からだの不調は血圧値からわかる?20代から知っておきたい正しい血圧の測り方

ライター:UP LIFE編集部
2021年3月23日
健康

血圧は自分で気付きにくいからだの信号を、いち早く現すサインのひとつ。新しい生活様式で、家にいることが多くなっている人も多いでしょう。家にいながら、手軽な体調管理のひとつとして、血圧を測ってみませんか?
ここでは、血圧値からわかることと、家庭でふだんから測る「家庭血圧」のメリットについて解説します。

「まだ若いから」はNo!血圧は大事なサイン!

そもそも血圧とは?

血圧とは、心臓が全身に血液をおくるとき、押しだした血流が血管(動脈)の内側を押す力(圧力)のこと。これは、押しだされる血液の量(心拍出量)や、血管の流れにくさ(血管抵抗)などで決まります。そのほか、季節や温度、ホルモンバランスやストレスなどの要因でも変動します。さらに、肥満や睡眠不足といった生活習慣の変化でも大きく血圧値は変動するため、年齢によらず注意が必要です。
日頃から、血圧を測ることの意味やメリットについて知ることで、ちょっとした変化に負けない健康管理の方法を身につけましょう。

家庭血圧で本来の血圧値を知ろう

「正常な血圧」とは、115/75mmHg未満をさし、135/85mmHg以上だと高血圧と診断されます(日本高血圧学会 2019年版 高血圧治療ガイドラインより)。ただしこれは、家庭で測る血圧「家庭血圧」の値です。対して、いわゆる医療機関で測る血圧を「診察室血圧」とよびます。リラックスした環境で測る家庭血圧に、上(心臓が収縮したときの血圧)と下(心臓が拡張したときの血圧)の値へ、それぞれ5ずつを足した値が、診察室血圧。この診察室血圧でいうと、140/90mmHg以上で高血圧と診断されます。
注意したいのは、上の値と下の値の、どちらか一方だけが高い場合も、高血圧にあてはまるということ。
一方、低血圧の基準値について明確なものはなく、おおよそ上の値が100未満の場合は、低血圧とされることが多いようです。
それでは、血圧が高いもしくは低い状態のとき、からだにはどのような不調が出るのでしょうか?

血圧値からわかること:からだの異常をいち早く確認!

「だる重い」も血圧のせい?

「なんとなく体調がわるい」「だる重い」……そういった不調は、ふだんから血圧測定を行い、血圧値を把握しておくことで、予測できることもあります。
いつもとちがう血圧値がでたときには、次のような対策や心構えをしておきましょう。

【いつもより血圧値が高いときは、頭痛や肩こりなど身近な不調が多い】
血圧をあげる原因となるような、塩分の多い食事や睡眠不足、体重の増加、ストレスなどがないか、ふり返ってみましょう。症状としては、頭痛や肩こりなど身近でわずかなものも多く、血圧が原因だと気付きにくいひともいます。
じつは、高血圧でもっとも怖いのが、その症状が現れにくいということ。突然、脳梗塞や心筋梗塞をおこす危険もあるため、高い値でつづくときは早めに受診しましょう。

【いつもより血圧値が低いときは、激しい活動は控える】
疲れやすさ、だるさ、めまい、食欲不振、息切れなどに注意し、なれない活動や激しい運動はひかえましょう。
あらかじめ気にしておくと、あれ?と思ったときに、いち早く対処することができます。
また、注意して活動することで、けがなどのリスクを最小限におさえられることも。
低血圧の場合、突然、失神するなどの危険もあり、ふだんからの血圧管理がより重要です。
もし、ホルモン異常などの病気がかくれている場合には、値を把握しておくことが、早期発見やスムーズな治療にもつながります。

家庭での血圧測定が大事な理由

家庭で測る家庭血圧のほうが緊張せずにすむため、診察時に測る診察室血圧よりも正確なときがあります。たとえば、次のようなふたつのタイプでは、とくに家庭血圧の測定が重要です。

【白衣高血圧】
医師や看護師といった白衣を着ているひとが測る場合や環境では、高い値がでることです。これは、白衣をみると緊張して自律神経が乱れることが主な原因といわれています。この場合、家庭での血圧が正常であれば治療は必要ないことがほとんどです。
ただし、将来的に高血圧になる可能性が高いという報告もあるため、日常的に測るようにしましょう。

