【介護食の基本】刻み食など食事形態は4つ!自宅で調理するときのポイントを解説

介護食の基本や調理のポイントについての監修:検見﨑 聡美(けんみざき さとみ)
ライター:UP LIFE編集部
2022年6月20日 食・レシピ

加齢や病気、怪我などにより食べる機能が低下すると専用の介護食が必要になります。今回は介護食を作るにあたって知っておくべき食事形態の種類と、調理する際のポイントを解説します。さらに、見た目や味を変えずに料理や食材をやわらかくする調理家電「デリソフター」をご紹介します。

【介護食の基本】食事形態の種類は主に4つ!

写真:老夫婦が二人で食卓を囲んでるイメージ

介護食とは、加齢や病気、怪我などが原因で「噛む力」「飲み込む力」が弱まった方に対し、個々人に合った食べやすさ、飲み込みやすさに調整した食事のことを言います。食事の食べやすさ・飲み込みやすさを調整するのは、「噛む力」と「飲み込む力」には個人差があり、万が一合わない食事を与えてしまうと誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こす可能性があるためです。

では、食べる方の状態に合った介護食とはどのようなものなのでしょうか。介護食の形態には主に4つの種類があります。それぞれの特徴とその対象となる方について解説していきます。

刻み食

【特徴】通常の食事を細かく刻んだ食事
【対象となる方】噛む力が弱くなってきた方

ソフト食

【特徴】やわらかく加工しやすい食材を選び、煮たり茹でたりする工程を通常より長くした、やわらかい食事(やわらか食とも呼ばれます)
【対象となる方】噛む力と飲み込む力、どちらも弱い方

ミキサー食

【特徴】食べものをミキサーにかけ、ペースト状や液体状にした食事
【対象となる方】噛む力がほとんどなく、飲み込むことも難しい方

※食材によっては飲み込みづらくなるため、とろみ調整*食品などを加える
*とろみ調整食品:食べものや飲みものを飲み込みやすくするため、適度なとろみをつけられる食品です。「とろみ剤」とも言います。

ゼリー食

【特徴】ミキサー食に固形化補助食品を加えゼリー状にした食事
【対象となる方】噛む力がほとんどなく、飲み込む機能に重度の障害がある方

下記一覧表にもまとめていますのでご参考ください。

介護職の種類一覧 特徴 刻み食 ソフト食 ミキサー食 ゼリー食 通常食を細かく刻んだ食事 柔らかく加工しやすい食材を選び、煮たり茹でたりする工程を通常より長くした、柔らかい食事 ペースト状や液体状にした食事 ミキサー食をゼリー状にした食事 対象となる方 嚙む力が弱くなってきた 噛む力と飲み込む力、どちらも弱い 噛む力がほとんどなく、飲み込むことも難しい 噛む力がほとんど力がなく、飲み込む機能に重度の障害がある

介護食の調理のポイントは3つ

写真:介護食が並べられてるイメージ

介護食を作る際には、まず介護食を食べる方がどんな食べものが食べにくいかを知る必要があります。そして、ただ食材や料理を食べやすくするだけが介護食ではありません。ここでは、介護食を調理する上で気をつけるべきポイントを解説します。

【介護食の調理ポイント①】食べにくいと感じる食材・料理を知ること

「噛む力」と「飲み込む力」が弱まった方にはいくつか「食べにくい」と感じる食材・料理があります。

  • 水やお茶といったサラサラとしたもの
  • 肉や芋などのボソボソするもの
  • 焼きのりやウエハースといった口の中にくっつきやすいもの
  • もちなどの粘り気の強いものや練りものなどの弾力のあるもの

