ツラい腰痛をストレッチで解消!【腰痛のプロ】理学療法士がおすすめするおしりケア

監修:新田 智裕(にった ともひろ)
ライター:UP LIFE編集部
2023年9月12日
健康

私たちにとって、とても身近な「腰痛」。日本整形外科学会の調査では、日本人の3割以上が腰に痛みを感じているといいます。今回は誰もが悩む腰痛の最新ケア方法を、理学療法士の新田智裕先生にお聞きしました。

背中の下部からおしりまで!広い腰痛の範囲

後ろ姿の人のイラストに、腰部の位置を赤線で囲っている。

腰痛といえば、ウエストの後ろ側の痛みだと反射的にイメージしてしまう人が多いかもしれません。しかし、新田先生に聞くと、腰部とは私たちが想像するよりも広いそう。
「もちろんウエストラインの後ろ側の痛みや張りも腰痛ですが、背中の下部や、おしり、おしりの横の部分の痛みや不快感もすべて腰痛です」と新田先生。

腰痛の原因は筋肉にある!?

以前は原因がわかりにくかった腰痛も、最近では椎間関節(ついかんかんせつ)や筋肉の問題など特定できるようになってきました。特に最近多いのは、「梨状筋(りじょうきん)」というおしりの奥の深層筋の張りによる腰痛だそう。

「おしりの深層筋である梨状筋が硬くなったり力が入りにくくなったりして生じる腰痛や不快感は、デスクワーク業務や身体を使う仕事に従事している方に多いですね。特にオフィスでの長時間のお仕事や、医療介護職、あとは運輸業のドライバーの方々からの相談があります」。

腰痛の原因はさまざまですが、梨状筋に問題がある場合は、骨盤周りのトラブルによって背骨が影響を受けていることが多いそう。知らないうちに、あなたのおしりにも疲労が蓄積されているかもしれません。

腰痛対策は、自分のゆがみを知ることから

写真:鏡の前に立ち、自分の身体を確認している女性の様子

腰痛の原因はさまざまでも、多くは身体のゆがみによって引き起こされているそう。
「自分の身体が、どのような状態にあるか知っておくことは大切です。腰痛につながるような身体のゆがみがあるか、チェックしてみましょう」。

毎日わかる!すぐできる!「身体のゆがみ」チェック

全身がわかる鏡の前に立ち、チェックします。

  1. 肩の高さに差がないか?
  2. 両手を骨盤に当てて、骨盤の高さに差がないか?
  3. 身体全体が左右どちらかに寄ってないか?
  4. 両足の位置から目線を上げたとき、ちょうどその中央に頭がきているか?

 

1〜4のどれかに当てはまる場合、身体にゆがみが起きている可能性が高いそう。
ゆがみのチェックは、朝晩や運動の後がおすすめ。
歯みがきなど鏡を見るタイミングでチェックすると忘れません。

それでは、これらのゆがみや腰痛の自覚があった場合、日々の生活で少しでも改善・予防していくには、どうしたらよいのでしょうか?

腰痛はおしりを狙え!痛みをやわらげ予防する最新ケア

写真:腰に手を当てた様子

腰の痛みや不快感が強い場合は、おしりを中心としたアプローチがおすすめです。
以下の3つの方法は、梨状筋をはじめとした腰の深部に働きかけて、腰まわりを楽にしてくれるはず!

梨状筋を刺激!座りながら腰痛改善できるおしりエクササイズ

おしりエクササイズをしている様子のイラスト
  1. 椅子にすわり、片側の脚をもう一方の膝の上に乗せる
  2. やや前屈みになり、かかとの上げ下げを行う
  3. もう片側の脚も行う

 

タイミングは午前中と晩。午前中はウォーミングアップを兼ねて片側20回が目標。夜は5回ほどでもOKです。コツは、座ったときに、かかとを上げ下げする方の膝の位置とその足のつま先が、同じ方向を向くようにすること。目立たない動作なので、日中のデスクワーク中にもできるのが魅力です。頻度や回数はあくまで目安なので、このストレッチを癖のようにできるとOK!

テニスボールで刺激!おしりにダイレクトに届くマッサージ

座った姿勢で、おしりにテニスボールを当てているイラスト
  1. 座った姿勢で、おしりの側面にテニスボールを当てる
  2. 身体を横に傾けて、おしりの側面をテニスボールに乗せていく
  3. 軽く身体を揺らし、おしりの筋肉をゆるめるように30秒〜1分程度ほぐす 

 

こちらも午前中と晩に行うのがおすすめ。使うテニスボールは、硬式用でやや柔らかめのものがよいでしょう。特に朝一番は、身体が固まっているので、テニスボールの刺激はほぐしの合図になります。また、横向きに寝ながら、おしりの横にテニスボールをはさみゴロゴロして刺激するのもよいでしょう。

脚の付け根を刺激!腰の深部に効く膝立ちストレッチ

片側のひざを立てた膝立ちになり、ストレッチをしている様子のイラスト
  1. 床にひざ立ちになる(ひざ下にヨガマットを敷くとより良い)
  2. 片側のひざを立て、3秒かけながら上半身をやや前に倒す
  3. 脚の付け根、股関節の前側が伸びるのを感じながら、3秒かけて戻す。もう片方の脚も同様に行う

 

こちらも同じく午前中と晩、片脚5回ずつ。仕事の休憩中に行うのもおすすめです。コツは腰を反りすぎずに、おなかをキュッとしめながら行うこと。より、深い筋肉に働きかけることができます。

「これら3つのケアは、できれば毎日行うことが望ましいですが、難しい場合は、おしりや脚の付け根にアプローチできるマッサージツールを使うのもよいでしょう」と新田先生。

毎日のケアで、壊れない腰をつくる!

新田先生は、腰は“身体の大黒柱”だと話します。

「身体の大黒柱である腰の土台が骨盤です。土台(骨盤)が傾いていたら、腰にはますますストレスがかかってしまうもの。
そうならないためにも、痛みが起こる前からメンテナンスができるのが良いですが、もし起きてしまっても上記のケアを行うことで、過度の進行は防げるはず。腰まわりの筋肉だけでなく、おしりの深層・梨状筋や脚の付け根の筋肉をほぐすことで不快感が軽減するケースもあります。併せて身体のゆがみもチェックできるのがベスト!午前中のうちに鏡を見てチェック→3つのセルフケアと、少しだけ自分の身体に目を向ける余裕ができるとよいかもしれません。
痛みがひどくなってしまったら、医療機関にご相談を!私たち理学療法士も精一杯、みなさんのお悩みが解決できるように全力を尽くします!」

監修

写真:新田 智裕(にった ともひろ)さん

新田 智裕(にった ともひろ)

理学療法士。総合リハビリ施設「BALENA」を運営。神奈川県の病院にて13年間整形外科分野のリハビリに従事した経験から、「身体が壊れてしまう前にメンテナンスすること」の重要性を痛感。足と靴に関する講演会活動をはじめ、ウェブメディアやSNSコンテンツをはじめとする監修・情報発信を行っている。「理学療法士のいる靴屋さん」として、アシックス商事株式会社が販売している「ウェルネスウォーカー」や「ラクウォーク」などの靴も取り扱い、「100年歩き続ける足を育む」ためのさまざまな事業も展開している。

2023年9月12日 健康

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