『BIKES』インタビュー&メイキング映像

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LUMIX S5ⅡXが導く『Flow State Project』

映像作品『BIKES』メイキング映像

LUMIX S5IIx FlowState 「The Making of Bikes」

新しいLUMIX S5ⅡXは、「Flow State(フロー状態)」を捉え、真の創造力を発揮する手助けをしてくれるカメラだ。「Flow State」とは、人が完全に目の前の作業に集中している時に、時間や周囲のあらゆるものを忘れ、最高のパフォーマンスと創造性を発揮できる状態をいう。

目の前の作業に集中するあまり、時間や周囲のあらゆることを忘却してしまったことはないだろうか? そんなときは、アーティストや映画制作者なら誰もが目指す、最高のパフォーマンスと創造性を発揮できる、「Flow State」に入っていたのだ。そうした「ゾーン」に入っている状態で最も避けたいのが、機材や予算の限界に直面させられることだ。

「「Flow State」とは、撮影現場にいて、一緒に働いているすべての人たちと素晴らしいコミュニケーションがとれているときに実現するものでしょう。
「Flow State」の表わしかたは人それぞれだと思いますが、私にとっての「Flow State」とは、その場にいる全員が同じプロジェクトの制作にたずさわり、お互い完全にシンクロしていると感じる瞬間です。相手を知り、コミュニケーションを密にすることで、そうした状態に入りやすくなると思います」
-Charlotte Regan​氏、『BIKES』監督

USB Type-Cケーブルを介してSanDisk SSD ドライブに接続されたLUMIX S5ⅡX。

USB Type-Cケーブルを介してSanDisk SSD ドライブに接続されたLUMIX S5ⅡX。

このコンセプトを念頭に、Panasonicは世界中の才能ある映像制作者が手がけた他にはないショートフィルムのコレクション、「Flow State」シリーズを制作した。基本的な考え方は、LUMIX S5ⅡXの可能性を紹介することを通じて、他のカメラにつきまとう制限を克服し、すんなりと「Flow State」に入って創造的なビジョンを実現できるようにする、というものだ。

アーティストが創造性を解き放つのに役立ってくれる、LUMIX S5ⅡX機能のいくつかを、ここで紹介しよう。

  • 24.2Mフルサイズセンサーを搭載。黒基調のデザイン。優れたイメージクオリティと卓越したカラーサイエンス

  • 像面位相差AF機能が、高速性・信頼性に優れたAF性能を実現

  • アクティブI.S. による、パワフルな手ブレ補正テクノロジー

  • 収録フォーマットC4K 60p/50p 4:2:2 10bit(記録時間無制限)および6K 30p/25p 4:2:0 10bit、ならびにFHD 120fpsハイフレームにも対応

  • Apple ProRes RAWまたはBlackmagic RAWで撮影した動画RAWデータをHDMI出力して外部レコーダーに記録

  • 14+ストップV-Log/V-Gamut撮影機能により、ハイダイナミックレンジ、デュアルネイティブISOテクノロジーに対応

  • 外付けSSDへの対応により、Apple ProRes 422HQ、All-Intraなど低圧縮の映像圧縮方式の活用範囲が拡大

  • 有線/無線IPストリーミング機能

『 Flow State Project 』 2作目となる『BIKES』は、イギリスのロンドンで撮影された。このショートフィルムは、束の間の時間を共有した2人の若者が、素晴らしい関係を築ける可能性に気づいたものの、どうすればそうなれるか確信が持てずにいる、というストーリーを描いている。この感動的な映画の制作陣に、ストーリーの着想をどこから得たのか、アーティストのビジョンを実現する際にLUMIX S5ⅡXがどのような役割を果たしたのかについて、尋ねてみた。

Charlotte Regan監督と、ジンバルに取り付けたLUMIX S5IIXを構えるFranklin Dow撮影監督による、打ち合わせの様子。

シャーロット・リーガン/Charlotte Regan監督と、ジンバルに取り付けたLUMIX S5IIXを構えるフランクリン・ダウ/Franklin Dow撮影監督による、打ち合わせの様子。

『BIKES』制作陣へのインタビュー

今回ご紹介するのは、本作の脚本・監督を担当したCharlotte Regan氏と、撮影監督Franklin Dow氏へのインタビューである。

─ この映画の着想について教えてください。

Charlotte Regan(以下、Regan​): 『BIKES』のインスピレーションは、私たちが道端やバス、電車の車内で見知らぬ人とすれ違う、本当にわずかな無意識の一瞬から生まれました。誰かと目が合ったり、自分と同じ音楽を聴いている、自分と同じことに興味を持っている人がいる、そんなことに気づいた瞬間。そんなつながりをもっと突き詰めたら、あるいは私たちがもっと積極的に人々に手を差し伸べたらどうなるのかを描きました。

─ このプロジェクトを通して、どのような挑戦を行ったのですか?

