室内のカビはなぜ生える? 予防と対策も徹底解説

室内のカビの予防と対策についての監修:藤原 千秋(ふじわら ちあき)
ライター:UP LIFE編集部
2021年7月9日 空気

家の中でカビが生えるのは、水回りだけではありません。どんな箇所でも、油断しているとあっという間にカビの住み処となってしまうんです。では、厄介なカビを予防するには、どのようにすれば良いのでしょうか? そして、もし生えてしまった場合は? そんなカビにまつわるさまざまな疑問に、掃除の専門家、藤原千秋さんが答えてくれました。

そもそもカビって一体、何者? どうやって増えるの?

そもそもカビって一体、何者? どうやって増えるの?

室内に生えるカビの予防と対策を考えるなら、まずはカビの正体を知っておきましょう。藤原さんによると、「細菌などと混同されやすいですが、実は全く別物」なのだとか。

同じ微生物に分類されても、細菌とは別物

「カビという名前は俗称のようなもので、正確には“真菌”と呼ばれています。“菌”と付くと細菌も浮かびますが、同じ微生物というだけで別の生き物。地球上に細菌が誕生してから13億年ほど後に生まれた真菌は、より進化した生物で、どちらかと言うと植物に近い性質をもっています」

どう成長して増えていく? カビのライフサイクル

どう成長して増えていく? カビのライフサイクル

「カビの成長も、植物と似ているもの。まず、成長したカビから胞子が飛び出した後、何かに付着すると発芽して、根や茎のように菌糸を伸ばしていきます。まるでタンポポの種子のようですが、植物と違ってカビは光合成を行いません。菌糸を伸ばしたところにある栄養分や水分を吸い、大きくなっていくのです。種類によって寿命は異なりますが数か月から1年ほど、長いものでは2年以上とも言われています」

寿命があると聞くと安心してしまいそうですが、それは間違い。成長したカビは次々と胞子を出して行くため、対処しなければどんどん増えてしまう可能性があります。一度、見つけたら、しっかりと除去することが大切ですね。

カビの種類は8万種以上! 中には人の役に立つものも

カビの種類は8万種以上! 中には人の役に立つものも

ひと口にカビと言っても、さまざまな種類があります。その数は膨大で、藤原さんによると「8万種を超えている」のだそう。

キノコや酵母も仲間。悪者と言い切れないカビ

「真菌は、役割を終えた生物などの有機物を分解する“自然の分解者”。その存在には意義があるので、カビ=悪いものと一概に言うことはできません。また、抗生物質のペニシリンは青カビの一種から生まれたものですし、カビを繁殖させて熟成させたチーズなどもあります。キノコや酵母も真菌の仲間であり、みそやしょう油、日本酒といった発酵食品にも利用されているので、実は皆さん、口にしていたりもするんですよ」

百害あって一利なし。住まいのカビに多いのはどんな種類?

役に立つものがいる一方で、私たちにとって悪い影響をもたらすのが室内に生えるカビ。一体、どのような種類があるのでしょうか?

「高気密性住宅は、水周りに発生しがちな黒カビが多いもの。一方、気密性の低くて湿気がこもりにくい住宅でよく見られるのは、白くてフワフワしたコウジカビや緑色の青カビ。黒カビは窓枠やカーテン、エアコンの内部や送風ルーバーなど、水分の多い箇所に発生しがちです。また、コウジカビは古い畳、青カビは壁や押し入れのほか、タンスの底や本棚の奥などの家具に生えやすいですね」

くらしが変わったことで、これまでとは違う箇所に生えることも

「家にいる時間が増えた昨今は、家の中の予期せぬところにカビが生えるケースも増えています。たとえば、オフィスチェアの座面。在宅ワークによって座る時間が長いと、湿気がこもりやすくなりってカビが生えることもあるようです。一方で、換気の習慣化に伴い、カビの胞子が減っている家もあるのではないでしょうか」

家の中で繁殖したカビの影響は?

家の中で繁殖したカビの影響は?