こういったものが、食べにくいものになります。

ほかにも、酢の物などの酸っぱいものはむせやすく、たけのこやパイナップルなどは口に繊維が残るため、食べにくいと感じますので注意が必要です。

【介護食の調理ポイント②】「食べやすく」「飲み込みやすい」食事にすることが重要

写真:飲み込みやすくしたスープのイメージ

調理をする際には、介護食が必要な方に合った「食べやすく」「飲み込みやすい」食事にすることが大切です。

例えば、繊維の多い肉やごぼうなどの食材は食べやすくするために煮込む・蒸す・つぶす・すりおろすといった調理法を施して、その方に合ったやわらかさに調整します。

また、飲み込みやすくするためには、サラサラとした液体であれば片栗粉やゼラチン、とろみ調整食品などを使ってとろみをつけたり、ゼラチンなどでゼリー状にしたりします。

【介護食の調理ポイント③】見た目とおいしさを大切にする

写真:介護食が並べられてるイメージ

介護食は通常食に比べるとどうしても見た目やおいしさで劣るように感じることがあります。人によって見た目が悪いことから食欲がわかず、せっかく作っても食べてくれない場合もあります。そのため、介護食を作る際は、食欲をそそるような見た目にするべく、食材の色や形、盛り付ける器、盛り付け方を工夫することが大切です。

また、歳を重ねると味を感じにくくなる傾向がありますが、健康のことを考えると塩分の高い料理はある程度控えるのが賢明です。食べる方の好みを尊重しつつ、おいしいと感じてもらえるように、出汁などをきかせて塩分を控えたものと、量を加減したしっかりした味のものを上手に組み合わせて満足できるメリハリのある食事を作りたいものです。

見た目そのままに様々な食事を簡単にやわらかくできる家電「デリソフター」を紹介!

前述で紹介してきたように介護食は安心して食事ができるように「食べやすく」「飲み込みやすい」ことが優先されます。そんな中、「家族みんなが同じ料理を食べられることの楽しさ、大切さ、喜びを持ってほしい!」という思いから開発されたのが、見た目や味を変えずに食材や料理をやわらかくできる調理家電「デリソフター」です。介護食の形態の中では、「刻み食」と「ソフト食」相当の食事に対応しています。
デリソフターは、パナソニック社内のビジネスコンテストから生まれた『ギフモ株式会社』が手掛ける調理家電。「摂食嚥下(えんげ)」に関する課題解決を目指し、食事を作る人、作ってもらう人がお互いに幸せを感じて欲しいという想いで開発されました。ここではそんなデリソフターの特長や使い方、調理事例などを紹介します。

おいしさも見た目も変えない“独自の技術”

写真:デリソフターを使用しているイメージ

デリソフターは独自設計の隠し包丁と独自開発の電気圧力鍋をベースに、見た目や味を変えずに食材や料理をやわらかくします。この隠し包丁とは72刃ある「デリカッター(特許出願中)」のこと。これにより食材や料理の繊維質を断ちつつ、熱が通りやすいように穴をあけます。そして独自開発の電気圧力鍋に水と食材や料理を入れ、食材や料理ごとに最適な“やわらか調理時間”を設定。これにより味も見た目も変えずに食材や料理をやわらかくします。

驚くほど簡単!デリソフターの使い方

デリソフターの使い方は以下のようにとても簡単です。

ステップ1:用意した食材や料理(または市販の総菜)に「デリカッター」をのせてスタンプし硬い食材の繊維を断ち切ります。
ステップ2:付属の専用調理皿に食材や料理をのせます。
ステップ3:本体内鍋の中に水200ccを入れて専用調理皿をセットします。
ステップ4:調理モードを選択して調理開始ボタンを押します。
ステップ5:調理が完了したら、本体内鍋から料理を取り出して器に盛ります。

※内ふた、内鍋は取り外せますので、使用後は毎回必ず洗ってください。

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介護食とは思えない!?食欲がわく調理事例を紹介

ここからはデリソフターの調理事例を紹介していきます。

写真:デリソフターを使用して作られたヒレカツのイメージ
  • ヒレカツ
    調理目安 29分
    調理モード 5

ワンポイント

  • 肉質について
    ヒレ肉かバラ肉を使用。ロース肉は、脂身と赤身の境にある筋が残るためおすすめしません。
  • ヒレカツ
    1枚をカットしているものの場合、断面が乾燥しやすいため、カツの上に千切りキャベツを乗せてデリソフターに入れてください。キャベツを乗せることで肉の乾燥を防ぎ、やわらかく仕上げることができます。

