免疫力アップ企画 第2回「まずは食事から!免疫力を上げる食べ物と、食べ方」

監修:並木 隆雄(なみき たかお)
ライター:UP LIFE編集部
2021年7月30日
健康

前回の記事で取り上げた、和漢診療学による免疫のお話
今回は、さらに掘り下げていきます。

免疫力に必要なのは、「メンタル、食事、運動」の3点でした。
中でも食事は、身体をつくる土台となるもの。

第2回目は、和漢診療学から考える免疫の「食事編」として、千葉大学医学部和漢診療科診療教授・並木 隆雄先生にお話しをお聞きました!

薬食同源!和漢診療学で考える免疫力を上げる食事

写真:女性がテーブル上に様々な野菜や果物を広げて見ながら思案しているイメージ

中国古来の思想に、「薬食同源」というものがあります。
日本で聞く医食同源と近しく、“すべての食事には薬効があり、食べ物は薬になりうる”という考え方をいいます。

たしかに毎日いただく食事が、私たちの身体をつくっていますよね。
食材や食べ方を見つめ直すことで、身体のあり様も変わってくるのではないでしょうか。

並木先生は、食事は“バランスが命”だと話します。

「どんなに栄養価にすぐれた食材でも、食べすぎれば毒になります。
逆に少なければ、意味がありません。
免疫力を考えたときに、やはり食事のバランスは重要です」と並木先生。

気の巡りと血流が悪いと、免疫力は低下しやすい!?

免疫力と食事の関係で知っておきたいのは、免疫は気と血の巡りが停滞すると落ちやすいということ。

気が充満し、血流が改善されると免疫力も上がっていきます。

気を巡らせ、血流を改善し免疫力につなげるために知っておきたい食事の基本を押さえておきましょう。

免疫力につながる食事の基本のき

①冷たいものをとり過ぎない
冷たいものの摂り過ぎは、身体の大切なエネルギー(気)を捨てるのと同じ。
逆に、気を身体中に巡らせるためには、熱を保つ必要があります。
夏の暑いときに、熱いものばかり食べすぎるのは過剰ですが、現在は冷房もあるので、気づかない間に冷たいもので身体を冷やさないよう、気をつける必要があります。

②旬の食材をとる
旬の食材は、栄養価が高いだけではなく、その季節に足りていない栄養を補うことができるもの。
たとえば夏のスイカは、水分が多く含まれているので暑い時期に摂ることで水分不足を補うことができます。
逆に、冬の時期にスイカを食べすぎるのは、身体にとって不必要なものを取り入れることになります。

③さまざまな食材をいただく
野菜から肉、魚、穀物まで。1種の食材に偏ることがないよう、さまざまな食材を日々摂っていきましょう。
同じものばかり食べる生活がつづくと、それがどんなに栄養価が優れていても、身体にとっては“過剰”になりかねません。そういったリスクを分散させるためにもさまざまな食材をいただき、食そのものをたのしむことが健康への近道です。

月経前後の体調から、免疫力アップに適した食材を選ぶ

写真:黄色い服を着た女性が辛そうに額に手をあてているイメージ

月経を中心にした体調変化の様子で変わってくるといいます。

ここでは、月経前後の体調変化のタイプを大きく3つに分け、体質別におすすめの食材をご紹介します。

以下の3つのどのタイプに当てはまるか、さっそくチェックしてみましょう!

【タイプA:瘀血(おけつ)】血流が悪く、身体に必要な栄養が回らない状態

  • 生理前に体調が悪く、生理が始まると体調が戻る
  • 生理周期や期間が短い
  • 肩こりや頭痛がおきやすい
  • 顔色が悪く、シミやあざができやすい

タイプAは、「瘀血(おけつ)」ともいい、血流が悪く、身体に必要な栄養がまわらない状態をいいます。
その結果、肩こりや頭痛などを起こしやすい傾向も。
血液もドロドロし、粘りが強くなっているイメージです。
肝機能の低下や、肉類の食べ過ぎ、ストレス、運動不足などが原因になる場合があります。

