あったかエオリア設置レポート2
長野県大町市・metone-林屋旅館-
以前とは異なる活気にあふれた元旅館。
長野県大町市・metone-林屋旅館-
古くは宿場町として栄え、1950年代には黒部ダム建設の影響でかつてない賑わいを見せた長野県大町市。
当時より多くの人々の宿として機能していた旅館が今、若者たちを集める受け皿となっています。
そんな活気あふれるシェアハウス、『metone-林屋旅館-』を訪ねました。
旅館から生まれ変わったシェアハウス
要衝の地で役割を終えた旅館が、シェアハウスに変わるまで
1950年代に創業し、2015年に営業を終えた『林屋旅館』。
この建物に手を入れ、シェアハウス『metone-林屋旅館-』として生まれ変わらせたのが『LODEC Japan』のたつみかずきさんです。
「当時は信濃大町駅の目の前で、シェアハウス『metone-信濃大町駅前-』を運営していたんです。このオープンから2年目くらいに、大町駅前本通り商店街の方から『林屋旅館』の物件が空いているって話を聞いて。駅前も手狭になっていたから、ちょうどいいタイミングだと思って、『metone-林屋旅館-』を始めることにしたんです」
このとき、たつみさんに声を掛けたのが、創業60年の製麺所、『松栄屋』を営む松下俊樹さんでした。
「お祭りなどで人手が足りないとき“たつみ君、悪いけど頼むよ”って言うと、若い子を3〜4人連れて手伝いに来てくれるんです。そう言えば『林屋旅館』が空いて持ち主が困っているって話をしたのも、イベントの打ち上げのときでしたね。“空いているんだから、やればいいじゃん”なんて言って(松下さん)」
地元の人々との協力関係を育み、月に1度のイベントで新たな交流も
「シェアハウスに地域外から若い子が集まることに拒否反応を示す人もいるかもしれないけれど、僕としてはおかげさまで助かっています。たつみ君のやっていることはおもしろいと思うし、僕らもできるだけ協力したい。お互いに、いい感じで付き合っていけてるんじゃないかと思います(松下さん)」
こうやって地域の人々との交流を深める一方で、『metone-林屋旅館-』自体も新たな交流の場になっています。その最たるものが、シェアメイトの太田真美さんが中心となって月に1度、開催される『ハヤシヤライスの日』。
「『metone-林屋旅館-』は新聞にも掲載されたので、“ちょっとのぞいてみたいけれど、いつ行けばいいかわからない”という声もあったんです。そこで、足を運ぶきっかけになればと始めたのが、この『ハヤシヤライスの会』。“林屋”にちなみ、ハヤシライスを作って食べる集まりです。今日で10回目なので、同世代が集まる場として定着しつつありますが、今後はもっと幅広い年齢層まで広がるといいですね(太田さん)」
「田舎暮らし、イケるかも」と思える選択肢を増やしたい
「商店街の方がウチの光景を見るとビックリするんです。“若い人たちが大町にもいるんだ”って(笑)。シェアメイトの友だちが遊びに来るのはもちろん、『ハヤシヤライスの会』みたいなイベントのときは僕も知らない人がいっぱいいます。そこで新しい関係が生まれて、仕事に繋がったりもするのはシェアハウスならではですね」
そう語るたつみさんによると、「都会のシステムを田舎に持ってくればいいわけではない」のだとか。
「地方の場合、移住する、あるいは地元に戻るといったことが絡むので、簡単に人は集まりません。だから僕は、巻き込むようにしているんです。たとえばシェアハウスを始めるなら、完成した物件ではなく、DIYの時点から情報を出す。知らないうちは否定的でも、自分が関わってくると“楽しそう”と思えるので、そこにどれだけ触れてもらうかが大事なんです。そうやってシェアメイトになった人もいますよ」
この春よりスタートした3軒目のシェアハウスも、SNSなどでオープンまでの様子を発信。読んでいる方もどんな家になるのかと、ワクワクしてきます。
「僕がしたいのは、田舎がいいところだと伝えることじゃなく、田舎で暮らしたいと思う人のための住み処を作ったりして、選択肢を増やすこと。田舎暮らしを“現実的に考えると無理”から“現実的に考えればイケるかも!”に変えていきたいですね」
フル暖エオリアでさらに居心地のよい林屋旅館に
北アルプスの麓に広がる長野県大町市。冬の寒さが厳しいこの町のシェアハウス『metone-林屋旅館-』に、2017年1月、フル暖エオリアが導入されました。エアコンが身近でないというシェアメイトの人々。彼らは実際に使ってみて、どう思ったのでしょうか?
