更年期企画 第2回「30代からできる更年期障害の予防!プレ更年期の特徴と対策」

監修:善方 裕美(よしかた ひろみ)
ライター:UP LIFE編集部
2021年11月1日
健康

ホットフラッシュからイライラ、頭痛まで多彩な症状がある「更年期障害」。

前回の記事「女性の更年期はいつから?知っておきたい更年期障害の原因と症状」では、更年期障害の全体像を解説しました。

第2回目の記事では、更年期障害をむかえる前にやっておきたい「準備」や「予防」についてお話しします。

監修は、更年期医療のエキスパート・「よしかた産婦人科」の善方 裕美先生です。

更年期障害になりやすい人ってどんな人?

写真:女性がソファで辛そうに頭を押さえて座っているイメージ

人によって感じる症状はさまざまで、そのツラさもまちまち…。
更年期障害は、数値やデータからでは、症状のツラさをはかることができないため、「主観的な病気」ともいわれます。

症状があっても、生活に支障がなければ病気として考える必要はありませんし、症状によって生活が脅かされる状態が続けば、医療の力を借りることも必要です。

自分にどのような症状が出るのかわからないのなら、せめて一般的な傾向は知りたいですよね。

生活習慣の乱れは更年期障害のリスクを高める!

更年期障害になりやすい人とそうでない人には、違いがあるのでしょうか?

善方先生は、更年期症状が出やすいのは、ついつい頑張りすぎてしまう人だと話します。

「まず、生活習慣の乱れは、他の疾患と同様に更年期障害のリスクを高めます。
また、精神的なストレスも良い影響は与えません。
性格的には、“完璧主義の方”は、要注意ですね」。

以下に“更年期障害になりやすい人”の特徴をまとめました。

生活習慣と性格的な特徴、環境の3つから、自分が当てはまりそうか見てみましょう!

更年期障害になりやすい人の特徴とは

【生活習慣】

  • 睡眠時間が少ない
  • 食事にかける時間が少ない(食べる時間はもちろん、したくにかける時間も)
  • 運動習慣がない

【性格的な特徴】

  • 完璧主義でミスを怖がる
  • 何事にも全力を出す
  • 仕事や家事に忙殺され、ホッとできる時間がない
  • 趣味がなく、ストレス解消の方法がない
  • 自分のツラさを相談できる相手がいない
  • 興味が、自分のことだけにいきがち

【環境的な特徴】

  • 職場や住居、家族構成などが急激に変化した
  • 介護や育児をひとりで抱えている
  • 職場の対人関係、家族の病気、夫や子どもとの関係性など、さまざまなトラブルに向き合っている

上記の項目を見ると、もともとの性格や、環境からくるストレスには注意が必要かもしれません。

更年期障害がはじまる前から、準備や予防をしておくとよいでしょう。

来たる更年期を前に生活習慣を正し、気持ちや環境を快適にしておくことが何よりも大切です。

それでは、どのようなタイミングから準備や予防を心がけていけばよいのでしょうか?

更年期予防は30代のうちから!特にプレ更年期は、身体を見直すベストタイミング

写真:台所で中年夫婦が笑顔で会話しているイメージ

善方先生によると、更年期障害の時期に穏やかに過ごすためには、準備が大切だといいます。

特に、前回の記事でもご紹介した「プレ更年期」は、身体が目まぐるしく変化するタイミングなので、しっかり体調とメンタルのコントロールを行いたいところ。

さらに、プレ更年期に入る前からも心身ともに健康的な生活をすることが理想です。

プレ更年期の症状は30代後半から40代前半

「年齢でいうと、プレ更年期症状は30代後半から40代前半にかけて起こる方が多いです。
生活習慣や環境の軌道修正は、30代半ばから少しずつ取り組めるとよいのですが…」と善方先生。

