Vol.2 ナノイーX(48兆)の誕生。20年以上にわたる研究の積み重ねが、さらなる挑戦を成功へ導いた

ナノイーXテクノロジー「100倍開発篇」のメインビジュアルです。ナノイーXテクノロジー「100倍開発篇」のメインビジュアルです。

20年以上にわたり、研究を積み重ねてきたナノイーX技術。
2021年には、新たにナノイーX(48兆)の開発に成功しました。

ナノイーXは、パナソニック自慢の清潔技術。長年にわたる研究の成果が実を結び、年々進化を続けています。ナノイーX(48兆)生成デバイス開発に携わったスペシャリストたちに、誕生までの挑戦の道のりについて聞きました。

ナノイー・ナノイーX技術の説明です。
ナノイー・ナノイーX搭載商品の効果については、各商品サイトをご覧ください。

●掲載している効果時間については、ナノイー・ナノイーXのデバイスとしての試験結果です。
●実際の効果は、お部屋の状況やご使用方法によって異なります。

今井 慎

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
くらしプロダクトイノベーション本部
コアテクノロジー開発センター
機能デバイス開発部 第一課

ナノイーXデバイスの回路設計を担当。ナノイーXのさらなる進化方法を模索中。

今井慎さんがお話しされている様子です。
秦 秀敏

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
くらしプロダクトイノベーション本部
コアテクノロジー開発センター
機能デバイス開発部 第一課

ナノイーXデバイスの放電設計に携わった。ナノイーX(48兆)誕生の大きなきっかけを作った。

秦秀敏さんがお話しされている様子です。
滝川 裕基

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
ビューティ・パーソナルケア事業部
デバイスビジネスユニット デバイス商品部 
機能デバイス設計3課

ナノイーXデバイスの量産設計と音質設計を担当。ナノイーX(48兆)をエアコンや空気清浄機へ搭載する際に貢献。

滝川裕基さんがお話しされている様子です。

ナノイーX(48兆)誕生までの挑戦の道のり

はじめに。ナノイーX(48兆)とは?

ナノイーX(48兆)は、ナノイーの100倍の量のOHラジカルを含んでいます

ナノイーX、ナノイーのグレード表です。ナノイーX、ナノイーのグレード表です。

★ESR法による測定(発生装置直後のOHラジカル量)(当社調べ)

今井:
OHラジカルの量は、ナノイーXの効果にとって非常に重要な要素です。OHラジカル量が増えるということは、つまりナノイーXの「手数」が増えて、攻撃力がアップするということ。効果のスピードアップにつながります。

ナノイーXの進化は、いかにOHラジカルの量を増やせるかにかかっていました。ナノイーX(48兆)は、まさに「桁違い」の進化。誕生に至るまでは、さまざまな苦労や試行錯誤がありました。

今井慎さんがお話ししている様子です。

とても難しい空気中の放電コントロール。一時は諦めかけたことも・・・

今井:
当時、OHラジカル量を10倍にアップさせる開発が行われている中、それと並行する形で、100倍アップの開発もスタートしていました。

OHラジカルの発生量を増やすために、まず思いついたのは、かける電圧を高めること。しかし、電圧を高めすぎると、むしろOHラジカルの発生量は減ってしまいます。

電圧を変えずに、放電回数を増やす改良も試みたのですが、それだけだと、増えるには増えるのですが、100倍には届かないという状況でした。

今井慎さんがお話している様子です。

秦:
私は、プラズマテレビの放電技術開発に携わってきましたが、ナノイーXデバイスで、放電に関わる技術者を社内公募していたので、新しいことにチャレンジしたいと思い、途中からこの開発に参加しました。

開発に参加した頃は100倍達成まで全く目途が立っていない状況でした。しかも、そこから半年間、一向に前進せず「これが限界かも」と諦めかけた時期もありました。

秦さんがお話ししている様子です。

秦:
もともと、放電技術のコントロールは非常に繊細で難しいものです。ナノイーXデバイスの場合は、テレビと違って、より外部環境の影響を受けやすい構造になっています。部屋の温度、湿度が変わっても、常に同じ性能を発揮するように制御できなければいけません。

テレビの放電開発で培った知識も部分的に活かすことはできましたが、空気中での放電がこんなに複雑で扱いづらいものだとは思いませんでした。さらにナノイーXデバイスは、電気のかけ方が少し変わるだけで形を変えてしまう「水」まで絡んでくる複雑なデバイス。非常にチャレンジングなプロジェクトでした。

電極を色々な形状に微調整しては、その都度どのように放電しているか確認して、という試行錯誤を繰り返しました。

マイクロスコープで放電のようすをチェック

電極形状の改良が、大きなステップアップのきっかけに

秦:
電極の形状を変えて、放電を観察していたある日、対向電極の針形状部分を短くした試作品で放電の筋がいつもより広がっていることに気が付きました。「これは!」と直感しました。OHラジカルの放出量を、放電領域を広げることによって増やすアプローチにかじを切りました。これが大きな転換点となりました。モチベーションも高まったし、わくわくしましたね。

秦:
従来の「マルチリーダ放電」では、対向電極の4本の針形状部分から放電していました。ナノイーX(48兆)デバイスに採用した「ラウンドリーダ放電」では、対向電極の針形状部分を無くし円錐形にすることによって、放電領域も円錐形状で広がるように調整しています。

