ムラヨシさんが探る!「ホームベーカリー ビストロ」おいしさの秘密
ホームベーカリー ビストロのおいしさの秘密を、料理研究家のムラヨシマサユキさんが探ります。
いざ、滋賀県草津工場へ!
料理研究家 ムラヨシマサユキ氏
製菓学校卒業後、パティスリー、カフェ、レストランなどの勤務を経て独立。東京都内の自宅にてパンとお菓子の教室を主宰。「家でつくるからおいしい」をコンセプトに、家庭で繰り返しつくれるシンプルなレシピを提案する。雑誌連載、レシピ本、テレビなど、多方面で活躍中。
ホームベーカリーで焼いたパンをさっそく試食
「皮はパリっと、中はしっとりジューシー。舌触りがとってもなめらかで、そのまま食べても、時間が経ってから食べてもおいしくて驚きました。イースト臭さもありません」
難しい発酵を自動でコントロールして、夏も冬も最適な仕上がりに。
まずは調理実験室へ。ずらりと並べられたパンを前に、「焼きたてのパンの香りは、人を幸せにしますね」と、笑顔がこぼれます。
Panasonic Cooking @Lab ホームベーカリー部
高濱あつみ
「どんな環境でも、誰がつくってもおいしいパンが焼ける、失敗知らずのホームベーカリーをつくるために日々研究を重ねています」
一年中変わらないおいしさの秘密は?
ムラヨシ「パンづくりは、気温や水温など、環境によって仕上がりが大きく左右されますよね? 」
高濱「はい。それらに対応するため、外気を見張るセンサーと庫内の温度を見張るセンサー、2つのセンサーが環境に応じてプログラムを選択しています」
ムラヨシ「ホームベーカリーが自動で?」
高濱「はい。たとえば、夏の夜に朝食用のパンをタイマー予約した場合、冷房を切ると部屋の温度がどんどん上がりますよね? そういった温度や湿度の変化をキャッチし、過発酵にならないよう自動で調整しています」
ムラヨシ「なるほど。だから、一年中変わらないおいしさが実現するのですね」
イースト投入のタイミングが命。
ムラヨシ「ここではどんな実験が行われているのですか?」
高濱「さまざまな環境下で、パンケースの中の生地をひたすら観察して、生地温度の変化や、どのタイミングでイーストを入れるのが最適かなどを検証しています」
ムラヨシ「イーストの自動投入機能は、この地道な実験と研究の積み重ねから生まれたのですね」
ビーカーの中身は、同じ配合の生地。四季を想定した室温実験をしていますが、今回は、左が室温35℃、右が室温5℃の部屋に置かれていたもの。
発酵の進み方が全く違うため、ホームベーカリーではこの差が縮まるようなプログラムを工夫しています。
見た目のおいしさにも、こだわる。
ムラヨシ「手ごねでも難しいホワイトラインがしっかり出て、全面ムラなく均一に焼けているのがすごい。好みの焼き色が選べるのもうれしいです」
高濱「味わいはもちろん、見た目のおいしさにもこだわっています。焼き色は、濃・標準・淡の3段階から、お好みの色や、メニューに合った焼き色が選べるようにしています」
ムラヨシ「よい焼き色の判断基準は?」
高濱「色を数値化して計測しています。その際、人によって判断基準がぶれないよう、色差計という機械を使用しています」
ムラヨシさんが解説!
おいしいパンの印「ホワイトライン」
「山型食パンのおいしさを示すホワイトライン。これは、生地が膨らんで焼き色が付き、さらに膨らむ時にできる裂け目のことです。縦方向にしなやかに伸びるのは、生地がしっかりこねられ、グルテンが鍛えられている証拠。ホワイトラインができるパンは、生地が裂けた時にそこからふわっと蒸気が出るので、口当たりがさらりとしているのが特長です」
日本には四季があり、木造家屋や鉄骨建築など、住宅環境もそれぞれ違います。そのような中で、誰がつくっても常に安定した仕上がりになるのはとてもすごいことだと思います。生きているイーストを相手に、発酵の時間や温度などすべてホームベーカリーが調整する。でも、それらを判断するプログラムはすべて手作業の積み重ねからできていると知り、あたたかみを感じました。
パン職人のような、立体的な「ねり」の秘密は?
続いては、技術実験室へ。ここではパンのおいしさを左右する「ねり」の秘密に迫ります。
調理器技術部 商品設計課
大槻 和也
「おいしさはもちろん、使いやすさ、手に取りやすさも追求しています。長く、安心して使い続けられる、愛される商品づくりが目標です」
おいしさの秘密は“小さなすき間”
ムラヨシ「ビストロで焼いたパン・ド・ミを食べた時、これは配合じゃなく、ねりと発酵に秘密があると感じたんです。パン職人の手ごねのようなねりの技術は、どのように実現したのでしょうか」
大槻「秘密は、パンケースの内側のリブ(でっぱり)と羽根のすき間にあります。このすき間をできるだけ小さくし、一方で、生地の遊びスペースをつくることで、“こねて、丸めて、伸ばす”手ごねの技術を再現しています」
ムラヨシ「ただ力強くねるだけではなく、生地が休憩できるスペースもつくることで、全体をムラなく均一に混ぜられるのですね」
力強さと繊細さの両立
大槻「ねった生地をしっかり伸ばせるのは、負荷に強いモーター性能のおかげです。インバーターモーター*は、低速から高速まで緩急をつけながら立体的にねることで、グルテンが鍛えられ、伸びの良い生地になります」
ムラヨシ「手ごねでいちばん大変な作業をすべて自動でやってくれのがすごい。少ないイースト量でもしっかり高さが出るパン・ド・ミの生地は、この立体的なねりの技術によってつくられているのですね」
*インバーターモーター搭載商品は、SD-MDX4、SD-MT4になります。
ムラヨシさんが解説!
「長時間発酵」のメリット
パン・ド・ミは、長時間発酵することでイースト量を少なく、香りよく焼き上げることができます。
長時間発酵のメリットは「水和」にあります。粉と水分が合わさることでグルテンはできますが、小麦そのものの旨みを引き出すには、粉の芯までしっかり水分が行きわたっていることが重要。長時間ゆっくり置くことで水和が進み、それを加熱することで初めて旨みが引き出されます。これらの作業を、ホームベーカリーがすべて自動でやってくれるなんて、本当に驚きです。
機械的にただ生地をこねるのではなく、さまざまな工夫がされていることに驚きました。
“ねり”“発酵”“焼成”のすべての工程をひとつのパンケースの中で実現するために、考えて、つくって、試して、また考えて。その熱意に心を打たれました。
ホームベーカリーで、パンの楽しみがさらに広がる
「すべての工程において、何度も何度も試作を繰り返して生まれたおいしさ。開発チームのこだわりや苦労を知って、ホームベーカリーでのパンづくりにますます興味が沸きました。また、生地だけをつくることもできるので、いちばん大変な生地づくりはホームベーカリーにおまかせして、いちばん楽しい成形は自分でやるという使い方ができるのも魅力。ホームベーカリー ビストロで、パンづくりの楽しみがさらに広がりそうです」