気になる室内の湿気対策、除湿の方法を知って、より快適な室内環境に!

快適な室内環境にするための湿気対策と除湿の方法についての監修:田中 真紀子(たなか まきこ)
ライター:UP LIFE編集部
2022年8月26日
空気

蒸し暑い日本の夏。気温の高さはもちろん、湿度の高さも気になりますよね。湿度が高いと、不快なばかりではなく、人の体や住居にもさまざまな影響が出てきます。でも、実は、家の中の湿度が高くなるのは、夏だけに限りません。いつも健康で快適に暮らすための湿気対策、効果的な除湿方法のポイントを、家電エキスパートの田中真紀子さんに聞きました。

梅雨時期だけじゃない? 部屋の湿度が気になる時期

写真:温度湿度計,除湿剤

湿度が高い5~9月は湿気対策に特に注意

世界の多くの国と比べても、1年を通じて湿度が高い日本。湿度は%(パーセント)で表されますが、そもそも何%ぐらいになると「湿度が高い」といわれるのでしょうか。

「一般的に、人が快適に過ごせる湿度が40~60%ぐらいだといわれています。ですから、湿度が70%以上なら、間違いなく『湿度が高い』といえるでしょう。2021年の東京を例にとると、月の平均湿度が70%以上だったのは5~9月です。この時期は、湿度対策によりいっそう注意を払う必要があります」

秋雨、台風、結露……秋~冬も湿気対策は必要

もっとも、それ以外の時期についても油断はできません。

「10月以降も、年によっては秋雨や台風の影響があるでしょう。また、冬は日本海側では晴れる日が少なく、雪が降る地域もあります。それに加えて、地域を問わず問題となるのが結露です。窓や玄関付近など、室内の暖かい空気が外気に冷やされて滞留する場所では、特に結露が生じやすく、湿度が高くなります」

日本で暮らしている限り、湿度対策は1年中欠かせないということですね。

部屋干しが増える、梅雨・秋雨時期の湿気対策

写真:サーキュレーターを使用している部屋

基本は換気+サーキュレーター、◎は除湿機

5月以降、さらに梅雨が近づくにつれ、湿度はどんどん上がり始めます。そして、本格的に梅雨の時期に突入すれば、雨の日が続くために洗濯物を屋内に干す機会が増え、部屋の湿度は急上昇します。これは、やはり雨の日が多くなる秋雨の時期も同様です。

湿度が高い環境では、不快さを感じるばかりではなく、カビやダニが発生するリスクも高まります。さらに、住まいそのものにも、さまざまなダメージを与えかねません。こうしたことを防ぐうえでも、室内干しが多くなる時期の湿度対策は重要です。どのような対策が効果的なのでしょうか?

「最近は、高気密住宅も多いですから、まずは定期的に窓を開けて、換気しましょう。また、換気や室内干しの乾燥には、サーキュレーターを使うのもおすすめです。ただし、窓を閉めてサーキュレーターを使っても、洗濯物を乾かしたり、部屋の隅などに湿気がたまるのを防いだりはできますが、湿気を室内から取り除けるわけではありません。湿気を取り除くには、エアコンの除湿機能などがおすすめです」

湿気をためない、取り除くための手軽な対策

ほかにも、気軽にできる湿気対策があります。風の流れを妨げない家具の配置にしたり、足付き家具を選んだりするなど、室内の通気性を高めるのも、その1つ。

「クローゼットや押し入れを閉めっぱなしにしないことも大切ですね。エアコンの除湿機能を使うときには、とびらを開けておいたり、風を当てたりして、湿気がこもらないようにするとよいでしょう。交換の手間が気にならなければ、日当たりのよくない北東の部屋や、水回りなど、湿気が溜まりやすい場所に除湿剤を置いておくのも有効です」

