ひざの痛みが増えるのは40代から【専門医監修】ひざの痛みを解消するマッサージ&体操「ひざケア」

監修:銅冶 英雄(どうや ひでお)
ライター:UP LIFE編集部
2024年1月30日
健康

「ひざ」の痛み、そして違和感。気づいた時には、ひざをかばう動きが多くなっていることも。今回は、ひざの痛みや違和感の原因や改善・予防について「どうやリハビリ整形外科」の銅冶英雄先生にお聞きしました!

女性に多い!40代から増える、ひざの痛みや違和感

写真:女性が膝をおさえている様子

今まで気にならなかったのに、最近ひざが気になる。40代に入って、痛みが出てきた‥。
ひざの悩みは、高齢者だけのものではありません。特に、40代以降の女性に多くみられるそう。

「変形性膝関節症の生活機能維持・再建に関する研究*によると、ひざに痛みを感じる疾患である変形性膝関節症の患者さんは、6:4で女性に多いといいます。実際、私の患者さんも40代を境に、ひざの痛みを訴える女性が増える傾向にありますね」と銅冶先生。

*厚生労働科学研究成果データベースより

ひざの痛みは人によって感じ方がちがい、ズキズキと痛んだり鈍い痛みになったり、曲げづらさや腫れ感など、違和感として自覚することもあります。

スポーツ歴やO脚などが影響する場合も

ひざの痛みを感じやすい人には、過去のスポーツ歴や、O脚などのひざの変形、過体重の方なども。

「ひざの痛みの原因の多くはひざの軟骨のすり減りなので、ひざに過度のストレスがかかっている方は要注意です。過去にスポーツでひざを痛めた人や、O脚などのひざの変形がある人、あるいは肥満傾向の方は年齢を重ねるごとに、痛みを訴える方も増えてきます。女性にひざ痛が多いのは、筋肉が少なく脂肪が多かったり、そもそも軟骨が薄いなど諸説ありますが、まだ原因ははっきりしていません。運送業や清掃業など重いものを持ったり、歩き回る仕事をしている人もひざに負担がかかる場合が多いので、注意が必要です」

つい、放置してしまう。ひざの痛みを放っておくと、フレイルになることも

写真:膝をおさえる手元の様子

銅冶先生によると、ひざの痛みが原因で、歩行スピードに影響が出ることもあるといいます。

「ひざに痛みがあると、ひざの可動域も狭くなります。その結果、歩幅が狭くなり歩みが遅くなることは充分考えられます」

ひざの痛みの原因は、大きくわけて「ひざ周りの筋肉の過緊張」と「軟骨の損傷」

そもそも、ひざの痛みの原因には、どのようなことが考えられるのでしょうか?

「ひざは日々、負担がかかっています。ひざの痛みの多くは大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の間にある『関節軟骨』のすり減りです。また、ひざ周りの筋肉は関節をかばって過緊張を起こし、痛みにつながることもあります」

痛みを放置すれば、ゆくゆくフレイルも

銅冶先生いわく、これらのひざの痛みや違和感は、関節の動きを改善させる体操をすることで軽減できる可能性があるそう。痛みを放っておくとフレイル(健康と要介護の間の状態にあること)になってしまうことも。

「ひざの痛みがひどければ当然歩かなくなりますし、歩かなければ筋肉が衰えいずれ歩けなくなります。40代の方であっても痛みを放置して月日が経ってしまえば、いつのまにか不自由な状態になってしまうかもしれません」

生涯、自分の脚で歩くためのひざづくりが大切!

フレイルまでいかなくとも、ひざに痛みがあると日常の動作が少しずつ億劫になっていきます。
「毎日を活動的に過ごすためにも、ひざの健康はとても大切です。一生自分の脚で歩くためにも、痛みを放置せず自分でできるケアをはじめていくのがおすすめです」

ひざの痛みの改善におすすめのマッサージ+体操は?