Regan​​:セリフがなく、プロットも非常にゆるいものであるため、私もFranklinも映像にどう語らせるかを模索していました。すべて、私たちの選択するショットや、演者がやると決めたちょっとした表現が頼りなのだと感じました。その点で、これは私たち自身への挑戦でした。私もFranklinも、ショットのことを気にせず、会話に頼ることがとても多い映画や、手持ち撮影が中心で、キャラクターやプロットがメインの映画に慣れていました。ですがこの短編では、ショットはキャラクターと同じくらい重要だと感じました。

─ LUMIX S5ⅡXはストーリーを視覚的に伝える上で、どう役立ちましたか?

Regan​​:LUMIX S5ⅡXは本当に貴重な存在でした。他のカメラでは撮影できなかったと思います。というのも、登場人物は2人とも自転車に乗っていて、ロンドン近郊のごく狭い路地を走っていくため、意図したショットであったり、自転車で走る若者たちを追いかけていくような、かなり速い動きのショットを撮るためには、装備をごくコンパクトにして、狭い場所に入っていけるようにする必要があったのです。LUMIXは、立ち上がり、走り回り、移動するのに最適なカメラでした。少人数のカメラチームで撮影できたので、かなり臨機応変な対応ができました。良い撮影スポットを見つけたら、すぐに駆けつけて撮影することができました。従来のセットやクルー人数だったら、そういうものを撮ることはできなかったでしょう。かなりコンパクトな陣容にできたので、他では撮れないようなショットが撮れました。

Franklin Dow(以下、Dow):このカメラでの撮影は素晴らしかったですね。カメラが小型だったので、より小さいジンバルに載せて、かなり小回りの利く形で撮影でき、ストーリーの映像描写にとても役立ちました。終始、(登場人物である)ビリーの傍でカメラを回したいと考えました。つねに彼女と一緒に小さな旅をしているような感覚になるためです。カメラの小ささがここでものを言いました。街頭で撮影するときにも役立っていたと思います。少人数のクルーと小型のカメラのおかげで、少しなりとも目立ちにくくなりました。

『BIKES』の撮影中、小編成の撮影クルーが道端でプレイバックを確認。

『BIKES』の撮影中、小編成の撮影クルーが道端でプレイバックを確認。

─ LUMIX S5ⅡXで使用した記録フォーマットは?

Regan:USB Type-Cケーブル経由で外付けSSDを使い、Apple ProRes 422 HQで記録しました。画質は、他のプロジェクトで使ったこれよりかなり高額のカメラと同等だと感じました。編集に入ったとき、私と編集担当は画質について、最近撮影した他のプロジェクトとほとんど同じだという意見で一致しました。ほとんど違いがなかったですね。非常にシャープでありながら、過度にデジタルな感じでもなかった。とても映画的なルックで、プロジェクトで狙っていた撮り方にも合っていました。シネマティックな画質でありながら、デジタル一眼レフカメラならではの良さを感じました。

─ このプロジェクトは『 Flow State Project 』と命名されています。アーティストはよく、集中力が高まったとき、最も創造力にあふれ、自分の内なる声に従っているという感覚を抱く精神状態を経験します。「Flow State」になることは、よくあるのでしょうか?

Regan:そうですね。「Flow State」というのは、撮影現場にいて、一緒に仕事をしている全員と素晴らしいコミュニケーションがとれているときに入れるものだと思います。「Flow State」の表しかたは人それぞれだと思いますが、私にとっての「Flow State」とは、その場にいる全員が同じプロジェクトの制作にたずさわり、お互い完全にシンクロしていると感じる瞬間です。相手を知り、コミュニケーションを密にすることで、そうした状態に入りやすくなると思います。今回のプロジェクトでそれを感じたのは、撮影現場でFranklinと、プランや絵コンテにはなかったけれど、路地にいるなかで見えたショットについてやり取りをして、「ああ、これは撮らなくては」、と思った瞬間でした。撮影監督のFranklinとの関係はとても良好で、いろいろなプロジェクトで一緒に仕事をしてきました。いつもとても息が合っていて、それが「Flow State」なのかなと感じています。

LUMIX S5ⅡXの背面モニターに映し出された出演者の一人。

LUMIX S5ⅡXのフリップアウトスクリーンに映し出された出演者の一人。

─ 撮影していて、S5ⅡXのどんなところが気に入りましたか?

Dow:素晴らしいの一言です。正直、カメラの画質には本当に感動しました。小さめのカメラにありがちな、ローリングシャッター現象が起こらないことにも感心しました。他のカメラの場合、素早くパンするとラインが歪んでしまうんです。『BIKES』の全編を通じて、かなり高速での追尾を行っていたのですが、このカメラではローリングシャッター現象にそれほど悩まされずに済みました。スタッフもこの点は気に入っていました。本当に素晴らしかった。さっきも言いましたが、色の表現もじつに自然で良かった。このクラスのカメラでは、そうそうできることではありません。

─ 撮影でメインに使ったレンズは?