夏の湿気対策、冬の湿気対策

写真:水回りを掃除する女性のイメージ

高温多湿な夏は、カビの繁殖や熱中症に注意

日本で特に湿度が高いのは5~9月。つまり、日本の夏は、暑いだけでなく、湿度も高い、高温多湿の時期といえます。高温多湿の環境では、カビが繁殖しやすく、さらにそれを食料とするダニなどの害虫の発生につながるのが気がかりなところ。また、カビの胞子やダニのふんはアレルギーの原因物質にもなるので、健康被害にあう可能性もあります。

「夏の湿度対策は梅雨同様、まずは窓を開けて換気をし、室内から湿気を追い出しましょう。その際に、サーキュレーターを使うと、効率的に換気することができます。もちろん、エアコンの除湿モードは積極的に活用してほしいですね」

夏の湿度対策には、もう1つ、重要な役割があります。

「高温多湿の環境では、汗が発散されにくくなるため、熱中症のリスクが高まります。人間の感覚は、意外と当てにならないもの。湿度が高いことに気づかないまま、エアコンを使わずに過ごしていて、熱中症になるケースも少なくありません。自分の感覚だけに頼ることなく、温湿度計を用意したり、熱中症警戒アラートをチェックしたりするなどして、湿度が高いときには早めにエアコンの除湿モードを利用することをおすすめします」

結露の原因は、大きな気温差と高い湿度

冬の湿気対策に関して、特に注意を払わなければならないのが結露です。結露の原因は、大きく2つ。1つは暖房により家の中と外の温度差が大きくなること、もう1つが過加湿状態になりやすいことです。

「空気中に含まれる水蒸気の量(飽和水蒸気量)は、温度が高いほど多く、温度が低いほど少なくなります。冬には、窓を閉め切ったり、暖房をつけたりして、室内を暖かく保とうとするのが一般的です。そこで、室内の暖かい空気が、外気で冷たくなった窓や玄関などに触れることによって、空気中の水蒸気が結露を起こすのです。

イラスト:室温25℃・湿度50%の空気が室温5℃に冷やされたら…!約4.5/㎥の結露が発生

結露の原因となる気温差は、外気の近くだけで生じるとは限りません。たとえば、冬の夜間、暖房を切れば、室温は下がります。すると、それまでの室温との差から、空気中に含まれなくなった水蒸気が結露となる可能性があるのです。また、空気には、暖かいところから冷たいところへと流れていく性質があります。そのため、家の中で大きな気温差があれば、水蒸気を多く含む暖かい空気が冷たい場所に流れ込み、そこで結露が発生します。

さらに、冬は窓などを閉め切っていることが多く、室内の湿度が高くなりがちなのも問題です。化石燃料を使用する暖房器具や洗濯物の室内干し、浴室やキッチンなどの水回りからは、大量の水蒸気が発生します。それが家の中にこもって、室内の湿度を高くし、結露の原因となります」

結露を防ぐには、水蒸気をためず、暖房は控えめに

冬の結露対策は、どんなことに気をつければよいのでしょう?

「室内の湿度が高くなりすぎないよう、冬であっても、1日数回は定期的な換気が必要です。また、浴室やキッチンなどの水回りに関しては、利用中・利用後は必ず換気扇を回し、残った水分はしっかり拭き取るようにしてください。それから、外気温と室温、部屋ごとの室温の気温差を大きくしないためにも、暖房の設定温度は控えめにすることを心がけましょう」

部屋の場所別湿度対策

画像:窓が結露しているイメージ

特に注意したいマンションの1階などでは、除湿機器の活用がおすすめ

家の中の場所によって、湿度対策で注意するべきポイントも変わってきます。それぞれの場所での効果的な除湿方法は?

