免疫力アップ企画 第1回「免疫の低下はストレスが原因!?免疫力アップが期待できる和漢(わかん)とは」

監修:並木 隆雄(なみき たかお)
ライター:UP LIFE編集部
2021年6月30日 健康

新型コロナウィルスの流行によって、健康に目を向ける機会が多くなった今日この頃。

感染予防を徹底しながらも、“免疫”や“抵抗力”について改めて知りたい方も多いのはないでしょうか?

免疫を高める方法はいろいろありますが、今回は身体を小宇宙と考え、心身の両面からアプローチをする「和漢診療学」の視点から紐解いていきます。

第1回目は、和漢診療学から考える免疫について、千葉大学医学部和漢診療科診療教授・並木 隆雄先生にお聞きました!

和漢診療学ってなに?漢方から免疫を考える

写真:木目調の皿にいろんな種類の漢方の材料が並べられている

和漢診療学という言葉を聞いて、どのような診療科なのか正確に答えられる方は少ないかもしれません。

和漢診療学は「西洋医学」と「漢方医学」が融合したもの

並木先生に聞くと、和漢診療学は“西洋医学と漢方医学が融合したもの”だといいます。
「和=日本で行われている医療、すなわち西洋医学のこと、そして漢=漢方医学を指します。
和漢診療学とは、西洋医学でアプローチの難しい疾患や症状の改善を、漢方薬を使いながら目指すこと。

西洋医学は、臓器別に病気を診ますが、症状が複数の臓器におよんだり、多岐にわたる場合は、アプローチしにくいのが事実。
その点、漢方医学は身体全体を統括して診ていきます。

西洋医学と漢方医学はぶつかるわけではなく、互いの短所を補い合える関係なので、この2つの融合を目指した和漢診療学であれば、患者さんの訴えに対し守備範囲を広げてお応えできるのです」と並木先生。

そんな和漢診療学から考える「免疫」とは、どのようなものなのでしょうか?

免疫を維持する作用があるといわれている“気”とは?

「漢方医学では、人間の生命活動を維持するためのエネルギー全般を『気』と呼びます。
その『気』によって保たれている機能の1つに、免疫を維持する作用があるといわれています。

気には、生まれながらの体力に関係する『先天の気』と呼吸や代謝などの生命活動で得られる『後天の気』がありますが、過労やストレスが溜まると前者が傷つけられ、食事の乱れや運動不足などで、後者もバランスを崩すと考えられています。

たとえばストレスは、文字通り『気を使う』わけでそういう状態が続くと当然に、気は使われて減ってしまい、免疫にも影響を与える可能性があります」。

逆に、“気”が充実していると、多少の病原性が強くない細菌やウィルスなどの外的な病原を跳ね返すことができるそう。

並木先生は、“気”は無限のものではなく、ひとそれぞれに上限が決まっていると話します。

ストレスや不規則な生活習慣で“気”を使いすぎてしまうと免疫力の維持も難しくなるので、今、ある“気”を充実させて免疫にまわしていくことが大切です。

ライフスタイルの違いで、免疫力に差がでる

並木先生によると、免疫力は2つのファクターによって構成されているといいます。

1つは、もともとの体質。2つめは外的要因です。
1の体質は生まれ持ったものなので、どうしようもない部分がありますが、2つめの外的要因は、日頃の注意次第で改善することができるかもしれません。

たとえば、普段の生活で以下の項目に当てはまる方は、“気”が消耗しやすい、つまり免疫力低下の傾向にあると考えられています。

免疫力チェックリスト

  • 運動をする習慣がない
  • ストレスをためやすい
  • 湯船につからず、シャワーで済ませることが多い
  • 冷たいものをよく食べる
  • 冷え症である
  • 普段から風邪をひきやすい


2つ以上、当てはまる方は、知らないうちに“気”の無駄使いをしているのかも…。

“気”を充実させ、免疫力を上げるには具体的にどうしたらよいのでしょうか?

ストレスの受け止め方がポイント!手軽にできる、免疫力アップの方法とは?

写真:スーツを着た笑顔の女性

免疫力を上げるために工夫が必要なのは、「メンタル、食事、運動」の3点です。

中でも、メンタルのバランスは免疫に大きな影響を与えます。

「現代人は非常に強いストレスを抱えています。
生きていくためにストレスは避けられないものですが、あまりに過剰になると、その方の“気”を消耗させてしまいます。

また、注意すべきは、ストレスの“受け止め方”。
ストレスそのものの強さよりも、受け止め方がメンタルに影響します」と並木先生。

日常的に発生するストレスを、乗り越えられるものと考え、メンタルそのものをコントロールしていく。
それが、ストレスと共存するためのヒントと言えそうです。

ストレスと関係の深い自律神経を整え、気持ちをコントロールしていくための方法を、以下の3つにまとめました。

ストレスを感じたら!自立神経を整える3つの対処法

①湯船に入る
入浴はシャワーではなく、湯船に入るのがおすすめ。
身体があたたまることで冷えを解消し、リラックス効果も得られます。
冷えは、和漢診療学では病気に向かいつつある状態である「未病」といわれ、なるべく解消することが望まれます。
さらに、入浴により自律神経が整い、血行が促進され、免疫力が上がるといわれています。

②声を出す、深呼吸やため息を吐く
呼吸は副交感神経の一つである迷走神経のバランスを整えます。
ストレスを感じているときは、カラオケにいくとスッキリするという方もいるかと思いますが、声を出したり、しっかり息を吐くことで、迷走神経に良い影響を与えることができます。
大きな声を出して鬱憤を吐いたり、海や山に向かって大声で叫ぶのがおすすめ。
難しい場合は、深呼吸をしたり、大きくため息をつくだけでも効果があります。

③「まあ、いっか!」と考える
人生における悩みには、結論がつかないことが多いのも事実。
いろいろ考えた挙句、答えが見えてこない時には、「まあ、いっか!」と考えましょう。
結論づけることにとらわれすぎると、ずっと悩むことになります。
どつぼにはまらずに、気持ちを切り替えていくために、悩んでいる自分に気づいたら、そのたびに「まあ、いっか!」と声にだしてみましょう。

まとめ

いかがでしょうか?

どれも思った以上に簡単ではないでしょうか。

細菌やウィルスなどの外的から身を守るには、ストレスや乱れた生活習慣で弱った自律神経を立て直し、免疫力を上げていくことが大事なのです。

次回は、免疫力を上げる具体的な食事方法を和漢診療学の視点から解説していきます!
ぜひ、お楽しみに!

写真:並木 隆雄(なみき たかお)さん

監修:並木 隆雄(なみき たかお)

千葉大学医学部卒業後、千葉大学医学部付属病院を経て、医学博士に。2012年には同大学の和漢診療科診療教授に就任。臓器別に考える西洋医学ではキャッチアップできない幅広い症状に対応し、身体全体のつながりを考えたアプローチで患者のQOLの向上を目指している。必要に応じて現代医学の利点を生かし、漢方薬のパフォーマスンスを最大限に発揮させるのが目標。シェフの岡部栄との共著の「新版 千葉大学病院の薬膳ごはん」も。

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