胃腸症状企画 第5回「胃や腸はリラックスしている時にこそ働く!腸活運動で腸内環境を改善!」

監修:大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)
ライター:UP LIFE編集部
2021年5月31日
健康

胃や腸をはじめとしたお腹の調子や心身の健康には、腸内環境のバランスを整えることが大切だと以前の記事でお伝えしてきました。

腸内環境を整える具体的な方法は、水溶性食物繊維を中心とした食べものがよいとされますが“運動”も見逃せません。

でも、腸内環境を整える運動というと、大変なイメージも…?

今回もおなじみ、胃腸のスペシャリスト「おおたけ消化器内科クリニック」院長 大竹 真一郎先生に、腸内環境を良い状態に保つ運動について教えてもらいました。

腸内環境の改善には「腸活運動」が大切!

“運動”というと、ツラかったり過酷なトレーニングを想像してしまう方もいるかもしれませんが、腸内環境の改善に必要なのは、“リラックスして、ゆるりと行う”こと。

つまり、心地よく行える運動こそ、腸活運動の基本です。
本格的なトレーニングとは異なるのでさまざまな方が挑戦しやすいのも魅力。

腸活運動の基本はリラックスして、心地よく行える運動

「胃や腸は、リラックスしている時にこそ働きます。
過度のトレーニングや激しい運動など緊張感のあるものは、腸の動きが止まってしまうんです」と大竹先生も話します。

先生によると、“腸の動き”というキーワードが腸内環境の改善には大切で、運動をすることによって腸の動きが促進されていくそう。

便秘に効く3つの腸活運動

「たとえば女性に多い便秘。
毎日排便があったり、ゆるめの便が出ていたとしても、すっきり出た感じがしなければ便秘と考えられるのですが、このような症状の方々に共通するのは、腸腰筋の弱さです。

腸を動かす筋肉が弱いから、動きも鈍くなる。
ですが、ツラい思いをして腹筋をしたところで、正しく筋肉を鍛えるのは難しい。

そこでおすすめなのが、3つの腸トレ。

  1. ゆるっとウォーキング
  2. 楽ちんスクワット
  3. ながら足伸ばし

どれも、ゆるりとできたり、何かをしながらできたり。
在宅ワークの息抜きにもできるものばかり。
特別な道具も必要ありませんよ!」

リラックスして、ゆるりと行うやさしい腸活運動

おすすめ腸活運動① ゆるっとウォーキング

1日あたりトータルで1時間(約5km)のウォーキング point:リラックスして歩く 階段を使い負荷をかけるのもおすすめ

【ポイント】

  • 時間は1時間
  • 距離は5km(約8,000歩)が目標

「1時間」とか「5km」というキーワードでなんとなく大変そうな気がし、いきなりモチベーションが下がる方もいるかもしれませんが、安心してください。

1時間は、一度にという意味ではありません。1日の中で分散して歩き、トータルで目指せればOKです。

自宅の最寄駅から1つ遠い駅を目指して歩く、少し先のお店まで足を伸ばしてみる、駅や会社、商業施設では階段を使うなど、普段の生活の中に、少しだけ負荷を加えてみましょう。

「ウォーキングは、トレーニングをしている方のようにがんばりすぎてはいけません。
緊張感があると、腸の動きは停滞します。セカセカではなく、ゆるりと。
少し、辺りを見回しながら在宅勤務の息抜きに行う感じがおすすめです」。

おすすめ腸活運動② 楽ちんスクワット

10回1セットを1日に2~3回 point1:倒れそうになる場合は机の縁などを持つ point2:ひざが前に出ないように point3:椅子に座るイメージで体を下ろす

【ポイント】

  • 足を肩幅に広げまっすぐ立ち、椅子に座るイメージで空気椅子状態をキープ
  • スクワット中は息を止めず、深呼吸しながら行う

楽ちんスクワットは、10回1セットを1日に2~3回ほど試すのがおすすめです。

腰を下ろすときに膝が前に出ないようすることが大切ですが、“椅子に座るイメージ”をすると自然に体重が後ろにいき正しい姿勢がキープできます。

「後ろに倒れそうになる方は、机の縁などを持って姿勢を維持するのがおすすめ。
そうすれば、ふつうのスクワットより楽にできるはずです。
また、呼吸は深く。身体を上げ下げのタイミングと合っていなくても、深呼吸ができていればOKと考えましょう!
ゆるりとできて、緊張しすぎないのが大切です」と大竹先生。

おすすめ腸活運動③ ながら足伸ばし

1分間の足伸ばし1セットを1日2~3回 point1:両足とも腿の少し先を両手でしっかりおさえる point2:両足をゆっくり上げ下げする

【ポイント】

  • 両足の太ももと膝の間を両手でぐっと押さえ、両足をゆっくり上げ下げする
  • 1セット1分を1日2~3回繰り返す

ながら足伸ばしは、太ももの付け根ぐらいに力がかかるのを感じられれば正解です。

「この運動は、テレビを見ながらもできますし、仕事をしながらできる場合もあるでしょう。
在宅勤務が続く間は、むしろやりやすいかもしれません。

こういった、“ながらトレーニング”を日常生活に取り入れていく習慣を持つことが、健康に近づく1歩ですよ」。

とくに筋肉量が少ない女性におすすめ!やさしい腸活運動

腸を動かすことにフォーカスした3つの運動は、ゆるりと楽しみながらできるので腸内環境の改善を目指す方だけでなく老若男女におすすめです。

中でも、女性の場合は、男性よりも筋肉量が少ないので腸の動きも停滞しがち。

また、生理前に出る黄体ホルモンには血管に水を引き込む性質があり、便から水分を引き取ってしまうこともあるそう。

大竹先生は、便を我慢するのも女性に多いといいます。

便意は一度逃してしまうと遠のいてしまうことがほとんど。
我慢すると肛門まで下がっていた便が上がってしまい、便に蓋をする形で余計に固くなってしまうことも。

在宅勤務で自分の身体の状態に意識を向けやすいという方はぜひ、「やさしい腸活運動」に注目してみてください。

そして、何よりも無理をせず、楽しく、ゆるりと取り組む。

リラックスしながら行う運動習慣を、身につけてみましょう!

監修

大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)さん

大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)

おおたけ消化器内科クリニック院長。神戸大学医学部卒業後、数々の病院で1万例以上の内視鏡検査を経験する。また、「日本の医療を良くしたい、患者に寄り添う医師でありたいという」想いから、数々のメディアに出演。著書には「3週間ですっきり腸美人に生まれ変わる30の方法」など。

2021年5月31日 健康

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