放電領域の拡大によってOHラジカルを生成できる領域が格段に増え、ナノイーXの劇的な進化につながりました。

ナノイーX(48兆)の生成デバイス

放電領域は、「点」 → 「線」 → 「面」という流れで形を変え、進化をしてきました

「点」の放電

紫色に光る放電の軌跡は、対向電極(写真上)と霧化電極(写真下)を1点の細い筋で結んでいます。

コロナ放電のイメージ画像です。
「線」の放電

放電の軌跡は、4つの対向電極(写真上)と霧化電極(写真下)を複数の「線」で結んでいます。

マルチリーダ放電のイメージ画像です。
「面」の放電

放電の軌跡は、円錐形の対向電極(写真上)と霧化電極(写真下)を、円錐状に広がる「面」で結んでいます。

ラウンドリーダ放電のイメージ画像です。

★ESR法による測定(発生装置直後のOHラジカル量)(当社調べ)

今井:
ちなみに、目に見えないOHラジカルをどのように測定しているかというと……とある試薬にナノイーXを曝露させて、測定機械にかけることで、OHラジカルの量を波形に表してチェックしています。

今井慎さんがお話ししている様子です。

「OHラジカル量100倍」達成後も、苦労は続きます

ひと安心したのも束の間、そこからが大変でした

秦:
開発の目途が立ち、ひと安心できたのも束の間でした。試作品段階では問題なかったデバイスの設計も、量産するとなると個体差が出てきてしまいます。電極の位置が少しずれるだけで、発生するOHラジカル量が100倍を下回ってしまう場合があることがわかりました。

なんとか設計を見直し、安定したOHラジカル量を得られるようになってきたのですが、それでも当時の製造設備では、設計側の改良だけではどうしても太刀打ちできず。しかし、何としてでもOHラジカル量100倍の製品をお客様に届けるために、製造現場に無理を言って新しい設備を導入してもらいました。電極位置のずれは、わずか髪の毛1本分にまで抑えられるようになり、ようやく量産できるようになりました。

3名がお話ししている様子です。

商品に搭載した状態での「静音性」にもこだわりました

滝川:
ナノイーXデバイスは、パナソニックのさまざまな家電に搭載されています。ナノイーXの効果がいくら強力になっても、家電としてお使いいただくにあたって至らぬ点があれば、お客様に自信を持ってお届けすることができません。特に、エアコンや空気清浄機などの空調製品は、寝室で使うこともあるので「静音性」が求められています。

人の耳は、年齢によって聞こえやすい/聞こえにくい音域が異なります。そこで、エアコンビジネスユニットと協力しながらメンバーを集め、老若男女でエアコンの実機を取り囲んで耳を傾ける「実聴評価」を行いました。その中で、従来モデルに比べて、今回の新放電形態は、音の鳴り方(音質)が少し悪化していることが分かりました。

滝川さんがお話ししている様子です。

滝川:
原因を探るため、人間工学に基づいた心理音響技術を駆使しながら、さまざまな試作品で何度も粘り強く、音の大きさ(音圧)や音質の解析を行いました。その結果、「音が耳障りな放電」と「耳障りでない放電」があることを発見しました。

「耳障りでない放電」を意図的に作ることができれば、音質を改善できるのではないか、と希望が見えました。しかし、この時点でデバイスの設計は既に固まっていて、設計に手を加えることなく音質を改良する必要がありました。そこで、デバイスの設計は変えずに、制御方式の変更のみで成立する方法を考え、制御技術部のメンバーと協力して、何とか試作品を開発できました。

試行錯誤の過程で、音質は狙い通り改善したものの、代わりにOHラジカル量が若干減るなどのデメリットが生まれることもありました。秦さん、今井さんの協力も得ながら、優に100種類を超える仕様を検討し、何とか音質とOHラジカル量の両立を実現しました。この制御方式に関しては、現在特許出願済みです。

音の測定の様子です。機械での測定と実聴評価の両面から「音」の調整を行った

ナノイーXのここがすごい!

ナノイーXデバイスの開発に携わったメンバーに、「ナノイーXの一番すごいところ」はどんなところだと思うか、聞いてみました。

秦:
放電電極を冷やして結露させ、集めた水に放電させるなんて発想がとにかくすごい! これを最初に思いついた人は天才だと思います。これによって水を溜めるタンクや給水機構が不要になりこんなにも小さなデバイスに収まることで多くの製品に搭載することができています。

私も自宅でナノイーX搭載の製品を使っているのですが、何年も使っているタオルのニオイがまったく気にならず、効果の凄さを実感しています(笑)

秦さんがお話ししている様子です。

今井:
実空間を想定した6畳の試験環境で、しっかり効果を確かめていることもポイントですかね。自宅でも商品を使っているのですが、特に子供が過ごす部屋は、置いておくと安心できますね。

それに、開発・検証の体制にも秘訣がありまして、グループ内にさまざまな分野の専門家がいるので、効果検証もすばやくこまめに行えます。部署同士で密に連携できることもナノイーXの強みだと思います。

今井慎さんがお話ししている様子です。

滝川:
ナノイーXは、さまざまな有害物質に効果を発揮します。これだけの色々な効果を、専門的な機械や、大げさな設備などを使わず、誰の家にでもあるような一般的な家電を使うだけで発揮するのは、一消費者目線で衝撃的でした。

ただ普通に家電を使うだけで、勝手に生活空間をキレイにしてくれる「縁の下の力持ち」のような存在だと思います。

今井さんが言うように、部署同士のやりとりのフットワークが軽いのもナノイーX開発体制の大きな強みですね。部署の垣根を越えて、一緒に力を合わせることで、スムーズな開発を実現しています。

※効果の詳細については、「7つの効果」ページをご確認ください。

滝川さんがお話ししている様子です。

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