写真:女性がジョギングをしている様子

では、具体的にひざの曲げ伸ばし体操とひざ周りの筋肉マッサージについて見ていきましょう。

「関節軟骨が原因の痛みには、正しいひざの曲げ伸ばしを実現する体操がよいでしょう。シンプルな動きですが、痛みだけでなく可動域を改善する効果も。もちろん、痛みの予防効果もありますよ」

まずはひざを曲げ伸ばしして痛みをチェックし、症状に合う方の体操に挑戦してみましょう。

ひざを伸ばすと痛みがやわらぐ人は「ひざ伸ばし体操」

デスクワークなどで座りっぱなしの人に多い傾向があります。

  1. 浅く椅子に座り、痛む脚を軽く前に出して、ひざのお皿の上部に両手を当てながら垂直方向に押す
  2. ひざ裏を伸ばし切った状態で1〜2秒キープする
ひざ伸ばし体操イメージのイラスト

ひざを曲げると痛みがやわらぐ人は「ひざ曲げ体操」

立ち仕事などで脚を伸ばしている人に多い傾向があります。

  1. 痛む脚を椅子に上げ、両手をひざの上に置き、ひざを前に突き出すように曲げていく
  2. ひざを曲げ切った状態で1〜2秒キープする
ひざ曲げ体操イメージのイラスト

それぞれの体操は、10回1セット、痛みが強い日は1〜2時間おきぐらいに1日10セットとこまめに、そうでもない日は3〜4時間おきに1日5セットほど行いましょう。

さらに、「ひざ周りを押して圧痛点があるときは、お皿周辺の筋肉が過緊張し痛みを起こしている場合があります。そんな時は、ひざ周りの筋肉のマッサージがおすすめです」と銅冶先生。

ひざ周りの筋肉マッサージ/太ももの内側編

  1. 椅子に座り、痛むほうの足を前に出し、ひざのお皿の内側にある出っ張った骨を探す
  2. 出っ張った骨のへりを両手の親指で押して、ズーンと響く圧痛点を探す
  3. 圧痛点を押し込みながら、つま先を上げ下げする
  4. 3と同様に、押し込む位置を圧痛を意識しながら太ももの裏側までずらし、両手指で押し込んでいく。
ひざ周りの筋肉マッサージイメージのイラスト

ひざ周りの筋肉マッサージ/太ももの外側編

  1. 内側編と同様、椅子に座り、痛む方の足を前に出す
  2. 今度はひざのお皿の外側にある出っ張った骨のへりを両手の親指で押して圧痛点を探す
  3. 圧痛点を押し込みながらつま先を上げ下げし、徐々に太ももの裏側までずらして押し込んでいく
ひざ周りの筋肉マッサージイメージのイラスト

ひざ周りの筋肉マッサージは、太ももの内側編、外側編ともに、圧痛点押しを10回1セットで行います。1日5〜6セットほどが目安です。

また各ケアは、ひざの怪我や皮膚の発赤、歩行困難なほどの痛みが伴う場合は、控えましょう。関節リウマチや人工膝関節手術を受けた人、ステロイドホルモン剤を使ったことがある方も様子を見ながら行うことが大切です。

「適切なケアはひざの痛みを改善させます。私のクリニックの患者さんの中には、セルフケアを続けることで行動の幅が広がった方も多いです。痛みに向き合ってケアや治療を行い、生活の質を高めていきましょう!」

監修

写真:銅冶 英雄さん

銅冶 英雄(どうや ひでお)

医学博士、どうやリハビリ整形外科・院長。日本医科大学卒業後、千葉大学附属病院、国立がんセンター中央病院などに勤務。米・ウィスコンシン医科大学等への留学後、2022年にどうやリハビリ整形外科を開院。20代の頃から腰痛に悩まされたた自身の経験から、運動や栄養療法、オーダーメイド靴から構成される身体の痛みを根本から解決する治療法を研究。著書に「難治性ひざ痛が消えた!痛みナビ体操最新完全マスターDVDブック」(わかさ出版)、「8万人のひざ痛を治した!痛みナビ体操」(アチーブメント出版)など。ひざ痛だけでなく、腰痛やその他の関節痛を取り扱ったもの多数。そのほかテレビ等のメディア出演も。

2024年1月30日 健康

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