胃腸症状企画 第4回「水溶性食物繊維が腸内環境を整える!自分の身体に合う食習慣とは?〈その2〉」

監修:大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)
ライター:UP LIFE編集部
2021年4月28日 健康

前回の記事では、腸内環境を整えるために「食物繊維」に注目することが大切だとお話しました。
中でも水溶性食物繊維は、腸内環境の要といってもよいでしょう。
今回はそんな水溶性食物繊維を生かした食習慣について、さらに踏み込みます。

腸内環境がおよぼす身体への影響は、免疫機能や生活習慣病、アレルギー、そして太りやすさにいたるまで、実に多岐にわたります。

腸内環境を整え、全身の健康へ!
引き続き、「おおたけ消化器内科クリニック」の院長 大竹 真一郎先生にお聞きしました。

お通じがあるのに便秘!?簡単「便秘」セルフチェック!

突然ですが、皆さんのお通じは、最近どのような感じでしょうか?

すっきり出ていますか?
残便感はありませんか?
慢性的な硬さや、ゆるさはありませんか?

実はおなかの本当の調子を一般の方が正しく把握するのは難しいと、大竹先生は言います。

「例えば、胃痛を訴える患者さんがいたとします。
私たちは患者さんが具体的な臓器の痛みを訴えたとしても、文字通り胃が悪いとは考えません。

目や口が痛いという訴えのように、具体的に痛む場所を指すことができる場合は別ですが、臓器の様子は外から見えませんから。

胃が痛いという訴えをもとに、本当はどこが痛んでいるのか?
それはどのような理由からくるものなのか?
幅広い視点から推測していくのです」

たしかに、怪我などでない限り、痛む場所=悪い場所という構図は、少々、単純かもしれません。

胃痛や腹痛など、おなかの調子が悪い原因は「便秘」かも!?

極端な例では、おなかがゆるく下痢ばかりしている方の中には慢性的な便秘だという例もあるのだといいます。

「女性が訴える下痢の中には、実は便秘であるということが少なくありません。

2017年の慢性便秘症の診療ガイドラインでは、便秘の定義を“便がしっかり、すっきり出ない状態”としています。

つまり、下痢で便が出ている状態でも、おなかがすっきりしていなかったら便秘といえるのです」と大竹先生。

ここで、一度、皆さんのお通じもチェックしてみましょう!
以下のチェックリストは、お腹の症状の代表格である“便秘”の確認項目です。
1つでもチェックが入る場合は、あなたも便秘かもしれません。

【便秘セルフチェックリスト】

  • 3日以上排便がない
  • 残便感がある
  • お腹が痛かったり、張っていたり、違和感がある
  • 背中や腰が痛い
  • 吐き気がある、あるいは嘔吐する
  • 胃痛があるが、胃カメラでは異常がない。あるいは、胃薬が効かない

お通じを良くし、腸内環境を改善する「シンバイオティクス」という食習慣

腸内環境を整えるには、やはり食習慣の見直しが大切です。
前回の記事でお伝えした水溶性食物繊維には、糖質の吸収をおだやかにして善玉菌を増やし、腸内環境を安定させるという長所があります。
この水溶性食物繊維の力を効率的に、かつ最大限に得られる食習慣が今、注目されています。

その名も「シンバイオティクス」。

善玉菌を食事から直接摂取する「プロバイオティクス」と、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂る「プレバイオティクス」、これらの2つを掛け合わせたのが「シンバイオティクス」です。
善玉菌を含む食べ物を体内に入れ、それらを健全に保ちながら増やしていく方法で、腸内環境全体を向上させることができます。

それでは、「シンバイオティクス」とは、どのような食品を摂ればよいのでしょうか?

「シンバイオティクス」を上手に取り入れた食事方法とは?

「シンバイオティクス」とは、簡単に言うと腸に有用な善玉菌を摂取し、さらにそれらを育て増やしていく食事方法です。

具体的には、普段の食事内容に以下のような工夫を加えてみましょう。

【シンバイオティクスを意識した食事】

  1. ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、味噌などの発酵食品(プロバイオティクスにあたる食品)を摂る
  2. わかめやひじきなどの食物繊維を含む食材や、バナナやはちみつなどのオリゴ糖を含む食品(プレバイオティクスにあたる食品)を摂る
  3. 例えば、お味噌汁にわかめなどの海藻類を入れたり、デザートにはちみつバナナヨーグルトをプラスするなど、簡単な「シンバイオティクス」メニューを追加する

いかがでしょうか?

1のプロバイオティクスを意識した食べ物は、発酵食品を中心とした食品に多くみられます。
上記で挙げた食品以外に、甘酒や、キムチ、チーズなどもおすすめです。

2のプレバイオティクスを意識した食べ物には、食物繊維全般とオリゴ糖が挙げられます。
食物繊維は、前回の記事にもあるように、水溶性食物繊維を意識すると良いでしょう。

食物繊維の中でも水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサになります。
また、腸内をゆっくり移動するので、おなかがすきにくいというメリットもあります。

3は、「シンバイオティクス」を実現するための組み合わせの例ですが、最初はわかめ入りお味噌汁や、はちみつバナナヨーグルトのように固定メニューにして食事に取り入れるのもよいでしょう。

また、朝食では必ず「シンバイオティクス」の固定メニューを入れると意識すれば、食べ忘れを防ぐだけでなく、手軽にメニューに1品追加できるというメリットもあります。

腸内環境を整える「シンバイオティクス」のメリット

これら、「シンバイオティクス」は、冒頭で述べた便秘症だけでなく胃もたれなどの軽微な胃の不快感を持つ方から潰瘍性大腸炎などの胃腸疾患に悩む方々、また、アレルギー症状や骨粗しょう症の予防など大きな範囲へ良い影響をもたらすと考えられています。

また、ヘルシーな食べ物ばかりなので、カロリーコントロールがしやすい上に、栄養のバランスがとりやすいのも魅力。

腸内環境を整えるので、“やせやすい体の実現”という二重にうれしいメリットも感じられるでしょう。

「お伝えしてきたように、腸内細菌は、体の広い範囲にうれしい影響を与えます。

シンバイオティクスは、和食に使われる食材をうまく生かすことができるので、ぜひ試してみてください。」と大竹先生。

次回は、大竹先生に、胃や腸の働きをよくする運動について、お聞きします。

こちらもぜひ、お楽しみに!

大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)さん

監修:大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)

おおたけ消化器内科クリニック院長。 神戸大学医学部卒業後、数々の病院で1万例以上の内視鏡検査を経験する。また、「日本の医療を良くしたい、患者に寄り添う医師でありたいという」想いから、数々のメディアに出演。著書には「3週間ですっきり腸美人に生まれ変わる30の方法」など。

2021年4月28日 健康

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