何とかしたい! 不意に訪れる眠気の原因と具体的な対処法&予防法
睡眠についての監修:友野 なお(ともの なお)
ライター:UP LIFE編集部
2020年12月14日
空気
仕事中や授業中など、眠ってはいけないときでも容赦なく襲ってくる眠気。睡眠不足が原因かと思いがちですが、実はそれだけではないんです。眠気が訪れるメカニズムは多様なもの。そこで、原因と対処法・予防法を、眠りの専門家である友野なおさんに聞きました。
睡眠不足のほかにもいろいろ。不意の眠気の原因とは
眠気が生じる原因はさまざま。まずはその代表的なものを、友野さんに教えてもらいましょう。
原因1:眠気の原因の根本は睡眠不足・睡眠の質の悪さ
「睡眠の時間と質、どちらかが欠けても良い眠りは得られません。睡眠時間の長さは人に個人差がありますが、休日の睡眠時間から平日の睡眠時間を引いた数字がひとつの指標となります。もし、休日の方が2時間以上長く眠っているようなら、普段から睡眠不足に陥っている可能性があります。これが積み重なった状態は、“睡眠負債”と呼ばれています。
一方、睡眠の質を測るには、熟睡感がポイントになります。朝、起きたときに“ああ、よく眠れた”と感じられるか、あるいは午前中に眠気が訪れないかというのが、客観的な指標ですね。熟睡感が得られる眠りには、睡眠の前半に深いノンレム睡眠が、後半に浅いレム睡眠が表れるといったメリハリがあるもの。でも、睡眠の前半に深いノンレム睡眠が十分におとずれないと、全体的に浅い睡眠となり7〜8時間眠っても熟睡感は得られないため、日中の眠気に繋がると考えられます」
原因2:食後の血糖値の変化
「血糖値の上昇は、だいたい食後30分から1時間くらいでピークを迎えると言われています。糖質の多い食事を摂ると、食後の血糖値は急激に上がり、下がるときも急激に。この落差が激しいため、人によっては眠気を生じる、イライラする、食欲が止まらないなど、いろいろな不調が起こります」
原因3:糖質制限などによる低血糖
「脳はエネルギーを使う器官なので、体全体の血糖の20〜30%ほどを消費します。血糖が足りていない、あるいは下がってしまうと、感情のコントロールが難しくなったり精神的に不安定になったりといった症状が出やすいことが指摘されていますね。このほか、攻撃的になったり、ボーッとしたり、イライラしたりといった症状の中に眠気がでることがあると言われています」
原因4:自律神経の乱れ
「自律神経と睡眠は、とても密接な関係があるんです。基本的に、昼間は交感神経が活発で活動的なモードになっていますが、夜になると副交感神経が活発になり、体や脳がお休みモードにシフトしていくもの。これが24時間社会、ストレス社会に巻き込まれたり、生活のリズムが乱れたりすると、夜になっても副交感神経に切り替わりにくくなってしまいます。
また、深夜までパソコンなどの光を浴び続けていたり、在宅勤務となったことで活動量が低下したりすると、体が疲れておらず目や脳が冴えているといった状態に陥ることも。このほか、強いストレスなどでも自律神経が乱れ、睡眠の質を低下させて日中の眠気に繋がるケースがあります」
原因5:ホルモンバランスの乱れ
「女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下することで、睡眠の質が低下すると指摘されています。月経のときや更年期のときに起こりがちな症状。エストロゲンは抗ストレスホルモンとも呼びますが、この分泌が低下するとストレスに対する抵抗力が弱くなり、結果、睡眠の質の低下に繋がるという流れですね。
また、オレキシンという覚醒作用のあるホルモンの分泌が低下すると、眠くなると言われています。オレキシンは食欲を刺激する脳の中の「食欲中枢」という場所で発見され、食事と関係が深いとされています。はるか昔、私たちはおなかが空くと狩りへ行かなくてはならず、覚醒させるためにオレキシンの分泌が増えていました。でも、おなかがいっぱいになると狩りに行く必要がないため、オレキシンの分泌が低下して眠気が強まるようになったのです。
この昼食後に眠くなる時間帯は“ポストランチディップ”と呼ばれ、オレキシンの分泌低下、14時前後に訪れる体温低下という2つの原因があると考えられています。
もうひとつ、睡眠に関わるのがメラトニン。夜に眠りを促す働きをもつホルモンですが、生活のリズムが乱れてしまい、メラトニンが十分に分泌されないと、夜間良質な睡眠がとれずに翌日眠気に襲われることになります」
眠気の予防法はカフェインを摂ること…だけではありません
眠気の原因はわかったけれど、今すぐ生活を変えるのが難しいという人も。そんなとき、つい頼りたくなるのがカフェインですが、なぜカフェインを摂取すると眠気が抑えられるのでしょうか?