では、室内にカビが増えると、どのような影響を及ぼすのでしょうか?

カビの胞子はアレル物質となることも

「花粉やダニなどと同様に、カビの胞子もアレル物質となる可能性があります。家の中にカビが繁殖するような環境は改善することが必須ですね」

季節を問わず油断は禁物! 室内のカビが生える条件とは

季節を問わず油断は禁物! 室内のカビが生える条件とは

聞けば聞くほど、家の中でカビが繁殖する状況は避けたいところ。そのためには、カビが好む生育条件を知っておくことも必要です。

カビが好む温度と湿度を知っておこう

「カビの種類にもよりますが、暑すぎず寒すぎず、私たちにとって快適な温度と、高めの湿度という環境が好まれます。具体的には室温25〜30℃、湿度60〜80%ほど。カビの胞子は目に見えないので気付きにくいですが、屋内外を問わず存在しており、こうした条件がそろえばすぐに増えてしまいます」

こんな家だと、特に発生しやすい傾向が

藤原さんによると、カビが成長しやすい家には特徴があるのだとか。

「たとえば、先ほども触れた高気密性住宅です。熱や冷気を逃しにくい気密性の高さをもつ家は、言わば密閉容器のようなもの。室内の水分も抜けにくいので、湿気がこもってカビが好む環境となりがちなんです。また、結露が発生しやすい部屋や、加湿器を必要以上に利用している部屋、観葉植物や水槽がある部屋などはカビが生えやすいですね。風通しが悪いこともカビにとっては好条件なので、実家の自室など、普段は使われていない部屋でも注意しましょう」

室内のカビを防ぐ方法と、生えたときの対策は?

室内のカビを防ぐ方法と、生えたときの対策は?

カビが好む条件と共に、藤原さんは家の中のカビを予防する方法も教えてくれました。

家のカビを予防する第一歩は「換気」

「まずはとにかく換気! 室内の空気中に浮遊している胞子のほか、ハウスダストも屋外へ排出することができます。24時間換気システムは常に運転させた上で、1日に1〜2回は窓を開けての自然換気を行いましょう。このとき、エアコンや空気清浄機はオンにしたままで問題ありません」

「掃除」をきちんと行うことも、カビの予防に効果的

「空中に浮遊しているカビの胞子は、いずれ床へと落ちてきます。たまったままの状態を避けるためにも、掃除はサボらないようにしましょう。カーテンなど布製品の洗濯、布団干しといったこともまめに行いたいですね。このほか、エアコンや空気清浄機といった家電類のフィルターも、ホコリがたまりやすいので、定期的に手入れしましょう」

カビ予防に欠かせない「湿度コントロール」

「カビのリスクを抑えるには、湿度60%以下を心がけて。そのためにも、各部屋に湿度計を置いておくと良いでしょう。湿度計は時計に搭載されているものや、100円ショップなどで取り扱っているものでも目安としては十分。また、最近のエアコンには、スマホアプリなどで部屋の温度や湿度がわかるものもありますよ。湿度を下げるには、エアコンの除湿運転を利用しましょう。押し入れなどには専用の乾燥剤などもありますが、風を当てて乾燥させる方が効果を期待できます」

もし、生えてしまったときはどう対策する?

「下手に拭き取ろうとすると、カビの胞子を飛び散らせたり広げてしまったりしますし、洗剤を使えばエサを与えることになります。ベストな方法は、消毒用エタノールを雑巾などに染み込ませて拭き取ること。消毒用エタノールが手に入らないなら、手指消毒用のジェルでも構いません。熱に強い箇所なら、水拭き後にスチームクリーナーを使ったり、当て布をしてアイロンをかけたりしても良いでしょう。なお、カビを拭き取った雑巾などはそのまま処分を。水洗いするとカビの胞子が周囲に飛んでしまうので、ご注意ください」