【仮面高血圧】
自宅などで測るときは高いのに、医療機関のなかで測るときに低くでるひとをいいます。この理由は、まだ詳しくはわかっていません。ただし、脳卒中や心筋梗塞の発症率は、高血圧のひととと同じくらいという報告もあり、治療が必要です。

意外と知らない!家庭血圧のメリットと正しい血圧の測り方

家庭血圧の2つのメリット

高血圧で治療中のひとでは、その7割以上が血圧計を所有(日本内科学会雑誌第96巻第1号P86「高血圧:診断と治療の進歩」より)しているといいます。また、高血圧でないひとをふくめた調査では、2人にひとりが所有しているという結果に。(2020年6月実施、10~70代を対象としたインターネット調査より。マイボイスコム(株)調べ)
では、家庭で測ると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

【メリット①:より正確に測定できる】
診察室で測るよりも、リラックスした状態で測ることのできる家庭血圧は、より、そのときの体調に近い正確な数値を得ることができます。

【メリット②:いつでも結果を確認できる】
血圧は、ちょっと生活習慣をかえただけでも変えることができます。たとえば、体重を減らす、食事の塩分をひかえるといったことで、明らかに血圧がさがるとの報告もあります。
しかし、ダイエットも慣れた味付けを変えるのも、どちらも根気がいるもの。もし、頑張った成果が、自分で好きなときに確認できたら励みになりますよね。
家庭で手軽に測れる血圧は、自分の頑張りを値として表すことのできる継続の鍵ともいえるでしょう。

正しい血圧の測り方:4つのポイント

正しく測るポイントは、温度・姿勢・安静・タイミングの4つです。

【①温度:大体18℃くらいが目安】
寒い環境では、血管が体温をにがさないように収縮しているため、値は高く出ることも。暑すぎず寒すぎず、大体18℃くらいが目安。また、カフ(圧迫帯)が冷たく感じる場合は、しめつけのない薄手のものを1枚、着て測ってもかまいません。

【②姿勢:椅子にすわり、足は組まずに座る】
朝、起きたばかりでお布団から出たくないときもありますよね。でも、横になった姿勢では正しい値が測れません。机などに置いた血圧計で、背もたれのある椅子にすわり、足は組まずに座りましょう。また、カフの位置は、心臓と同じ高さになるようにします。

【③安静:ゆっくりと深呼吸し、安静にしてから測る】
からだを固定し、動かない状態をたもつほか、気持ちのリラックスも大切です。イライラしていたり緊張していたり、誰かと話しながら測ると、値が乱れやすくなります。測る前にゆっくりと深呼吸し、1~2分間ほど安静にしてから測りましょう。

【④タイミング:朝おきて1時間以内に測る】
基本的には、朝おきて1時間以内に、トイレをすませてから食事をとる前に測ります。また、測定回数は、1日2回がベスト。2回目、夜に測るときは、入浴や運動したすぐあとは避けましょう。加えて、飲酒や喫煙直後も値が正しくでないため、さけたいタイミングです。

一度に何回、血圧測定は必要?

「1回目と2回目で値がちがう」という経験はありませんか?血圧は、ほんの少しの緊張や環境の変化でも変わります。でも、その変化は、無意識におこっているひとも多く、値が高くでて、何度か測りなおすひとも少なくありません。
そのようなときは、より安静な状態をととのえて、あらためて測った2回目を記録します。心配なひとは2回とも記録しておきましょう。
基本的には、一度の測定で何回、測るといった決まりはありません。もし、数回、測るときには4~5分間くらいあけて安静にし、呼吸もととのえてから測るのがコツです。

家庭での血圧測定は、手軽&信頼できる健康管理ツール

血圧記録表

生活リズムのひとつとして慣れると、血圧測定は体重計にのるのと同じくらい手軽な作業。とくに家庭血圧は、日々、影響をうけるからだの変化をみることができる信頼性のあるツールです。さらに、自分が頑張ったことを数値として確認するのにも活かせる、便利なツールでもあります。 若いうちから測る習慣をつけて、環境変化にも柔軟に対応できる健康管理に役立てていきましょう。

2021年3月23日 健康

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