おすすめ食材:シナモン、サフラン、シナモンやサフランには、冷えをとり、血流を良くする効果があるといわれています。

シナモンはスティックを紅茶に浮かべて、シナモンティーにしたり、パウダーをトーストにふって、シナモントーストにするのもおすすめ。

またサフランは、パエリアなどに使ったり、糸状のものを0.3gほど湯に浮かべ、サフランティーとしてもたのしめます。

【タイプB:血虚(けっきょ)】血が足りていない状態

  • 生理中に体調が悪くなる
  • 生理と生理の間の期間が長い
  • めまいがあったり、朝起きられない
  • 身体がむくむ

タイプBは、「血虚(けっきょ)」と呼ばれ、読んで字のごとく血が足りてない状態をいいます。
貧血気味でめまいがあったり、手足がしびれたり、また肌もカサつきやすいことも。
疲れやすいので、本格的に寝込む前にしっかり休息をとるよう心がけましょう。

おすすめ食材:手羽先、魚の煮こごり
手羽先や魚の煮こごりには、コラーゲンが豊富に含まれていて、血管をしなやかにし、血流を改善する働きが期待できます。

上記に挙げた食材以外に、牛肉や豚肉にもコラーゲンは含まれるので、1日1食は摂り、各食材のローテーションを心がけるとよいでしょう。

【タイプC:複合タイプ】瘀血と血虚の複合型

  • 生理前、生理中、生理後に限らず、いつも体調が悪い
  • のぼせているような気がする
  • 冷たいものをよく食べる
  • 寝つきが悪い

タイプCは、瘀血と血虚の複合型です。
複合型の特徴は“のぼせ”で、発作的に暑さを感じる人もいれば、ダラダラと暑さがつづく人もいます。
タイプAやBにあるように、血管をしなやかに、そして血液をサラサラに保つことで血流が改善され、気の巡りも良くなり、免疫力もアップすると考えられます。
また、のぼせがひどい方は、冷たいものを摂りすぎないように。
冷たいもので冷えた身体は、恒常性を維持するために熱を生みます。その結果、のぼせが起こるのです。

おすすめ食材:タイプA、タイプB両方の食材
タイプA・Bの両方のものをバランスよく摂るようにしましょう。

毎日のつみ重ねが重要!食事で身体をととのえる

写真:女性が食事を前にマグカップを片手で持ち飲もうとしているイメージ

並木先生は、日々の食事もいわば、修行の時間だと話します。

毎食、バランスに注意して食事をするのは難しいかもしれませんが、身体に悪いものや、体質に合わないものを食べ続けると
確実に健康が損なわれていくのだそう。

より良い食事をプチ修行だと思って、できることからはじめるのがよいかもしれません。

また、和漢診療学は、病気になる前の予防に重きをおいています。

「病気に至らずという状態を、“未病”と呼びます。発病してはないけれど、自覚症状がある段階で整えていくことができれば、大きな病に至るのを防げるかもしれません。そういう意味では、和漢診療学は“不健康を正す診療法”といえるでしょう」と並木先生。

未病の段階で、継続の大切さを理解して、普段の食事から少しずつ。
未来の健康につなげていきましょう。

次回は、免疫力を上げる運動方法を和漢診療学の観点からご紹介いたします。
ぜひ、お楽しみに!

監修

写真:並木 隆雄(なみき たかお)さん

並木 隆雄(なみき たかお)

千葉大学医学部卒業後、千葉大学医学部付属病院を経て、医学博士に。2012年には同大学の和漢診療科診療教授に就任。臓器別に考える西洋医学ではキャッチアップできない幅広い症状に対応し、身体全体のつながりを考えたアプローチで患者のQOLの向上を目指している。必要に応じて現代医学の利点を生かし、漢方薬のパフォーマスンスを最大限に発揮させるのが目標。シェフの岡部栄との共著の「新版 千葉大学病院の薬膳ごはん」も。

2021年7月30日 健康

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