「多くの研究で報告がされていますが、カフェインには大脳皮質を活性化させる作用があります。これにより、精神活動が活発化して覚醒作用、疲労の緩和といった効果をもたらしますが、一方で動悸や血圧の上昇、呼吸の促進や利尿効果などの作用も。こうした症状は口から摂取しておよそ30分後に表れるので、眠くなりたくないタイミングの30分前に摂ると効果的です。ただし、頼るときは夕方まで。個人差はありますが効果は4〜6時間続くと言われ、高齢になるほど持続時間が長くなるので、夜の睡眠に影響が出ないように注意をしてください。摂取量も、多くてもコーヒー3、4杯程度が良いでしょう」
続いて、先ほどのお話にあった眠気の原因に対する予防法を聞いてみましょう。
睡眠不足と睡眠の質が悪いときの予防法は?
「当たり前のことですが、まずは睡眠時間を十分確保できるタイムスケジュールを組むこと。生活の中で削る時間として真っ先に睡眠時間を選ぶ人が多いのですが、それでは予防はできません。タイムスケジュールを組むときはまず睡眠時間を確保して、そこから逆算して何をやるかを選んでいってください。“やることリスト”ではなく“やらないことリスト”を決めるのはとても大事な習慣です。
そして、“睡眠五感”を整えることも必要。これは、「視覚」「嗅覚」「聴覚」「温熱感覚」「触覚」を指しています。「視覚」は光と色。就寝1時間前になったら照明をやや暗めの暖色系にして、スマホやテレビ、PCといったデバイスは遠ざけましょう。また、色は黒、赤、白といったコントラストの強いものは緊張感を高めたりするので、大きな面積を占めるカーテンや寝具カバー、自分が着るパジャマなどはパステルカラーのやさしい色合いのものにするのがオススメ。
「嗅覚」はリラックスできる香り選びが大切です。研究ベースでわかっていますが、ラベンダーは不安感を解消して睡眠の質が良くなるので睡眠五感を整える上で適切。ただし、自分が好きな香りでないと効果がないこともわかっているので、苦手な方はベルガモットなど、別のリラックスできる香りを選んでみてください。
「聴覚」では、図書館並みの静けさを目指して。「温熱感覚」で言うと、季節に合わせて寝具を変えることが大切です。また、「触覚」は寝具の素材にこだわること。自分が好き、気持ちいいと思える素材を選びたいですね。このほか、寝具の環境を整えることはとても大事。睡眠時間として適切と言われる7時間と仮定しても、長い時間自分の体を預け続けるものなので、マットレス、枕、掛け布団、パジャマといったものが体にしっかりと合っているかを見直すようにしてください。
また、長く使って劣化した寝具は、睡眠を妨げてしまいがち。たとえばマットレスはスプリングが利かなくなってきたりするので、ひとつの目安として10年以上、使っているなら交換しましょう。朝起きたときに体が痛かったり、夜中に何度も起きてしまったりという場合も、同様に交換を検討してください」
血糖値の変化による眠気はこうして予防を
「空腹の状態から一気に食べたり、血糖値が上がるようなものを食べたりすると、血糖値が急激に上下することになるので注意しましょう。特に朝ごはん。眠っている間は何も食べていないので、朝ごはんを抜くとお昼までずっと空腹なままになってしまいます。朝ごはんは抜かずにきちんと摂り、血糖値が急激に上がらないようにゆっくりよく噛んで食べること。また、朝はパンだけ、昼はうどんだけなど、糖質だけ摂るのは避けましょう。
また、糖質制限をしすぎるのもオススメできません。脳にエネルギーを十分供給する必要があるので、ダイエットだからと言って偏りすぎない食事を目指してください。人の体の構造としてはタンパク質が一番重要なので、タンパク質はしっかり摂って。野菜、タンパク質、糖質、といった順番で緩やかに血糖値が上がる食べ方を心掛けましょう」
ホルモンの乱れから眠くなるのを防ぐには
「大前提として、生活リズムを一定にすること。特に就寝時間より起床時間を一定にすることがとても重要なので、何時に寝るかにこだわりすぎずに何時に起きるかを必ず守る。そうすると、就寝時間も含めて自ずと生活リズムが整ってきて、一定になりやすくなります。食事のタイミングも、1時間以上ずらさないように。寝だめをしなくてはいけない状況になったときは、プラス2時間までにしましょう。
また、これもよく言われることですが、ストレスを溜めないようにしてください。そのためには、自分に合ったストレス発散法を3〜4個見つけておくことが大切。見つけ方としては、人との関わりの度合いと活動量の度合いという2本の軸から考えるのがオススメです。たとえば、人との関わりも活動量も多いものが好きなら、みんなで楽しめるテニスサークルやチアダンスといったもので発散。
人との関わりが多くて活動量が少ないものが好きならリモート飲み会や手芸サークル、逆に人とあまり会わずにたくさん動きたいならサイクリングや水泳、両者とも少ない方がいいなら音楽や舞台、映画鑑賞など、自分がどこに属するかを判断し、その中で3〜4個の好きなことを見つけてこまめに発散していきましょう」
どうしても眠い! そんなときの対処法は?
