血流企画 第7回「不調なのは血行不良が原因!?夏バテ&秋バテは血行促進でダブル予防」
監修:久手堅 司(くでけん つかさ)
ライター:UP LIFE編集部
2021年8月2日
健康
炎天の季節を迎え、熱中症をはじめとした体調管理に励む日々。
夏が終わる頃には、徐々に疲れが出て、夏バテや、その後の秋バテなど体調不良が起こりやすくなります。
しかし、季節の変わり目に起こる不調を正しく理解・予防すれば、日常生活の質も上がるはず!
今回は、夏から秋にかけた“バテ予防”の方法について、「せたがや内科・神経内科クリニック」院長の久手堅 司先生にお聞きしました。
夏バテと秋バテは、どう違う?
昔からよく聞く「夏バテ」、そして最近聞くようになった「秋バテ」。
そもそも、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか?
夏バテと秋バテが起こる時期はいつから?
久手堅先生によると「夏バテと秋バテは、倦怠感や頭痛、肩こりなどを感じるという点で症状がよく似ています。異なるのは、起こる時期。
文字通り、夏バテは春から夏にうつる季節の変わり目で起こり、秋バテは夏から秋の間に起こります。」とのこと。
症状が似ていても異なる夏バテと秋バテ
「夏バテは、上がっていく温度や湿度に身体が慣れずに起こる不調で、秋バテはその反対。秋バテの場合は、夏の冷房や冷たい食べ物で胃腸が冷えて起こることも多いので、消化管の不調を引き起こし、免疫機能が落ちてしまうことも。
めまいなどを感じるのも、秋バテに多いかもしれません」と久手堅先生。
夏バテと秋バテは似ていますが、少し異なります。
2つの体調不良には、自律神経と血行にもとづく体温の調節機能が関係しているよう。
もう少し詳しくみていきましょう。
自律神経が肝!季節の変わり目と体温調節
「夏バテも秋バテも、外気温の変化に身体がついていかないことで起こります。
体温を調整する機能は、自律神経が担っており、暑い時は手足などの末端の血流がよくなることで放熱や発汗を行います。
逆に寒いときは、無駄に熱が放散しないよう血管を収縮させるというシステムが働きます。」
外気温の変化で乱れやすい!?自律神経と体温の関係
「これらはすべて、自律神経が主体となり行いますが、肝心の自律神経は外気温の変化によるストレスで乱れやすいもの。
うまく自律神経のスイッチが入らなくなると、途端に体温調節もうまくいかなくなるのです」と久手堅先生。
また、自律神経が乱れることで、疲労がたまりやすくなり、全身の倦怠感につながることも。
秋口の血行不良に注意!
さらに、夏から秋にかけて起こりうる血行不良にも注意が必要です。
「秋口になり外気温が下がったり、夏場の冷房や冷たいものの飲食で身体が冷えてくると、手足の末端の血管も閉じていきます。
生命活動は、血流があってこそ維持ができるものですから、血行不良は不調と直結しているともいえます。
たとえば肩こりがひどい人は、肩まわりの血行が悪いことが考えられますし、それに伴った頭痛などの不調が起こりやすい。血行不良は、痛みや不快感とも深くつながっているのです」。
季節の変化に強くなる!夏バテ&秋バテの予防方法
季節の変わり目の体調不良の原因がわかったところで、大切なのは、その予防。
予防は、シーズンをむかえる前から日常的に意識することが大切です。
それは見方を変えれば、生活の工夫でツラい症状を軽減できるということ。
さっそく、その方法をチェックしていきましょう!
