いや~な花粉の季節到来!みんなの花粉症対策や専門家のおすすめ対策を紹介

花粉の症状と対策についての監修:耳鼻科医 坂田 英明先生/
花粉症と睡眠の関係についての監修:医師/睡眠専門家 坪田 聡先生
ライター:UP LIFE編集部
2020年3月5日
空気

この季節になると「鼻はズビズビ、目はショボショボ」。ティッシュが手放せない人もいるのではないでしょうか。ついに今年もやって来てしまいました……そう「花粉の季節」です。「社会人の花粉に関する実態調査」によると、なんと約8割の社会人が「花粉症の症状で仕事のパフォーマンスが落ちる」と答えており、花粉症の人にとっては仕事にも影響する一大事です。そこで、この記事では詳しい調査内容と専門家による花粉対策を紹介します。

経済損失は1日2,215億円?! 花粉症が及ぼす仕事のパフォーマンス低下

約8割が花粉症による仕事のパフォーマンス低下を実感

冒頭でも紹介した調査によると、花粉症の社会人に、花粉症の症状が自身の仕事のコンディションに影響しているかを聞いたところ、79.0%が「影響がある」と回答。さらに、1日のうち花粉症により仕事のパフォーマンスが低下していると感じる時間は平均で約2.8時間。

このパフォーマンスの低下がどのくらい経済損失になるか想像できますか?
その額なんと推計で「約2,215億円」。しかも、これは1日あたりの額、恐ろしや花粉症……。

みなさんの周りにも、「くしゃみをする→鼻をすする→ティッシュで鼻をかむ→ゴミを捨てに行く→椅子に座ったとたんくしゃみをする→鼻をすする……」という花粉症で仕事にならないほどに悩まされている人がいるかもしれません。

みんな対策何してる? 手軽な対策から家電の導入まで

実施している花粉症対策と導入検討している花粉症対策のランキング

鼻水や鼻詰まり、くしゃみ、目のかゆみ、さらには頭痛や倦怠感など花粉の影響による症状はさまざまですが、一刻も早く症状を緩和させたいもの。ここからは調査で聞いたみんなの対策を紹介します。

調査で実際に実施している花粉症対策ツートップだったのは、「マスクをつける(70.4%)」「目薬(54.2%)」という手軽にできる対処法でした。どちらも花粉症以外の時にも普段から持ち歩いている人も多いのではないでしょうか。続く3位〜6位は、「空気清浄機の使用」「自宅に入る前に服の花粉を落とす」「加湿器の使用」と、漂う空気中の花粉対策で室内の環境を整える対策も意識して行っているようです。

また、今後導入を検討している花粉症対策では、「舌下治療(17.8%)」に続き、「空気清浄機の使用(15.2%)」、「花粉シーズン前にエアコンを掃除する(12.6%)」、「加湿器の使用(22.1%)」と、本格的な治療や家電の使用などを取り入れようと考えている人もいるので、マスクや目薬ではどうにもならないつらい症状の人も増えているのでしょうか。

花粉症はみんな仲間!「花粉症ですか?」で親近感もアップ

「花粉症ですか?」という会話をしたことがある 約7割

いくら対策していても、症状が治まらず鼻はガビガビ、目は真っ赤、「社会人として仕事はちゃんとしないといけないけどこんな姿じゃ相手に悪いし、マスクも失礼かな……」と思うビジネスシーンも多いはず。ところが、調査で商談や会議中に花粉症の方がマスクを着用していた場合に気になるかを聞いたところ、半数以上の61.3%が「気にしない」と回答。ビジネスシーンでも意外とみなさん気にならないことが多いようです。

また面白いことに、ビジネスシーンで「花粉症ですか?」という会話をしたことがあるかについて聞いたところ、「ある」と答えた割合は67.8%と、さらに相手が花粉症だった際に、親近感や好意を覚える人も51.2%とかなり高い割合でいることがわかりました。

「あれ? この人ももしかして……」と思ったら「もしかして花粉症ですか?」と会話を始めてみれば、花粉症仲間として初対面の人とも一気に親近感がアップするかもしれませんね。

安心してください。約6割の人が「あぁもう!花粉症で会社に行きたくない」って思ってます

花粉が多く飛散する日は会社に出勤せず自宅にいることを希望 62.1%

なった人だけがわかる花粉症辛さ、花粉症になっていない人からすると「ちょっと大げさでは?」と思えるかもしれないですが、ホントにつらいんです! 毎年花粉症に悩まされている人は、症状がつらすぎて一度は「会社に行きたくない!」と思ったことがあるはず。

調査でも花粉が多く飛散する際に、有給もしくは在宅勤務をしたいと思うかについて聞いたところ、そう思うと回答した割合は62.1%、「会社へ出勤せず、自宅にいることを希望する社会人が多い」ことがわかりました。

先に見たように花粉症の症状によるパフォーマンスの低下もあることから、昨今の生産性を向上する「働き方改革」の動きにあわせて、「花粉が飛散しているから在宅勤務」が気軽にできるようになるとよいですね。