日中は-15℃になることも! 寒さ厳しい大町市と林屋旅館の暖房事情
「大町の冬は、雪が少ないけどすごく寒い」と語るのは、『metone-林屋旅館-』を運営する『LODEC Japan』のたつみかずきさん。
「寒気が来ていると、日中でも-15℃まで下がったりします。特に晴れた日の朝は、放射冷却でものすごく冷え込みます。あとは、この家の作りも大きいですね。元が旅館なので、玄関から入ってすぐはホール。仕切りもなくそのまま階段があるので、2階からの冷気が直接流れてくるんです。あまりに冷えるので、断熱用にカーテンを取り付けました。あと、キッチンも冷え込む場所。今のキッチン&リビングスペースはもともともすべてキッチンで、床下は貯蔵に使う室(むろ)だったんです。下が空間になっているので、床からダイレクトに冷気が上がってきますよ」
上下からの冷気に悩むこのリビングスペースで、今まで使われていた暖房器具はファンヒーター。大きめサイズのものを1台置けば、そこそこの暖かさは確保できていたそうです。
「ただ、キッチンにいるときは寒かったですね。カウンターを挟んでリビング側にヒーターが置いてあったので、暖かい空気がまったく来なくて」(シェアメイト・太田真美さん)
広い空間がこれほどまでに暖かく。24時間運転でも安心
パナソニックでは、フル暖エオリアの商品改善のため、運転状態や霜の付き方などをモニタリングしています。ここ『metone-林屋旅館-』でも快諾をいただき、早速、開発メンバーが施工に訪れました。
これは、設置場所に合わせて適切な部材を使い、エアコンが保証する能力を発揮させるため。施工を大切にするのは、パナソニックの信条なのです。ここで苦心したのは取付位置。本来、取り付けたい短辺の壁にガス管が入っていたため、やむなく長辺側に設置することになりました。
「それでもだいぶ暖かいですよね。1軒目のシェアハウス『metone-信濃大町駅前-』と比べると全然違う。想像以上に暖かいと思います(シェアメイト・徳竹彩菜さん)」
「この辺りだと、エアコンで暖を取るのはあり得ないこと」と語るのは、大町に実家があるというシェアメイト、小林希典(きすけ)さん。
「でも、その概念が崩れましたね。2月にものすごく冷え込んだときはヒーターも使いましたが、通常はエアコンだけで十分暖かい。風が直接当たるのが気になっていたけど、教えてもらった“風よけモード”を使えば、人の居場所を検知して避けてくれるとのことなので、解決できそう。これからはもっと使いこなしたいです(小林さん)」
エアコンの設置自体が少ない大町で、フル暖エオリアは起爆剤となりうる?
大町で育った小林さんの「エアコン暖房は頼りにならない」という印象を覆したフル暖エオリア。この恩恵を最も受けているのは、もしかしたら朝一番に起きる太田さんかもしれません。
「ファンヒーターは24時間運転なんてできないので、その点でもエアコンは快適。起きてから点火する必要がなく、1階に降りればもう暖かいのでストレスがありません。暖かさが集中しがちなファンヒーターと違って、全体を暖めてくれるのもうれしいところ。今はキッチンも暖かいので、みんなで立つ機会も増えたように感じます(太田さん)」
体が寒さに縮こまっていると心の余裕もなくなるものですが、『metone-林屋旅館-』なら心も体も、芯から温めることができそう。すでに多くの人が集うこの場所は、これからもっと賑わってゆくのではないでしょうか。