窓なら床まで付くくらいまでの長さにしたり、カーテンレールの上側やサイズのスキマを覆うようにすると、より効果的ですよ」

サーキュレーターを併用する

「暖かい空気は上に移動する性質があります。室内なら天井付近に最もたまるため、サーキュレーターを使って空気を撹拌し、室内の温度ムラを解消しましょう」

つけっぱなしとオンオフ、お得な方を判断できる『エオリアアプリ』

パナソニックのエアコン『エオリア』に対応する『エオリアアプリ』は、節電につながる機能が満載です。

難しい判断をAIが行う「つけっぱなし判定」

「1時間前後の外出だと、切ろうかどうしようか悩むこともあります。そんなときに役立つのが、「つけっぱなし判定」。外出時間を入力すると、運転したままにするのと、運転を停止して帰宅後に運転を開始するのとで、どちらがお得になるかを予測する機能です。人では難しいことを代わりに行ってくれるのは、本当に助かりますね」

画像:「つけっぱなし判定」アプリ画面イメージ

アプリで操作、アプリで確認

「『エオリアアプリ』は遠隔操作ができるので、エアコンを切り忘れて外出したというときも安心。また、毎月の電気代が確認できるのもいいですね。電気代の可視化って、すごく大事。どれだけ節電をがんばっても、1か月後に届く電気料金のお知らせだけだと、何が良かったのかがわかり辛いので。“こういう使い方をしたらこれだけ節電できた”という振り返りの材料にもなるので、人も使い方を学習できると思います」

画像:「電気代」アプリ画面イメージ

パナソニックのエアコンなら、自動でもっと快適に

パナソニックのエアコンに搭載された“エオリアAI”は、人の不在を検知したら自動で節電運転。また、約3時間経っても人が戻らなければ運転をオフにするほか、人が戻れば自動でオンになる“オートオン”機能なども採用されています。「エアコン本体の省エネ性が高められていきながら、+αの機能で人がかしこく使えるように導いてくれるのが素晴らしい」と、注目する田中さん。

イラスト:エオリアAI

なお、『エオリア』は、冷えやすい足元まで暖かさを届ける“足元暖房”や、暖房をよく利用する時間帯をAIが学習し、余熱運転を行う“すぐでる暖房”など、暖房機能がさらに充実したモデルも。部屋の上部にたまった暖気を循環させる“サーキュレーションモード”と併せ、快適性と省エネ性がさらにアップしています。

あまり神経質になりすぎず、快適な節電を心掛けて

「エアコンの節約術は以前から発信されていますが、まだしたことがない人もいらっしゃると思います。その場合は、今回ご紹介した方法を、できることから実践していただきたいですね。一方で、あまり神経質になって行き過ぎるのも良くありません。WHOによれば、冬の室温が18℃より下がると健康リスクが高まるとのことなので、電気代だけにこだわらず、快適さや健康面にも配慮することも必要です。省エネ性の高いエアコンやアプリなどの力も借りながら、無理のない節電を行うようにしてくださいね」

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田中 真紀子(たなか まきこ)

暖房を上手に使って冬の快適空間をつくる方法についての監修:田中 真紀子(たなか まきこ)

白物家電をはじめ生活雑貨、家事、住まいなど、暮らしにまつわるモノ・コトの取材・執筆を行うフリーライター。美容家電も得意分野で、働く女性として、一児の母として、忙しくてもきれいになれる美容家電を見つけ、各媒体でも紹介している。総合情報サイト『All About』美容家電・育児用品ガイド。

2024年3月26日 空気

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