あったかエオリア設置レポート1
山形県朝日町・松本亭一農舎
今昔ともに変わらない、人が集い交わる場。
山形県朝日町・松本亭一農舎
http://1no.jp/
西に朝日連峰を望み、東に最上川が流れる朝日町で2年目を迎えた『松本亭一農舎』。
かつての私塾がゲストハウスになった今も、社交の場であることは変わらぬまま。
宿泊客だけでなく地域の人々も足繁く通い、さまざまな出会いと交流を楽しんでいます。
かつては学舎、現在はゲストハウス
最上川の舟運を差配していた大庄屋の古民家をリノベーション
山形県の中央部に位置する朝日町。
この山間の町にゲストハウス『松本亭一農舎』がオープンしたのは、2017年1月のことでした。
運営会社である『まよひが企画』の代表・佐藤恒平さんによると、元々は大庄屋の別邸で農業技術を教える塾だったそうです。
「最上川の舟運の差配役を務めた、佐竹家の分家だと言われていますね。農業塾の名前は『一農舎』で、時を経て松本さんという方の手に渡ると、近所の方から『松本邸』と呼ばれるようになったそうです。こうした歴史から、『松本亭一農舎』と名付けました」
モダンな印象の母屋外観は、建築家・馬場正尊氏のデザインで、山形で『そがき』と呼ばれる雪囲いがモチーフ。隣に建つ蔵とは内部で繋がっており、こちらにも宿泊が可能です。
「宿泊するゲストは週末が多いですね。里山の暮らしをしてみたいという人たちが、フラッと訪れたりする。『棚田百選』の1つ『椹平(くぬぎだいら)の棚田』や、空気を祀る神社「空気神社」などはあるものの、有名観光地とまではいかない朝日町。だからこそ行ったことない土地に行きたい!といった冒険心あるお客様が多いなと感じています」
この地で暮らす人々の交流スペースとしても機能
「『松本亭一農舎』は宿泊だけでなく、イベントやプライベートでも利用できます。近所の人には、二間続きの『コミュニティスペース』を解放していて、仕事帰りの大工さんが立ち寄ってみたり、高校生がゲームをしたり。おばあちゃんたちのお茶会に使ってもらうこともよくありますね」
そんな話を伺っている間にも、『松本亭一農舎』にはさまざまな人が訪れます。近所の菓子店『西松屋菓子舗』の3代目、白田常次さんもその一人。この日は新作お菓子の差し入れで、時には販売のアドバイスをもらいに来ることもあるのだそう。その後も、仙台の寮から帰省してきた高校生の梅津航樹さん、運営スタッフである水沼祥乃さんの夫で冒険家の佑太さんと、地元の人々がひっきりなしに訪れます。
「コミュニケーションスペースを解放した背景には、朝日町という場所柄も大きく関わっています。当初は移住体験用の施設にする案もありましたが、毎日、人が訪れる場所ではない。それなら広い用途で使える、人が集まる場所にしようということで生まれたのが、このゲストハウス+コミュニティスペースの形なんです」
「変な出会い」から生まれる、ここならではの町おこしを
「この建物は朝日町の所有ですが、僕らは町に依頼された管理者というわけではありません。逆に家賃を払って自主的に宿として運営している立場なんです。だからこそ、自由度が高い活動ができています。山形出身の地下アイドルのライブを開催したり、隠し扉を作る体験会をしたり、変わったイベントが多いですよ(笑)」
そう語る佐藤さんが目指すのは、「出会いにくいものと出会うことで生まれるおもしろさ」。
「“こんなところで、こんな体験ができるの?”って思ってもらいたいんですよね。場所を変えればもっと人が集まるかもしれませんが、この町のこの環境でやる面白さを追求したい。生活の必需品ではないのだけれど、日常をちょっと楽しくしてくれて、“この町に住んでいてよかった”と思えるような場所であること。それが『松本亭一農舎』でできる町おこしだと思っています」
なんだかよくわからない人たちが集まってるけど楽しそう。たとえるなら、昔の出島のような場所。
「一般の人からしたら謎多き場所だけど、でも確かに橋でつながっている異国のような存在。“行って見たら意外と心地よかったよ”そんなクチコミが広がっていけばいいなと思っています」
居場所を広げたのは、フル暖エオリア
