「あと2杯!」が合言葉。命を支える「水」を飲むメリット

監修:武藤 芳照(むとう よしてる)
ライター:UP LIFE編集部
2022年3月28日
健康

成人のからだの6割を構成する「水」。体内の水をたった5%失っただけでも、脱水症状が起こるといいます。

この記事では、今日からできる水の飲み方について、東京大学名誉教授の武藤 芳照先生にお聞きしました!

からだは「内なる海」、水とからだの密接な関係

写真:海の中のイメージ

「人の体液は海水と似ています。母なる海から生まれた人間は、からだの中に“内なる海”を持っているのです」と話す武藤先生。

体内の水分が失われると、臓器や細胞の機能が下がり、活力が下がっていきます。
そして、水分不足によって起こる心身への被害は、実に甚大なのです。

「水分不足は、熱中症はもちろん、脳梗塞や心筋梗塞、エコノミークラス症候群など、大切な臓器への重大事故にいたる可能性もあります。そのような状況では、メンタルも健全さを保つことはできません」と武藤先生は話します。

「水と健康」の関係性は?水の誤解と常識

写真:女性がジムで運動してるイメージ

古くからある水の迷信として、“運動中は水を飲まないほうがよい”というものがありますが、武藤先生いわく、それは大きな誤解だそう。汗や呼吸で体内の水分が排出されやすい中、水を制限すると、脱水が急激に進行してしまいます。

人は、水分の5%を失うと脱水や熱中症の症状が出はじめ、10%で痙攣(けいれん)、そして20%を失えば死にいたります。中高年に多い脳梗塞や心筋梗塞などの一部も脱水が要因の1つと考えられています。

同じ水分でもアルコールは水分量がマイナスに…!

また、飲む水分も、純粋な水から糖分の入ったスポーツドリンク、あるいはアルコールなど、種類によってからだにおよぼす影響が異なります。特にアルコールには利尿作用があるので、“飲んだ分+コップ1杯”の水を同時に飲む必要があるそう。

「たとえば夏場のゴルフ場でアルコールを飲みながらプレイをする場合、暑さもあって量が進みがちです。ですが、アルコールを飲んだ分より多い水分が排出されるもの。飲む量の水分と余分に1杯、からだに入れる必要があるんです。ですが、多くの人がアルコールを飲むと水分を多く摂った気分になります。そのまま帰宅すると、翌朝脱水からの脳梗塞などで救急搬送されるケースもあります」と武藤先生。

「あと2杯!」が合言葉。水の恩恵を心身で享受する

写真:女性が水を飲んでいるイメージ

改めて水分をとることが大切だとわかりますが、実際にはどのようなものを、どういったタイミングでとるべきなのでしょうか?

一日に必要な水分量は1.2リットル、水分補給のタイミングはルーティン化すべし

武藤先生は、1日に摂取するべき水の量を「1.2リットル」と話します。

タイミングは起床時や就寝前、入浴の前後やアルコールを飲んでいる時などがおすすめ。まずは朝と夜に、水を一杯ずつ追加して飲んでみましょう。

合言葉は「あと2杯!」です。

思い出したときに飲むというのは、継続しにくいものなので、飲むタイミングを決め、ルーティン化するのがよさそうです。先ほどの1.2リットルは一度に摂取しにくい量ですので、生活の折々のタイミングで「あと2杯!」、水を飲んでみましょう。

“水道管から血管”へ!水とともに生きていく

「水分は、ずばり“水”をおすすめします。なにも特定の水である必要はありません。さいわい日本は、水道水が安全に飲める国でもありますから」と武藤先生。

「かつての旅館には、枕もとに“宝水”という水差しが置かれていました。これはいわば、古の生活の知恵で、旅人の脱水を防ぐことで翌日のトラブルを回避するという意味があったのかもしれません。朝、起きがけに飲んだ水がおいしいと感じられるのは、健康の証ともいえるのではないでしょうか。

写真:水が入ったグラスと急須のイメージ

心とからだの維持のために。水を飲むというシンプルな習慣を見直し、自ら(水から)健康を築いていきましょう!」。

監修

武藤 芳照さん

武藤 芳照(むとう よしてる)

東京大学名誉教授。一般社団法人東京健康リハビリテーション総合研究所 代表理事/所長。医学博士。「健康のため水を飲もう」推進委員会委員長。名古屋大学医学部を卒業後、同大学大学院を修了。東京厚生年金病院整形外科医長を経て、東京大学教育学部教授に。長年、オリンピック水泳選手団のチームドクターとしても活躍。スポーツ医学および身体教育学についての著書は100冊を超える。新刊本に『健康と水-面白医学ゼミナール』(株式会社水道産業新聞社.2022年2月刊)も。

2022年3月28日 健康

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