血流企画 第5回「冷え対策は食べ物から!体温を上げる食べ物で血流改善を」

監修:石原 新菜(いしはら にいな)
ライター:UP LIFE編集部
2020年11月20日
健康

毛細血管の老化からくるゴースト血管が、体の冷えや不調を引き起こすことをこれまでの回で解説してきました。今回は、血流と健康の関係に詳しいイシハラクリニック副院長の石原 新菜先生に、血流改善のためにどのような食べ物をどのようにして摂ればいいのいか、冷え対策のポイントをお伺いしました。

「1日3食」「水は1日2リットル」…実は血流を悪くしている健康習慣

「1日3食」「水は1日2リットル」…実は血流を悪くしている健康習慣

食事は、カラダへの影響が大きいのはみなさんもご存知の通りです。カラダにいいと思って続けていた食事習慣が、実は血流を悪くさせる原因になっていることが少なくありません。そのひとつが「1日3食」です。子どもの頃は「1日3食しっかり食べましょう」と言われてきたので、今でも食事は1日3食摂ることが健康にいいと、無理をして食べている人もいるのではないでしょうか。

栄養を摂りすぎると、血液がドロドロに?

現代は栄養過多の時代で、多くの人が高タンパク高脂質なものを好む傾向があります。食べ過ぎると、代謝しきれない余剰物が体内に溜まり、血液もドロドロに。また、食事をすると血液は、消化吸収のために胃腸に集中します。すると末端の血管まで血液も届きにくくなります。
朝はデトックス効果の高いにんじんりんごジュースなどの飲み物だけにする朝だけプチ断食がおすすめです。プチ断食をすると、胃腸が休まり、便秘や肌荒れ、冷えも改善できます。

※ にんじんりんごジュースのレシピ
にんじん2本、りんご1個を適当な大きさに切ってジューサーにかけるだけ。ビタミンやミネラルなどが効率よく摂れる。

水分の摂りすぎは悪影響?

また、水分の摂りすぎは東洋医学でいうところの「水毒」を招く引き金に。水毒とは、水が体内に必要以上に溜まって、冷えやむくみ、めまいなどの悪影響を及ぼす状態のことをいいます。水が直接脂肪になることはありませんが、水毒の状態になるとカラダがむくんで見た目にも影響が出てきます。常温のお水を、のどがかわいたときに少しずつ飲む。これだけでむくみもすっきり、冷えも改善します。

冷えが気になるときは「冬が旬」の「色の濃い」「北で採れる」食材を

冷えが気になるときは「冬が旬」の「色の濃い」「北で採れる」食材を

漢方医学では「陰陽論」という考え方があります。すべてのものには陰と陽があるという考え方です。冷え性の人は陰性体質、カラダのあたたかい人は陽性体質とされ、食べ物にも同じようにカラダを冷やす陰性のものと、温める陽性のものとにわけることができます。そのため、冷えが気になる人や、冬の寒い日で冷えが気になるようなときは、陽性の食材を積極的に摂るようにしましょう。

カラダの冷えには、色の濃いもの、北の地方で採れる食べ物を

その見分け方は簡単です。赤や黒、だいだい色のような色の濃いもので、冬が旬、北の地方で採れるものが陽性の食材です。野菜ならごぼうやにんじん、かぼちゃ、果物であればりんごやぶどう、さくらんぼ、プルーンなどが当てはまります。赤身の牛肉やまぐろ、鮭、納豆や黒ごま、塩やみそ、しょうゆ、黒砂糖、赤ワイン、黒ビール、紅茶やココアなどがカラダをあたためてくれる食材です。

夏野菜や南国のフルーツはカラダを冷やす

一方、きゅうりやトマトなどの夏野菜や、パイナップル、マンゴーなど南国で採れるようなフルーツはカラダを冷やす陰性の食材です。夏でも冷えが気になるようなときは、スイカに塩をプラスする、きゅうりにはお味噌をつけて食べるなど陽性の食材と一緒に食べるとよいでしょう。

体を冷やす「陰性食品」と体を温める「陽性食品」早見表

冷やす陰性食品 炭水化物 うどん、白米、白パン 野菜 葉野菜、なす、きゅうり、大根など 果物 バナナ、パイナップル、グレープフルーツなど たんぱく質 白身の魚肉、豆乳、とうふなど 酒・飲み物 白ワイン、ビール、緑茶、コーヒー 調味料 酢、マヨネーズ、白砂糖 あたためる陽性食品 炭水化物 そば、玄米、黒パン 野菜 にんじん、ごぼうなどの根菜類、かぼちゃ 果物 りんご、さくらんぼ、ぶどうなど たんぱく質 赤身の魚肉、魚介類、納豆、黒ごま 酒・飲み物 赤ワイン、黒ビール、梅酒など 調味料 塩、みそ、しょうゆなど

スーパー食材「しょうが」を飲み物に加えて冷え対策を

スーパー食材「しょうが」を飲み物に加えて冷え対策を

しょうがは、カラダをあたためる食材として知られていますが、古くから漢方薬にも使われているほどその健康効果は高い食材です。しょうがは、血流をよくして代謝を高め、冷え性や高血圧などさまざまな体調不良の改善に効果を発揮してくれます。また、しょうがを加熱や乾燥させると、その効果が高まることがわかってきました。

加熱したしょうがで、カラダを温める

しょうがに含まれる辛味の成分であるジンゲロールは、加熱や乾燥することでショウガオールという成分に変化します。カラダをあたためる効果はショウガオールのほうが高いので、冷え切ったカラダをあたためるには加熱したものを摂るようにするのがおすすめです。料理に加えるだけでなく、紅茶などあたたかい飲み物にしょうがを加えてもOK。ただし、100℃以上でショウガオールは消えてしまうので、料理に使うときは加熱しすぎないように注意してください。

朝は生のしょうが汁を加えたジュースがオススメ

とはいえ、生のしょうがにもカラダをあたためたり、炎症を抑えたり、活性酸素を取り除く効果も。朝は、にんじんりんごジュースに生のしょうがのすりおろしをひとかけ、仕事中は紅茶にすりおろししょうがを入れて、しょうが紅茶に。お寿司屋さんではガリをたくさん食べるようにしたり、家では料理のアクセントに使ってしょうがを取り入れてみましょう。
1日に親指2個分摂ると、血栓予防にもなります。毎日の食生活に「しょうが」を取り入れ、血の巡りのいい健康的なカラダを作りましょう。

まとめ

夏に比べて汗をかく機会が少ない冬は、カラダの中の老廃物を排せつできず、血液もドロドロになりやすい季節です。特にカラダが冷えていると、排せつする臓器の働きも落ちてしまい、代謝も悪くなりがちです。満腹になるまで食べず、腹6~8分目を目安に、しょうがなどカラダをあたためる食材を積極的に、さらに次回紹介していくエクササイズやおふろで少しでも汗をかくようにしていきましょう。

監修

写真:石原 新菜(いしはら にいな)さん

石原 新菜(いしはら にいな)

イシハラクリニック副院長。日本内科学会会員。日本東洋医学学会会員。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたる。クリニックでの診療の傍ら、テレビなどの出演や、執筆活動、講演なども行う。著書に『オトナ女子の不調がみるみる改善する本』(徳間書店)など多数。

2020年11月20日 健康

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