「湿気対策の基本は、換気と通気。そう考えると、家の中央に位置して、窓のない部屋などは、湿度対策に特に注意を払う必要があります。逆に、外的環境の影響により特に湿度が高くなりがちなのが、マンション、団地などの1階です。地面に近い分、雨や地下からの湿気を取り込みやすくなります。防犯上、窓を開けての換気もしづらいため、湿気を追い出しにくいのも難点です。こうした環境では、エアコンの除湿モードや除湿剤なども積極的に活用していきましょう」

■押入れ、収納、靴箱

押し入れ・クローゼット、収納、靴箱は、湿気がたまりやすい場所の1つです。定期的にとびらを開けて、換気するようにしましょう。風通しが悪い場合には、サーキュレーターなどで空気を循環させるのも効果があります。除湿剤の利用はもちろん、すのこを敷く、空いたスペースに丸めた新聞を置くなどするのも、湿気対策になります。

■キッチン、洗面所、浴室などの水回り

水回りの湿気対策は、換気に加えて、水気を残さないことが大切です。使用中・使用後は換気扇を回し、使い終わったら、周囲に残った水分はしっかり拭き取りましょう。濡れているもの、湿気を含んでいるものを置きっぱなしにしないことも、お忘れなく。

■玄関

玄関の除湿も、やはり基本は換気になります。それに加えて、使用後に乾かしていない傘、植物など、水気のあるものを長時間置かないこともポイントです。それでも、湿気が気になるなら、除湿剤、除湿効果のある炭を設置するなどの対策を。北東向きであるなど、特に湿気がこもりやすい場合には、サーキュレーターの利用も検討しましょう。

寝室の温度と湿気対策

「湿度対策が意外とおろそかになりがちな部屋が寝室です。皆さん、ムシムシと暑い夏はエアコンの除湿機能などを利用しているかもしれませんが、冬はどうでしょう? 就寝前に暖房を切ると、室温が下がり、湿度が急上昇します。朝起きたら、部屋の隅のほうで結露が発生していた……、なんてことも。寝室の理想的な湿度は40~60%です。換気だけで快適な湿度を保てないときには、季節を問わず、サーキュレーターで湿気だまりを解消したり、狭いところには除湿剤を用いるなどがおすすめです」

エアコンを利用して賢く除湿するのもおすすめ

換気や通気だけでは除湿しきれないときに頼りになるのが、エアコンの除湿モードです。特に暖房と冷房、除湿まできるエアコンは、まさに一石三鳥です。パナソニックのエアコン「エオリア」の除湿モードについて、田中さんに聞きました。

「エオリアには、湿度のみを下げる『快適除湿モード』、温度と湿度を下げる『冷房除湿モード』、洗濯物を効率よく乾かす『衣類乾燥モード』の3つの除湿モードがあります。気温によって、肌寒いときには快適除湿モード、少々暑く感じるときには冷房除湿モードと使い分けながら除湿することができるのは、うれしいですね。
さらに、「夏、エアコンをつけると冷えすぎてしまう」というお悩みに応える機能も搭載されています。湿気を取り除いて乾いた状態の外気をお部屋に送ることで、室温を下げすぎずに除湿できる『ドライ給気制御』、熱交換器の一部だけを使用することでごく弱い除湿運転ができる『パーシャル制御』を採用しているので、お部屋を冷やしすぎず、除湿中も快適に過ごせます」

画像:エオリア

衣類乾燥モードには、どんな機能があるのでしょう?

「室内湿度に応じた風量で、除湿しながら衣類を乾燥させます。衣類を乾燥させることに特化した機能で、温度、湿度、風量の調整はできません。お出かけの際など、人がいない部屋で室内干しを乾かすときに使うのがおすすめです。エオリアにはナノイーXが搭載されているため、室内干しにありがちな生乾き臭や、菌・ウイルス、花粉、カビなどの有害物質も抑制してくれます。もちろん、ほかのモードや冷暖房をしながらでもナノイーXは放出されているので、室内は常に快適な空気環境が保たれます」

写真:除湿機を持ち運びするイメージ

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快適な室内環境にするための湿気対策と除湿の方法についての監修

田中 真紀子(たなか まきこ)

田中 真紀子(たなか まきこ)

白物家電、美容家電の専門家兼ライターとして活躍。日々発売される新製品をチェックし、製品の紹介記事やレビュー記事を雑誌、web、新聞などで紹介している。日常的にも話題の新製品を使っており、ライフスタイルに合わせた選び方や、上手な採り入れ方の提案も得意。テレビ出演も多数。総合情報サイト『All About』白物・美容家電ガイド。

2022年8月26日 空気

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