※掲載写真は全てデリソフターにかけてやわらかくしたものです。
※写真にある付け合わせ生野菜はイメージです。取り除いてからお召し上がりください。

写真:デリソフターを使用して作られたスペアリブのイメージ
  • スペアリブ
    調理目安 29分
    調理モード 5

ワンポイント

  • 下ごしらえ
    くさみを取るため、先に塩ゆでし、お湯は捨ててから調理します。

    ※デリカッター使用前に必ず骨から身を外してください。

  • 骨を外しやすいスペアリブの見分けかた
  1. 骨が身より外に出ていて、指でつまめるものが外しやすいです。
  2. 骨に沿って箸を滑らせることで骨と身を外せます。

※掲載写真は全てデリソフターにかけてやわらかくしたものです。

写真:デリソフターを使用して作られたカレイの煮付けのイメージ
  • カレイの煮付け
    調理目安 19分
    調理モード 3

ワンポイント

  • 下ごしらえの工夫
    魚の皮は噛み切れないので外しましょう。
  • 煮汁をあんにしてさらに食べやすく
    煮汁を煮立たせながら水溶き片栗粉を少しずつ流し入れましょう。
  • 取り出しのコツ
    スクレーパーで崩れないようやさしく取り出します。骨は硬いままなので食べる時は骨に気をつけてください。

※掲載写真は全てデリソフターにかけてやわらかくしたものです。

介護食なのに、時短調理にもなる!

一般的な介護食の調理時間は、普通食の調理時間に加えて30~60分程度かかることが多いです。しかし、デリソフターなら庫内にセットするだけで、12~29分で調理ができます。

【調理時間例】

写真:デリソフターを使用して作られた焼きなすのイメージ
  • 焼きなす(調理時間:15分で完成!)
    なすの皮は噛み切れないため、なすが焼き上がったら氷水につけて皮をはがしましょう。デリカッターを使わずにそのままデリソフターに入れるだけなのでさらに時短に。

※掲載写真は全てデリソフターにかけてやわらかくしたものです。

写真:デリソフターを使用して作られた焼き鳥のイメージ
  • 焼き鳥(調理時間:29分で完成!)
    買ってきた焼き鳥は串から身をはずしてデリカッターを使ってください。ねぎまは、白ねぎの繊維が残ってしまうため避けましょう。

※掲載写真は全てデリソフターにかけてやわらかくしたものです。
※写真にある付け合わせ生野菜はイメージです。取り除いてからお召し上がりください。

隠し包丁×圧力と蒸気の力×やわらか科学の掛け合わせ 詳しく見る

まとめ

介護食は必要としている方の食事能力に合わせた調理をしつつ、食欲をそそるような見た目とおいしさの工夫も必要です。そのため、介護食作りは非常に大変で手間のかかるものといえます。
なるべく簡単に介護食を作りたいなら、見た目や味を変えずに食材や料理をやわらかくできる調理家電の「デリソフター」がおすすめです。デリソフターは一般家庭でも介護施設でも活用できる家電です。ぜひこの記事を参考にして、食卓に笑顔が増える、おいしい介護食作りに役立ててみてはいかがでしょうか。

写真:検見﨑 聡美さん

介護食の基本や調理のポイントについての監修:検見﨑 聡美(けんみざき さとみ)

料理研究家、管理栄養士。赤堀栄養専門学校卒業後、料理研究家のアシスタントを務める。独立後はテレビや雑誌、書籍等を中心に活躍。体にやさしく初心者でも手軽に作れる料理に定評がある。

2022年6月20日 食・レシピ

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