夏バテ&秋バテ予防の3ステップ
【その1:睡眠の質が大切】
- スマートフォンはベッドに持ち込まない
- エアコンは直接身体にあてない
- 入浴で深部体温を上げる
神経の興奮をおさえるために、スマートフォンは就寝の30分から1時間前には触らないようにしておきましょう。また、冷えを防ぐために、エアコンの風などが直接あたらないよう工夫を。
さらに、就寝の90~120分前に、38度~41度ほどのお湯に10~15分ほどゆっくり浸かれるとベストです。一時的に上がった身体の深部体温が、下がりはじめる頃にベッドに入るとよく眠れるそう。
逆に、入浴後すぐの就寝は、睡眠の質を下げるといわれています。
「ただ寝るだけでなく、睡眠には質が大切。質の高い睡眠には、スムーズな入眠が何よりも重要です。寝入り端の90~120分を深く眠れるようにしましょう」と久手堅先生も話します。
【その2:ビタミンBと発酵食品をとる】
- ビタミンBの多い豚肉やレバー類、うなぎなどをとる
- ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を食事にプラスする
- デザートに梅干しヨーグルトを取り入れる
ビタミンB群は、疲労回復に必要なビタミンです。気温変化で疲れた身体を回復させる栄養素として積極的に摂取していきましょう。
また、腸内環境が整っていると自律神経も乱れにくいという事実が、近年明らかになっています。普段の食事メニューに1品ずつ、発酵食品を足す習慣をつけると続けやすいかもしれません。
さらに、夏場の脱水や熱中症を予防するデザートとして、梅干しヨーグルトがおすすめ。梅干しに含まれるクエン酸は疲労回復効果が期待できる+塩分も補充、ヨーグルトの乳たんぱくは、保水効果があります。
つくりかたは簡単で、ヨーグルトに梅干しをつぶして混ぜるだけ。
気になるお味も、ヨーグルトにプルーンをのせた味わいに近く、スッキリさわやか!ぜひためしてみてください。
【その3:エアコンは賢く使う】
- エアコンの冷風が直接あたらないよう、サーキュレーターを使う
- 気温が高くなくても湿度が高いと疲労につながるので、適度に除湿する
- 気温が高い場合は、迷わず冷房機能をつかう
熱中症の予防に、エアコンは必須の時代ですが、使い方によっては体調不良を招くことも。
特に、冷風が直接身体にあたる環境は、寒暖差による疲労につながりやすく、結果的に自律神経の乱れにつながる場合があります。
サーキュレーターを使い、冷たい空気がうまく室内を循環するよう工夫しましょう。
また、気温の管理とともに、湿度が高いときには除湿機能を使うと、疲労しにくくなるかもしれません。
血行不良を改善させ、バテない身体を目指して
季節の変わり目に起こる体調不良は、日頃からの予防が大切です。
日々の生活に予防策をできる範囲で取り入れてみましょう。
予防の3ステップとは別に、本格的な夏を迎える前に汗ばむ程度の軽い運動を取り入れ、血行不良を改善し汗をかきやすい身体づくりをしていくのもおすすめです。
「新型コロナウィルスの流行2年目を迎えて、私のクリニックにも自律神経の不調を抱えた患者さんが増えました。
長引く不安やライフスタイルの変化がストレスになり、自律神経に影響をおよぼして気怠さや肩こりなどの不定愁訴※につながったり、緊張感から末梢の血管が締まって体幹部+頭部の温度が上がり微熱が続く人もいます」と久手堅先生。
ただでさえ、心労の大きい時期ですから、外気温のストレスは最小限に。
健やかに、夏と秋を乗り越えていきましょう!
※不定愁訴とは:明らかな病気や原因がなく起こる、肩こりや頭痛などの体の不調
監修
久手堅 司(くでけん つかさ)
せたがや内科・神経内科クリニック院長。東邦大学医学部卒業後、同大学付属病院などに勤務。天候の変化によって生じる気象病に着目し、クリニックでは「気象病・天気病外来」を設置、さまざまな患者の悩みに対応している。そのほか情報番組や雑誌などで、気象病をはじめとしたコンテンツの監修なども担当。著書に「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」(クロスメディア・パブリッシング)、また、監修書に「面白いほどわかる自律神経の新常識」(宝島社)がある。
2021年8月2日 健康
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