カビを除去したのにニオイや色が残っているときは…

「ニオイが残っている場合は、カビが除去しきれていないから。実は思いもよらない箇所に、カビが生えている可能性もあります。また、クローゼットや押し入れに防虫剤を入れていると、ニオイ自体にも気付かなくなるので一度、チェックしてみてください。色が残っている場合、カビの色素を分解する次亜塩素酸ナトリウムで拭くという方法もありますが、素材が傷んでしまうことも多いので注意が必要。衣類の場合は、クリーニング店に相談してみるのも良いでしょう」

空気にまつわる家電を利用するのも、予防策として効果的

屋内外を問わず存在するカビの胞子は、当然ながら部屋の空気中にも浮遊しています。そのため、空気清浄機などの家電を使って、空気をキレイに保つこともとても大切です。

部屋の空気をキレイにしてくれる空気清浄機

室内の空気を吸い込み、汚れをキレイに取り除いて排出する空気清浄機は、ぜひとも導入したい家電。カビのエサとなる空気中のホコリを吸い込んでくれるため、選ぶときは、微細な物質もキャッチできる高性能なフィルターを搭載しているかどうかも、しっかりチェックするようにしましょう。

空気清浄機能を搭載したエアコン

最近のエアコンには、空気清浄機能を搭載したモデルも多く揃っています。空気清浄機と同様、高性能フィルターが採用されていれば安心。カビの原因となるフィルターのホコリを自動で掃除してくれる機能や、エアコン内部のカビリスクを抑制する内部クリーン機能を搭載したモデルがオススメです。

カビをはじめとした空気リスクを抑制するナノイーX

空気中のアレル物質や有害物質に作用するナノイーXは、パナソニック独自の技術です。空気清浄機やエアコンといった家電のほか、鉄道や病院などの公共機関などでも採用。カビに対しては、黒カビやコウジカビ、青カビなど、室内に浮遊する有害なカビ菌※1に加え、付着したカビ菌※2も抑制します。

家電や専門家の力も借りて、カビのないわが家に!

「カビの予防に役立つ家電は頼りになりますね」と、藤原さん。ただし、それだけで安心してしまってはいけないそうです。

「これらの家電さえ使っていれば大丈夫、というわけではありません。やはりカビを防ぐには、換気や掃除もしっかり行うようにしてください。その上でもし、カビを見つけたら、見て見ぬふりをせずしっかり取り除くことももちろん大切。自分の手に負えないと思ったら、お掃除業者に依頼するのも良いと思います。そうやって室内のカビをリセットしたら、日々、換気と湿度コントロールを心がけて、カビの生えにくい家をつくりましょう」

 

※1 【試験依頼先】(一財)日本食品分析センター【試験方法】約6畳の実験室においてカビ菌数の変化を測定 【除菌の方法】ナノイーを放出 【対象】浮遊したカビ菌 【試験結果】60分で99%以上抑制(第205061541-001号) 試験報告書発行日:2005年7月6日
※2 【試験依頼先】(一財)日本食品分析センター【試験方法】試験室(約6畳)において布に付着カビ菌の発育を確認【抑制の方法】ナノイーを放出 【対象】付着したカビ菌(クロカビ、コウジカビ、アオカビ、ススカビ、アカカビ、カワキコウジカビ、ケカビ、黒色カビ)【試験結果】8時間で抑制効果を確認(クロカビ:第17145307001-0201号、コウジカビ:第17145307001-0101号、アオカビ:第17145307001-0601号、ススカビ:第13044083002-01号、アカカビ:第17145307001-0401号、カワキコウジカビ:第17145307001-0301号、ケカビ:第17145307001-0501号、黒色カビ:第17145307001-0701号) 試験報告書発行日:2013年6月14日(ススカビ)、 2018年1月30日(その他)

藤原 千秋

室内のカビの予防と対策についての監修:藤原 千秋(ふじわら ちあき)

主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆して21年目。現在はライティングの傍ら監修、企画、広告、アドバイザリーなどの業務に携わる。プライベートでは三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著書監修、マスコミ出演多数。総合情報サイト『All About』家事・掃除・子育てガイド。

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