山形県朝日町は、県内屈指の豪雪地帯。毎年のように『豪雪対策本部』が立つこの町で、フル暖エオリアは人々をどのくらい暖めることができるのでしょうか? 『松本亭一農舎』の運営スタッフ&ゲストの方々に聞きました。
豪雪地帯の朝日町は「冷気がまとわりつく」「湿った寒さ」
2018年2月に訪れた朝日町は、一面銀世界。『松本亭一農舎』を運営する『まよひが企画』代表の佐藤恒平さんによると、「積雪量は町中でだいたい1.5m。山の奥へ行くと2m超」は積もるのだとか。
「朝日町は本当に雪が多いんです。でも、除雪に力を入れているので、クルマの運転は山形市内の方が大変ですね(日本画家・山口裕子さん)」「広い道は除雪車に任せられますが、脇にある雪は自分たちで除雪しなきゃいけない。雪かきは朝夕、1日2回やってます(運営スタッフ・青山亮太さん)」
そんな朝日町の寒さを「冷気がまとわりつくよう」と表現したのは、仙台から朝日町の実家に帰省がてら訪れた梅津航樹さん。
「仙台は乾いた寒さという感じで、洗濯物を室内干ししてもちゃんと乾くし雪も少ない。でも、朝日町の寒さは湿っていて、まとわりついてくる感じです(梅津さん)」
この「まとわりつく寒さ」に対する家庭の暖房器具は、ファンヒーターが主流。
「夏場にクーラーを使うお宅はあるけれど、暖房にエアコンという発想自体がないですね。ファンヒーターは濡れた靴や手袋を乾かすにも便利だし、ヒーターダクトを使えばコタツに温風を送れることもあって、暖房としてはやっぱり主力です(阪野さん)」
こんなにあたたかいなんて! エアコン暖房の概念を変えたフル暖エオリア
これまで、ファンヒーターとヒーターダクトを利用していた『松本亭一農舎』。2018年1月からはモニターとして、フル暖エオリアを使っていただいています。これは、パナソニックの商品改善に向けた取り組みの一環。室外機にCCDカメラを取り付け、運転状況や霜の付き方をリアルタイムでモニタリングしているんです。これもひとえに、土地ごとに異なる気候に対し、エアコンの能力をしっかり発揮させるため。
そんなフル暖エオリアを使ってみて、皆さんはどう感じたのでしょうか?
「最大14帖のコミュニケーションスペースでファンヒーターと併用していますが、思った以上に暖かいですね。窓の結露がかなり減ったのもよかったです。あと、気に入っているのがスマホで操作できる『エオリアアプリ』。夜、スタッフがいないときでも、エアコンの消し忘れがないかを外から確認&操作できます(佐藤さん)」
「山形は盆地で、冬寒くて夏暑い。特に暑さは年々厳しくなっているので、冷房を使うのも楽しみですね(裕子さん)」
さらに、高齢者にもオススメだとか。
「ファンヒーターのように、数時間ごとにオフになって換気をする必要がないのは手軽。また、高齢になると給油が大変だし、灯油は寒いところに置く家庭が多いので、ヒートショックのリスクもあります。暖房器具をエアコンに切り替えれば、こうした心配もなくなりますね(佐藤さん)」
人の居場所が広がれば、人がさらに集う場になる
フル暖エオリアは運転スタートから暖まるまでが早いのも、重宝するポイントだとか。
「朝一番の仕事もしやすくなりました。寒いとやる気が出ないけれど、エオリアをつければ暖かいので(佐藤さん)」「ゲストが来るまで時間がなくても、部屋をしっかり暖めておけます。コミュニケーションスペースに入っての第一声が“あったかい”という人も増えた気がしますね。あと、1日2回のタイマー予約も便利。消灯時間などを細かく設定できて助かっています(阪野さん)」
そしてもうひとつ、目に見えて変わったのが人の動き。
「以前はファンヒーター+コタツのある手前の部屋にばかり、人が集まっていたんです。エオリアを設置するまで、奥の部屋は寒かったので。それが今では、そっちの方にも人が行くようになりました。おかげで、コミュニケーションスペースも広く使えています(佐藤さん)」
フル暖エオリアを導入し、人の居場所が広がったという『松本亭一農舎』。この広くなった分だけ、さらに多くの人が集い、「変な出会い」も今まで以上に増えていくことになりそうです。