更年期外来でカウンセリングも行う善方先生は、30代半ばからプレ更年期は、「1人で抱え込まない大人力」が試されるタイミングだと言います。

「求められていることがわかるからこそ、応えようとがんばってしまう。
抱えて込んでしまうという気持ちは、痛いほどわかります。

そんな時は、やれることを引き算で考えてみましょう。

育児も仕事も介護もがんばって、楽しさを感じることも多いとは思いますが、その裏で疲れてしまってはもったいない。

全力でやりきるというよりは、手抜きして。
自分で全部やるというよりは、他人にもお願いして。

行動の引き算ができるのは、この年齢ならではだと思います。
1人で抱え込まないというのは、“大人力”と言い換えることもできるのではないでしょうか?」と善方先生。

更年期をおだやかに過ごすための「食事、生活習慣、心の整え方」

写真:花を手入れしているイメージ

では、具体的に更年期障害の予防は、何に気をつければよいのでしょうか?

善方先生に聞くと、まずは、生活習慣を見直すことが必要とのこと。

更年期障害の予防テクstep4

【1.食事に大豆製品を積極的に取り入れる】
納豆なら1日1パック、豆腐なら1日半丁でOK!
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似たような化学構造を持ち、同じような働きをします。足りなくなったエストロゲンの代わりに働き、更年期症状を和らげることができます。

【2.スクワットやウォーキングなどで、下半身を鍛える】
スクワットは1日朝夕10回ずつ、ウォーキングは1日20分ほど。
更年期障害になると、足のむくみから全身の代謝が滞る場合が多いので、ふくらはぎのポンプを鍛えるような下半身中心の運動を取り入れましょう。スクワットもウォーキングも“ながら運動”として取り入れると続けやすいかもしれません。

【3.早寝早起きの習慣を身につける】
睡眠は量より質が大切なので、何時間寝れば良いという基準がありませんが、早寝は心がけましょう。朝起きた時に頭がさっぱりしている状態が目標で、7~8時間ほどぐっすり眠れるのが理想です。
日本人は総じて睡眠時間が短いといわれており、厚労省の令和2年度健康実態調査の結果では、5~7時間睡眠の人が57%を占めていました。
もし日中に眠くて仕方がないようなら、15分でもよいので昼寝をするのがおすすめです。

【4.孤食は避ける、楽しいと思えることをする、何かに没頭する】
心のケアも意識してみましょう。誰かと食事を共にすることで、明るい気持ちになることもあります。
心から楽しいと思えることや、何かに没頭することで自分のためだけの時間を見出すことも必要です。
コロナ禍のステイホームで、家でも楽しめるアイテムは増えています。音楽ライブ配信やオンラインで楽しむ映画、動画配信サービスの「お料理動画」などを見ながら家で簡単にできる新メニューにトライするなど、楽しみ方もいろいろ。気持ちのベクトルを自分に向けるのではなく外向きにできると、楽になる場合も多いものです。

更年期障害の予防方法は、更年期症状の緩和だけでなくさまざまな病気の予防にもつながります。

更年期に向けて、少しずつ生活に意識を向けていくことで、身体に変化が訪れても、慌てずおだやかに過ごせるかもしれません。

次回は更年期シリーズの最終回!
準備や予防はしていても、いざ更年期症状が出てきてしまったらどうしたらよいのか?

よくある症状を中心に、具体的な解決策を解説します。
ぜひ、お楽しみに!

監修

善方 裕美(よしかた ひろみ)さん

善方 裕美(よしかた ひろみ)

よしかた産婦人科院長、横浜市立大学産婦人科客員准教授。横浜市立大学附属市民総合医療センター・女性ヘルスケア外来担当。女性ヘルスケア外来では、骨粗しょう症治療のほか更年期障害も扱い、ホルモン補充療法だけでなく、漢方治療やカウンセリング、生活習慣の指導を通した多角的なアプローチを行っている。また、「妊娠後骨粗しょう症」啓発プロジェクトの発起人も務める。著書や監修書に「最新版 だって更年期なんだもーん 治療編」(主婦の友社)、「マタニティ&ベビーピラティス-ママになってもエクササイズ!」(小学館)「女性ホルモンの教科書(日経BP)」など。NHK健康チャンネルへの出演も。

2021年11月1日 健康

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