「耳鼻咽喉」と「睡眠」、二人の専門家が教える花粉症対策の重要性

最後に、調査結果について総合情報サイトAll About「耳・鼻・喉の病気」ガイド(耳鼻科医)の坂田 英明氏が花粉症と集中力の関係、有効な花粉対策について、また同じくAll About「睡眠」ガイドの坪田聡(医師/睡眠専門家)が花粉症と睡眠の関係性について、二人の専門家の解説コメントを紹介します。

耳鼻科医 坂田 英明先生の解説

耳鼻科医 坂田 英明先生

花粉症の主な症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみが一般的です。特に鼻づまりが持続すると口呼吸になりやすくなります。それが原因で頭痛や咬合の異常、夜間の睡眠などに影響が出てしまい、これらは直接的に集中力の低下にも繋がります。また、アレルギーによって自律神経の変調をきたした結果、生活リズムが崩れ、日常生活のパフォーマンスに影響すると言えるでしょう。

本調査の結果、今後取り入れたい花粉症対策として1位になっている舌下免疫療法は、きちんとした説明を受けて、正しく使用すれば一定以上の効果は望めると考えます。しかしながら治療には3年近くの期間が必要です。さらに、すべての人がこの療法に適応するわけではなく、他のアレルギーが合併していると効果が出にくいことがあります。

すぐできる花粉対策で有効なのは、長い時間を過ごす環境に、外からの花粉をできるだけ持ち込まないことです。窓を開けない、洗濯物を外に干さないといったことに加え、外出から戻る際は、玄関外で衣服についた花粉を手で払ってから入室する、自身もすぐにシャワーを浴びて体や髪についた花粉を落とすなどの対策が有効です。また、室内での対策については、調査でも実施している人が多かった「マスクの着用」、「目薬の使用」、「空気清浄機の使用」は、一定以上の効果はあります。さらに、鼻粘膜上皮の扁平上皮部分や、喉が潤っている状態だと、花粉やウイルスをブロックしやすく、花粉を吸いこまない対策として、鼻や喉の粘膜の加湿も有効です。

花粉の症状と対策についての監修:耳鼻科医 坂田 英明先生
【All About 「耳・鼻・喉の病気」ガイド (耳鼻科医)】

医学博士。日本耳鼻咽喉科学会専門医。東京大学医学部客員研究員、埼玉県立小児医療センター副部長、目白大学保健医療学部教授を経て、現在川越耳科学研究所クリニック院長

医師/睡眠専門家 坪田 聡先生の解説

医師/睡眠専門家 坪田 聡先生

花粉症と睡眠は深い関係があります。睡眠中にも鼻がつまっていると呼吸がしにくく、睡眠が浅くなります。睡眠の質が悪いと、十分な睡眠時間をとっていても、日中の眠気が強くなります。さらに、睡眠時間が短すぎたり睡眠の質が悪かったりすると、免疫がうまく働きません。花粉症は免疫異常の1つですから、「花粉症→睡眠不足・睡眠の質の悪化→免疫異常がひどくなる→花粉症がさらに悪化」という負のスパイラルが起こります。

睡眠と仕事のパフォーマンスの関係も非常に深く、いつも8時間睡眠の人が睡眠を2時間削ると、酒酔いと同じくらい深刻な影響があるといわれています。このような理由から、職場よりも長い時間を過ごす家庭での花粉対策、良質な睡眠環境をつくることはとても大切です。布団クリーナーや空気清浄機、加湿器をうまく使うと、吸い込む花粉の量を減らせます。きれいな空気の中でぐっすり眠ってアレルギー耐性を高め、花粉症に打ち勝ってください。

また、スギ花粉は例年、2月上旬に九州や四国、東海、関東の一部から飛び始め、次第に日本列島を北上します。東北北部でスギ花粉が飛び始めるのは3月中旬頃です。マスクや眼鏡を使うのは、花粉が飛び始めてからでも遅くはないかもしれません。しかし、花粉症の薬を飲むなら、花粉が飛び始める2週間ぐらい前から飲み始めましょう。早めに飲み始めたほうが、予防効果が大きくなります。

花粉症と睡眠の関係についての監修:医師/睡眠専門家 坪田 聡先生
【All About 「睡眠」ガイド】

医師/睡眠専門家。日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。ビジネス・コーチと医師という2つの仕事を活かし、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を提供中。

※花粉症による労働力低下の平均時間を元に、平成30年分民間給与実態統計調査結果(国税庁)と2019 年労働時間等実態調査集計結果(経団連)から、労働が低下すると感じる社会人の平均の給与を割り出し、本調査にて算出された社会人の花粉症患者の割合(53.0%:6081名中3198名)と、2019年11月分労働力調査(総務省)から花粉症の社会人数を算出した数値と掛け合わせて、花粉症に起因する労働力低下による経済損失額を算出。

【社会人の花粉に関する実態調査】
●調査地域:全国
●調査期間:2020年1月17日(金)~1月19日(日)
●調査方法:インターネット調査(協力:株式会社ジャストシステム)
●調査対象:全国の社会人、20~59歳の男女
●有効回答:1,324名(男性:662名、女性:662名)

2020年3月5日 空気

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