Dow:レンズは色々ありました。LUMIX Sシリーズレンズが揃っていたし、SIGMAのズームレンズもいくつかありました。特定のレンズへのこだわりはなかったですね。カメラをジンバルに載せているときは、LUMIX Sシリーズレンズがよく登場しました。使いがいのあるレンズでした。最新のレンズに求められる、速さとシャープさがありました。サイズや重さもかなり近いので、ジンバルで使用する場合も、取り回しにそれほど時間をかけることなくレンズを切り替えられます。技術的な観点からみても、かなり便利です。描写も非常に優れていました。

ドライバーが操る小型車に乗ってジンバルに装着したLUMIX S5ⅡXを操作する、撮影監督Franklin Dow氏。

ドライバーが操る小型車に乗ってジンバルに装着したLUMIX S5ⅡXを操作する、撮影監督フランクリン・ダウ/Franklin Dow氏。

─ S5ⅡXにはできて大型カメラにはできないことがあるとすれば、何でしょうか?

Dow:第一が、単純にコスト面でより手頃であること。第二に、小型カメラであること。物理的に大きなカメラを持ち込めない場所にも、持ち込むことができます。撮影機材も大幅に軽量化できます。そこが、プロの目から見て大きなフォーマットのカメラよりも優れている点です。20倍も30倍も値が張るカメラにかなり近い画質が得られるので、ある意味、映画制作をより多くの人に開かれたものに、より身近なものにしてくれます。

─ 数百万人いる映画制作者にメッセージを贈るとしたら、何を伝えたいですか?

Dow:私がいつも映画監督志望の人にかける言葉があります。とにかく(自分の領域から)出て映画を作るということ。それがあなたができる最善である、と。カット編集、カラーコレクション、音のミックスなど、プロ並みのソフトが無料で手に入ります。カメラも身近な存在になりました。映画制作を学ぶ最善の方法は、映画を作ることです。映画制作には制作者のアイディアを観客の感動へと変換する錬金術のような側面があると思います。それが楽しさでもあります。ほとんど習得不可能な技です。ですが練習を重ねることで、映画用語の流暢さであるとか、ルールの曲げ方と破り方、そして何がルールに影響を与えるかを理解できるようになります。私からのアドバイスは、映画を作りたい、という同じ志を持った仲間を見つけること。チームゲームなのだから、とにかく外に出て撮影して、何ができるか試してみることです。

─ Charlotteさんは、ストリートキャスティングやプロではない役者のキャスティングを好むと聞いています。彼らにアプローチし、一緒に仕事をすることの醍醐味とは?  『BIKES』のキャスティングプロセスについて教えてください。

Regan:このやり方ならではの、撮影現場のエネルギーが大好きなんです。撮影現場に入った経験がほとんどない若い人たちが、仕事に取り組む様子を見て、自分たちが何てクール仕事をしているんだろうと実感できるんです。クルー全員も、その喜びをともに味わいます。『BIKES』では、キャスティング・ディレクターのMichelle Giovanniが、そうした若者たちにアクセスできるソーシャルメディア・プラットフォームに目を付けました。自分のBIKEを魔法のように駆る若者たちを探していたのです。何人かを撮影してみてすぐに、ニーダ/Nidaとリューベン/Reubenの魔法のような動きが目に留まりました。短い自己紹介動画でも、二人には強いカリスマ性が感じられました。

─ プロの俳優でない人たちがより自然に演技するのに、S5ⅡXが役立ったと思いますか?

Regan:間違いなく役立っていました。とても自然な、ほぼドキュメンタリーのようなやり方で撮影に臨むことができました。大勢のクルーに囲まれた恐ろしげな巨大カメラではなかった。人目を避けることもできたし、BIKEを駆るスペースを必要とするキャストの邪魔にならないようにすることもできました。自転車での撮影では大活躍でした。でもそれ以上に、彼らの演技にもとても役立ったと思います。AF性能の高さも、キャストを余計に邪魔したり、マークの場所を通過するよう指示したりしなくて済むのに役立っていました。

─ LUMIX S5ⅡXがあれば、一人でも映画を制作できると思いますか?

Regan:もちろんです。技術的なことはあまり得意ではないのですが、撮影現場でFranklinとしゃべっていたことで、カメラのことが少し分かった気がします。使いやすいと感じました。使い方がとても簡単で、画質も素晴らしかったので、夏に2本のドキュメンタリーを自分で撮影するのに使ってみようと思っています。小規模で、周りの邪魔にならないように撮影できるんです。ドキュメンタリー映画やプロではない役者さんが出演する映画では、それが素晴らしい演技を得るための鍵になると思います。

「Flow State(フロー状態)」に入る準備はできているか?

LUMIX S5ⅡXは、創造性を刺激し、アーティストが「Flow State」に入りやすいよう設計されている。『Flow State Project』の立ち上げを通じて、Panasonicは世界中の才能ある映像クリエイターにその能力を披露し、 LUMIX S5ⅡXを使っていかに素晴らしいコンテンツを制作できるかを実証するための場を提供してきた。

このカメラがあれば、アーティストは他のカメラでは避けられなかった制約を乗り越え、新たな挑戦に立ち向かい、ついには自分のビジョンに命を吹き込むことができるだろう。映像制作を志す人であれ、熟練したプロであれ、LUMIX S5ⅡXはあなたの創造性を解き放ち、芸術を次のレベルへと引き上げる強力なツールになる。