血流企画 第3回「手先・足先の冷えは血流の悪さが原因?正しい知識を身に付けよう」
監修:石原 新菜(いしはら にいな)
ライター:UP LIFE編集部
2020年9月25日
健康
病気ではないのに、普段からなんだか調子がイマイチという方、もしかしたら毛細血管の老化からくる不調かもしれません。今回は、血流と健康の関係に詳しいイシハラクリニック副院長の石原 新菜先生に、体の冷えと不調のつながりについて話を伺いました。
あなたの体、冷えていませんか?
「手足が一年中冷たい」「冷房が苦手」など、夏でも体の冷えに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。特に女性は冷えに悩んでいる人が多いですが「冷えは万病の元」と呼ばれるように、冷えが続くと、体にはさまざまな不調が起こります。冷えを判断するのによく平熱が用いられますが、平熱が高いからといって、体が冷えていないわけでもありません。あなたの体が冷えていないか、チェックしてみましょう。
あなたの冷え度をチェック!
当てはまるものにチェックしてみましょう。
- おなかが冷たい
- 体温が36.5度未満
- 赤ら顔
- 目の下にクマができている
- 頭痛がある
- 鼻の頭が赤い
- 歯ぐきが黒ずんでいる
- 手足がいつも冷たい
- 手足がほてっている
- 青あざができやすい
- 汗をかきやすい
- 痔になりやすい
【4個以下の人は…】
冷え度50%。たまに感じる不調は、冷えが原因かもしれません。筋肉は体をあたためる自家発電装置でもあります。運動を生活の中に取り入れるなど、体をあたためる習慣をもうひとつだけ増やしてみましょう。
【5~7個の人は…】
冷え度70%。だいぶ体が冷えています。このままだと病気にかかりやすくなってしまいます。ストレッチやウォーキングなどの運動や、お風呂に毎日つかるなど、体をあたためる習慣を少しずつ増やしましょう。
【8個以上の人は…】
冷え度100%。完全に体が冷え切っています。冷たい飲み物を控え、体をあたためる食品を選ぶ、毎日シャワーだけで済まさずに湯船につかる、ストレッチやウォーキング、筋トレなどの運動習慣を身につけるなど、生活全体を見直す必要があります。
冷えている体は血流も悪い
血液は、体の中に張り巡らされた血管の中を常に循環しながら、全身の細胞に酸素や栄養を届けたり、老廃物を回収したりと、さまざまな役割を担っています。しかし、血流がなんらかの原因で悪くなると、酸素や栄養が十分に届かなくなり、また老廃物も回収されなくなります。するとひとつひとつの細胞の働きも弱くなるため、全身に少しずつさまざまな不調が訪れるのです。
さらに、細胞の働きが弱くなると、熱を産み出す力も弱くなるため、体温も下がります。体温が低くなると、体はこれ以上体温を下げないように血管を収縮させます。血管が収縮し、細くなった状態では血流も悪くなりますから、さらに冷えを起こします。こうして冷えと血流の状態は悪いスパイラルに陥って、体に冷えが根付いてしまい、不調がどんどん出始めてしまうのです。
冷えが続くとこんな不調も
体重の約40%を占める筋肉を動かすと、熱が作られて体温が上がります。しかし女性は、男性に比べて筋肉が少ないために、熱が作られにくく、体も冷えやすいという特徴があります。また、血液を心臓に戻すポンプ機能も筋肉が担っているために、筋肉が少ないと、血流も悪くなりがち。人には、病気にならないよう外敵から身を守る免疫システムが存在していますが、そのほとんどは血液の中の白血球が担っています。体温が高いほどそのはたらきは活発になりますが、体が冷えてしまうと白血球の働きも鈍くなってしまいます。
体温を上げれば基礎代謝がアップ!
ちなみに、体温が1度上がると、基礎代謝は13%アップ※するといわれています。
体をあたためておけば、病気にも負けず、キレイな体を維持することができますが、冷えたままの状態だと、やせにくくなり、肌荒れやむくみ、便秘や月経痛などの不調に加え、糖尿病や動脈硬化といったさまざまな病気へとつながっていく可能性も。「冷えは万病の元」といいますが、まさにその通りなのです。
まとめ
ストレスフルな忙しい毎日を過ごし、薄着のオシャレや体を締め付ける補正下着にストッキング、甘いスイーツやフルーツ、夏の暑い時期には冷たいビールやドリンクも……。現代人の生活は冷えやすいことばかりです。
病院へ行くほどではないちょっとした不調は、冷えが原因となって起こっている可能性があります。また、体が冷えていると基礎代謝も下がってしまうので、食事を減らしても太りやすくなってしまいます。私自身も大学生の頃、勉強に忙しかったため、お風呂に浸かることもせず、コーヒーやビールもがぶ飲みという不規則な生活で体重は増え、肌荒れにも悩みました。その後、研修医時代のハードな生活で生理がストップしてしまう事態に……。ですが、体をあたためる生活にシフトしたところ、生理も戻り、体重は10キロやせて、現在は不調もなく、元気に過ごしています。次回からは具体的な体をあたためる方法をご紹介していきます。
※ 厚生労働省「特定保健指導の実践的指導実施者研修教材」
食生活改善指導担当者研修「食生活改善指導担当者テキスト」(5)運動の基礎科学P188 参照
監修
石原 新菜(いしはら にいな)
イシハラクリニック副院長。日本内科学会会員。日本東洋医学学会会員。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたる。クリニックでの診療の傍ら、テレビなどの出演や、執筆活動、講演なども行う。著書に『オトナ女子の不調がみるみる改善する本』(徳間書店)など多数。
2020年9月25日 健康
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