「そんなときにオススメの対処法が、昼寝。夜グッスリ寝ても、ポストランチディップの時間帯(お昼ごはんの後から15時まで)はどの人でも眠気が強まることがわかっています。そこでいったん15〜20分、座った姿勢のままで眠ると健康効果が高く、同時に脳のパフォーマンスも高くなるとのこと。実は昼寝こそ、眠気の最大の予防法なんです。実際に眠らなくても、目から入る情報をシャットするだけで脳をクールダウンできますよ。スキマ時間の睡眠という仕事帰りの電車の中で寝る方もいますが夜の睡眠の妨げになるため控えましょう。
また、カフェインを組み合わせると、寝起きのボーッとする時間を減らせることがわかっているので、カフェインを摂ってから20分ほど昼寝するのがオススメ。横になると本格的に寝入ってしまうのでご注意ください(笑)」
意外な盲点! 部屋の環境が眠気の原因となることも
友野さんによると、睡眠不足や血糖値など、個人の問題ではなく外的要因で眠気が訪れることも少なくないそうです。
「たとえば、夏の高温多湿の環境は睡眠を非常に妨げます。また、空気中に花粉などのアレルギー物質が浮遊していると鼻づまりを起こし眠りにくくなるなど、環境も睡眠の質に関わってくるもの。睡眠環境を整えるなら、自分の空間をつくる3つの要素を見直すこと。3つの要素とは、寝具、温度・湿度、空気です。
寝具は睡眠五感に添ったものを使い、温度は16〜28℃の間で季節ごとに調整を。28℃を越えると寝苦しくなることがわかっているので、冷暖房は上手に使いましょう。このとき、サ—キュレーターや扇風機で空気を循環させると効率良く温度管理ができます。湿度は50~55%前後がオススメです。また、空気を整えるには換気も有効。ただし、花粉やPM2.5など入れたくないものが入ってくる可能性もあるので、空気清浄機などのアイテムを利用しましょう」
[睡眠についての監修/友野 なお(ともの なお)]
株式会社 SEA Trinity 代表取締役・睡眠コンサルタント。睡眠を改善したことで15kgのダイエットと体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。 行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、健康・美容市場における企業の商品開発やプロモーションのコンサルテーションを行う。
「ナノイー X」で菌・花粉やハウスダスト、ニオイなどの抑制を!
菌・花粉やハウスダスト、室内のニオイなどを抑制してくれるPanasonic独自の技術「ナノイー X」。その特徴は、「ナノイー X」に含まれる「OHラジカル」が空気中の「菌」※1や「アレル物質」※2「ニオイの原因物質」※3など、対象物質の水素を抜き取り、働きを抑制すること。このOHラジカルの数が多ければ多いほど効果が期待でき、「ナノイー X」は毎秒4兆8000億個以上のOHラジカルを発生させています。
また放出される粒子は「ナノイー X」の名前通りナノサイズ(約5~20 nm)の小さなイオン。だから繊維の奥までしっかりと浸透し、繊維の奥のアレル物質(花粉・ダニの糞・死がいなど)やニオイの原因物質を取り囲んで抑制することができます。
1.「ナノイー」が的確に菌やアレル物質・ニオイの原因物質に届き
2. OHラジカルがタンパク質を変性
3. 抑制
空気清浄機や空気清浄機能付のエアコンにも搭載されていますので、室内の空気環境作りに導入するのもおススメです。
※1 約6畳の試験室内での4時間後の効果であり、実使用空間での効果ではありません。
※2 約6畳の試験室内での8時間後(花粉)、24時間後(ダニのフン・死がい)の効果であり、実使用空間での効果ではありません。
※3 約6畳の試験室内での12分後(タバコ臭)、1時間後(ペット臭)、30分後(生乾き臭)、2時間後(焼肉臭)、1時間後(汗臭 )効果であり、実使用空間での効果ではありません。脱臭効果は、周囲環境(温度・湿度)、運転時間、臭気、繊維の種類によって異なります。常時発生し続けるニオイ成分(建材臭・ペット臭など)は、すべて除去できるわけではありません。また、タバコに含まれる有害物質(一酸化炭素等)は除去できません。
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